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ニキビは何故、青春のシンボルか?

春は陽気が盛んになり、自然界では草木が芽を出し伸び始めます。
人の青春期もまた成長期です。
陽気の発生は肝気の旺盛を促します。(肝は東方の木、木は春であり万物が始めて生じるところ)
肝は“疎泄”をつかさどるので汗や皮脂がどんどん出て、湧き出る陽気が中に溜まらないようにします。
しかし生まれたての陽気はまだ幼弱で、一寸した障碍ですぐに出口が塞がれようとします。
たとえば夜更かしや飲酒・喫煙や刺激性食品の過食によって、肝の陽気は加熱されて火(肝火)に変わります。
火は上へと顔面に昇り、汗や皮脂を燃焼して「湿熱」に変わります。
湿熱が蘊結すればニキビや湿疹・フケなどとなります。
更に細菌性の「毒」と結び付けば化膿して中にウミを持ちます。

こういうストレートな火は湿熱になっても鮮紅色に結実しますが、実際にはその外にくすんだ赤色や白いままのものや頭の黒いニキビなど色々です。
それは火の生成過程に違いがあるからです。

ストレスや過労でイライラするような時は肝気が鬱々として、くすぶった火になります。
これは肝鬱化火による湿熱で、治り難く淤血とも結びつきやすいものです。

白ニキビは肝の陽気が弱くて湿熱にはなり得ず、湿のままで止まったもの。
黒頭ニキビは肝陽ではなく、肺の陽気が勝った場合で「燥熱」が結ぼれたもの。

さて、あなたのニキビはどんなタイプですか?

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高血圧は陽気過多

高血圧とは現代医学の病名で、こんなのは漢方にはありませんから、これだけの情報で薬も処方も決める事は出来ません。
しかし高血圧を治したいという大衆の要望に応えない訳には行きません。
高血圧を漢方的に考えたらどのようになるかを考察してみます。

漢方というと陰陽と五行の概念が出てきます。
陰陽は生命構造の機能的な部分であり、五行は器質的な部分です。
高血圧とは機能的な病変ですから陰陽に問題がある事を意味しています。

一時的な興奮による高血圧ではなく、体質的にずーっと続いている高血圧には必ず原因があります。
交感神経と副交感神経とが昼夜にお互いバランスをとっている事はもう常識です。
同じように陰陽も交流することによって生命を維持しています。(しかし寒と熱の事ではありません)
陽は働きであり、陰はそれの元になる物質です。(石炭と熱エネルギーみたいなもの)

もし体質が陽性に傾いていると直ぐに陰が不足になります。
陰は食べ物と呼吸から精微な物質を経て生成されますが、いつも [陽>陰] の状態になっているのが高血圧です。
だから高血圧だと代謝が亢進していて体温が高く、暑がり・汗かき・赤ら顔などの外見があります。
正常ならすぐに消耗した陰を補給できれば再び陰陽はバランスを取り戻して何の不都合も起こりません。
しかし高血圧では陰が常に不足していて、陽が常に過剰になっているのです。

また陰陽の分量(キャパシティ)には個人差があり、キャパの大きい人はバランスが崩れにくく、キャパの小さな人は崩れやすいのです。

問題になるのはキャパの小さな人です。
こんな人は暑がり・汗かき・赤ら顔なくせに、反対に冷えやすく寒がりでもあります。
燃えやすい割りに冷えやすいのでスタミナが切れやすく、肩がこったり不眠になったりと日常的に困ることが出てきます。


性格や生活パターンは変えられないので、対策としては何とかして陰を補って陽とのバランスを取るしかありません。
陰は夜に作られるから睡眠をとれば良い事は容易に分かります。
それも十分に出来なければやはり漢方薬に頼らなければならなくなります。

陽気を抑えるという考え方もありますが、それでは活動に制約を加えることになります。
陰を製造するのは五行の臓器の中でも腎が中心になります。
そこで作られる陰のことを「腎陰」といい、これは先天的に親から受け継いだものと後天的に食べ物と呼吸からこしらえたものの合体したものです。
漢方では補陰薬という分野の処方があります。
その代表が「六味地黄丸」や「知柏地黄丸」です。
これらの処方を病名や効能だけで使うのではなく、漢方理論にのっとって(証を見て)使えば高血圧にも十分に対応していける事と思います。

