『中医病因病機学』
主 編: 宋鷺冰
訳 : 柴崎瑛子
発 行 所: 東洋学術出版社
発 行 年: 1998/05/01
定 価: 5,600円
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この度は実に内容の充実した書籍を入手しました。
「病機」という言葉はウチダの「和漢薬」誌上では夙に村田恭介氏によって「中医病機治法学」の翻訳紹介によって知るところですが、正確には意味を理解しておりませんでした。
しかしこの本はすごいです。この本を読めば中医学の何たるか、その本質を知ることが出来ます。
今までバラバラにしか読んでいなかった『内経』の言葉もこの本を読むとハッキリとその意味するところが分かります。
これにてますます、現代医学とは発想を異にするもう一つの医学である中医学を世に普及させなければならないという使命を新たにします。
この本には中医学の処方は一つも出てきません。
すべて基本原理であり、思想の本質的なバックボーンを綿密に、正確な資料の収集により解説したものです。
文献学的にも貴重な資料で、中国の文化の歴史的な厚みを感じます。
これを読んで感動しなかったら、もうその人は漢方を学ぶに値しない人だと言っても過言ではないのではないかと思いました。
べた褒めついでに一つだけご紹介しておきます。
よく「薬とは病気そのものを治すのではなく、治ろうとする病人をほんのちょっとだけ手助けするものだ」と説明しますね。この本のあるページには概略次のように書かれています。
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《傷寒論》では傷寒病の転変を津液の存亡で捉えようとしている。
津液は病気そのものではなく、転変のための条件の一つである。
病機を見るとは、転変のための条件を観察することにほかならない。
そして治療とは、病気が回復に転変するための条件を発見し、調えることである。
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ここに至って私の感動は頂点に達して、この紹介文を書かなければならなくなった訳です。
まだまだ若いですね!
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