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瞑眩なんて、起こらない!

漢方薬を飲むと“暝眩(めんげん)”という一時的な症状の悪化現象が起こるものと思っておられる方が多いので驚きます。

江戸時代に「万病一毒論」を唱えた古方派の漢方医・吉益東洞が“瞑眩せざれば、その病えず”と攻撃薬を以って排毒療法を敢行していた時には確かに暝眩反応も多く観察されたことでしょう。
しかし日常の医療ではそう簡単に暝眩は起こるものではありません。

今日、東洋医学に携わる多くの人達がまことしやかに「暝眩」という言葉を使っており、「好転反応」と訳しているに至っては腹が立つばかりです。
一体いつの頃からこんな馬鹿げた風論が一般に浸透していったのでしょうか。次に中医学における瞑眩の実例をあげてみましょう。

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「伏湿の腹痛」
21歳の男子、住居が窪地にあり、環境は湿気ている。最近、結婚をしてやや精気を使い果たしていた。
この頃は毎日正午になると臍の辺りが切痛し、晩に向かって次第に激しくなり、吐き気が始まると臥せっておられず体を起こすが、やがて必ず嘔吐して鹹味のものが出ると初めて収まる。
春から秋までに無数の医師に係ったが効果がなく困り果てている。

これに対して清代の名医・張錫純の診断は“伏湿の腹痛”で「湿気傷腎の証」と診断しました。
すなわち精室の中に湿邪が伏して、腎につながる衝脈もまた病んでいるのである。
午後の陽明の気が旺んになる頃になると勢いに乗じて衝脈が激動して湿邪を除こうとして鹹味のものを吐出するのである。
鹹味のものとは“伏邪”のことで邪が出れば痛みも止まるのである。

そこで四物湯加味方を水煎して服用させたところ腹中皆痛み、三剤で忽ち我慢出来ない程の痛みが始まり、墨の様な黒いものが数回迸り出た。翌日の朝は又一回大瀉して病は無くなったようで、その後再発しなかった。
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この例で注目してほしいのは「必ず嘔吐して鹹味のものが出ると初めて収まる」ところです。
この嘔吐は衝脈が激動して病邪を排除しようとする自然治癒力の現れだということです。
暝眩とはこのように、自然治癒力が激しく病邪を排除しようとしている時でないと起こらないのです。
それは必ず急性病の時であり、慢性病の時ではありません。

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