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糖尿病と民間薬

昔から糖尿病に効くといわれている民間薬には次の様なものがあげられています。

日本……たらの木・いちい(あららぎ)・連銭草
中国……とうもろこしの毛

しかしいまだ誰もその理論的根拠を説明した人もいないしデーターもありません。
何故なら“糖尿病”という病気は近代になってようやく認識されたもので、昔は血糖値という言葉も無かったのですから。その点では“高血圧”も同様です。
しかし根拠やデーターが無くても多くの大衆に愛用されているのは何故でしょうか?
やはり何らかの効果が認められているからでしょう。それが民間薬というものです。
そこで、これを説明できなくてはいっぱしの漢方家とは云えないとばかり、しゃしゃり出てきました。

糖尿病の特徴といえば、初期の口渇・空腹感、末期の頻尿です。
漢方には“三消”という病名があり、多飲を上消、多食を中消、多尿を下消と三つの“消”で考えており、現代の糖尿病に相当すると思われます。
このような経過を取るのは典型的な場合であって、一般には自覚症状の無い、血糖値が高いだけの糖尿病が圧倒的です。
漢方は症状から「証」を決めるのが診断法ですから無症状では手が出ません。

そこでいやでも血糖値や尿糖を漢方の概念で考える事を始めなければなりません。
血糖値の高い血液とは水穀(飲料・食べ物)の精微物質(栄養素)が血中に收摂されずに漏れ出た状態です。
これを漢方概念でとらえるとすれば「湿熱」の多い血液になりましょう。
そして湿熱が生じる原因は「嗜酒酪,傷及脾胃,脾失健運,湿熱交阻」(脂っこい食物や酒類を好み、脾胃が弱って消化し切れなくなって、湿と熱が合わさって邪となる)と云われています。
これを専門用語では「脾虚湿熱の証」といいます。

そこでこの湿熱の邪を除くためには「清熱去湿」作用のある薬草が必要になります。
それが、たらの木・連銭草・いちい・とうもろこしの毛、などです。
勿論それ以外にも清熱去湿という作用で考えていけば他にも候補となるものがあるでしょう。

本当は「湿熱」を去るだけでは半分にしかなりません。もう一つには「脾虚」を助けなければなりません。
そういう考えは民間薬にはありません。両方考えるのは理論的な漢方だけです。


次に血糖値の高い状態が長く続くと病状が進行して、精力減退・疲れる・痩せる・視力が衰える・手が痺れる、などの症状が現れてきます。
これは脾胃の衰弱が長期化した結果、その影響が腎へも及び、「腎虚」になったからです。
そうすると水穀の精微が血中から更に尿中へと流出し始めます。
栄養が体外へ漏れるので影響は大きくなります。
対策としては、もう「湿熱」なんかは放っておいて、腎虚を補うことに専念しなければなりません。
そんな時期になっても たらの木・連銭草 などを飲んでいたら逆効果で、ますます腎虚が進みます。
このように漢方の理論的な考え方をすれば民間薬も生きてきます。

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疎泄が足りないと鬱になる

漢方では「肝は疏泄を主どる」といいます。
“疎泄”の疎とは疎通・通じること、泄とは発散・昇発のことで、併せてのびのびと広がる意味です。だから「肝は条達を喜び、抑鬱を嫌う」ものとして春の生長の気にたとえられます。
肝の疎泄作用が順調だと消化酵素や胆汁の分泌、胃腸の蠕動運動などの代謝・輸送がスムーズにいきます。

この肝が疎泄もせずに鬱結すると、怒り易くなったり鬱になったり、情緒が不安定になります。意識や思考については『心は君主の官、神明出ず』といい“心”の管轄ですが、感情は“肝”が担当するものと考えています。
精神の病気を脳や神経からではなく、五臓から治そうとするのが漢方流のやり方です。

さて肝気が鬱結して疎泄しないのには疎肝解鬱剤の処方をつかいます。もっとも代表的なのが「柴胡疎肝散(さいこそかんさん)」です。
  柴胡・陳皮・枳穀・川弓・白芍・香附子・甘草
(柴胡疎肝散はまだ製品化されていないので煎じ薬でしかありません)

日本では柴胡剤といえば「小柴胡湯(しょうさいことう)」が有名で、これを無闇に肝臓病に用いて間質性肺炎を起こした人が出てニュース騒ぎになりました。きちんと「弁証」という漢方の診断法を守っておればあんな事にはならなかったのです。病名だけで漢方薬を使うものではありません。

“疎泄”とは溜め込まないことなので、疎泄が悪いと鬱病のほかにも便秘・肥満・ニキビ・肝臓病・月経不順・乳腺腫・・・など、溜め込んで流れが止まったために出る病気がいろいろ発生します。その多くのものに柴胡疎肝散は応用することが出来るのです。

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瞑眩なんて、起こらない!

漢方薬を飲むと“暝眩(めんげん)”という一時的な症状の悪化現象が起こるものと思っておられる方が多いので驚きます。

江戸時代に「万病一毒論」を唱えた古方派の漢方医・吉益東洞が“瞑眩せざれば、その病えず”と攻撃薬を以って排毒療法を敢行していた時には確かに暝眩反応も多く観察されたことでしょう。
しかし日常の医療ではそう簡単に暝眩は起こるものではありません。

今日、東洋医学に携わる多くの人達がまことしやかに「暝眩」という言葉を使っており、「好転反応」と訳しているに至っては腹が立つばかりです。
一体いつの頃からこんな馬鹿げた風論が一般に浸透していったのでしょうか。次に中医学における瞑眩の実例をあげてみましょう。

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「伏湿の腹痛」
21歳の男子、住居が窪地にあり、環境は湿気ている。最近、結婚をしてやや精気を使い果たしていた。
この頃は毎日正午になると臍の辺りが切痛し、晩に向かって次第に激しくなり、吐き気が始まると臥せっておられず体を起こすが、やがて必ず嘔吐して鹹味のものが出ると初めて収まる。
春から秋までに無数の医師に係ったが効果がなく困り果てている。

これに対して清代の名医・張錫純の診断は“伏湿の腹痛”で「湿気傷腎の証」と診断しました。
すなわち精室の中に湿邪が伏して、腎につながる衝脈もまた病んでいるのである。
午後の陽明の気が旺んになる頃になると勢いに乗じて衝脈が激動して湿邪を除こうとして鹹味のものを吐出するのである。
鹹味のものとは“伏邪”のことで邪が出れば痛みも止まるのである。

そこで四物湯加味方を水煎して服用させたところ腹中皆痛み、三剤で忽ち我慢出来ない程の痛みが始まり、墨の様な黒いものが数回迸り出た。翌日の朝は又一回大瀉して病は無くなったようで、その後再発しなかった。
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この例で注目してほしいのは「必ず嘔吐して鹹味のものが出ると初めて収まる」ところです。
この嘔吐は衝脈が激動して病邪を排除しようとする自然治癒力の現れだということです。
暝眩とはこのように、自然治癒力が激しく病邪を排除しようとしている時でないと起こらないのです。
それは必ず急性病の時であり、慢性病の時ではありません。

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繰り返し葛根湯への警告 !

葛根湯をカゼに使ってはならないへの追加
最近はまた風邪が流行ってきたようです。
今日もまた「葛根湯を下さい」というお客さんが店に来ました。
処方名を指定するようなしたり顔のお客さんには大抵こちらからの助言は聞いてもらえません。
何故ならその人には「葛根湯で風邪が治った」という体験があるからです。
それで仕方なしに黙って品物を渡すことが多いのです。
真実本当に「葛根湯で風邪が治った」と専門家から見てもそう云えるのならそれでいいのですが、素人判断でもし間違った判断をしているなら誤治どころか逆治療になっている場合が有る事を恐れます。

電車や職場・学校などの人の多い中で風邪のウィルスをもらって感染すると最初は背中に寒気がします。
それは膀胱経という経絡の走っている場所で、一番外界に近い体表だからです。
寒気がすれば重ね着をして体の温まる食べ物を食べて暖房の効いた部屋で休むことでしょう。
それでも風邪は進む時は進みます。

いつまでも寒気と水洟ぐらいで他に症状が出てこなければそれは「風寒性」の風邪です。

しかし鼻がつまり、喉が乾燥して痛くなったり、ガラガラ声になったり、痰や咳が出たりするとそれはもう風寒性ではなく「風熱性」の風邪である可能性を示しています。
一番ハッキリするのは体を温めると僅かでも発汗するなら間違いなく風熱性です。

風寒性では温めても暖めても発汗しません。
それで葛根湯などの温熱性の薬草の力を借りて発汗させるのです。


病原は一つでも病人の体質が百人百様なので風邪の症状も百人百様になります。
しかし大きく分けて上述の風寒性か風熱性の二つに分かれます。

現代は貧しかった昔と違って食べ物も衣類も豊富で暖房も十分です。この恵まれた環境がだんぜん現代人の体質を“熱性”に変えてしまいました。
それで私が見るところでは流行の風邪の殆どは「風熱性」の症状を呈しています。

そんな時には決して葛根湯は飲まないで下さい。
風熱性の風邪に温熱性の葛根湯では火に油を注ぐようなものです。
誤治どころか逆治療です。素人療法はケガの元です。

 『かかりがけの風邪に六味湯加味』‥‥‥風邪への最新情報です。

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