小青龍湯を花粉症に使うって!?
花粉症といえばバカの一つ覚えのように小青龍湯という漢方処方を用いる方がいます。
何故なら小青龍湯を用いる目安の一つに「みずばな(水涕)」が上げられており、花粉症でみずばなが出ればたったそれだけの理由で小青龍湯を使おうとするのです。
まことに漢方理論の欠如としか云いようがありません。
漢方の原典《傷寒論》の小青竜湯は次のようになっています。
S.040中編,傷寒、表不解、心下有水気、乾嘔、発熱而咳、或渇、或利、或噎、或小便不利、少腹満、或喘者、小青龍湯主之。
「中医方剤大辞典」では要約して「解表散寒・温肺化飲」と効能を表しています。
「解表散寒」とは体表に“表寒”なる外邪があるのを温めて発汗により取り去ることです。
また「温肺化飲」とは体内に“水飲”なる内邪があるのを温めて利尿により取り去ることです。
体表と体内の両方から寒気と水毒に襲われてビビッている状態です。
これと花粉症が似ていますか?
似ているならどうぞ使ってください。
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花粉症による水涕やクシャミや目の痒み等のアレルギー症状は確かに困ったものです。
しかしそれらは過敏物質が原因であって、決して寒気と水毒が原因ではありません。
ところが不思議なことに場合によっては花粉症に小青龍湯が有効な事があるようです。
それで一世を風靡して小青龍湯がもてはやされた訳です。
何故でしょう、小青龍湯がなぜ有効だったのか?
それは多分、構成の薬味に秘密があるようです。小青龍湯の構成薬味は次のようです。
麻黄 桂枝 芍薬 干姜 細辛 五味子 半夏 甘草
この中の五味子には収斂性があり、水涕などが漏れないようにしてくれます。
いわば抗アレルギー作用に似ています。
しかしその他の薬味は何の役にも立たない無用の長物です。
いや却って炎症を助長する反対作用さえ予想されます。
だから一部の人は一時的に水涕が止まるという良好作用で喜びますが、すべての人に良好という訳には行きません。
まるで民間薬的レベルの漢方薬の使い方です。
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中医学では抗アレルギー作用のことを“劫敏”とか“截敏”といい、アレルギー性鼻炎には劫敏湯・截敏蜜梅湯・過敏煎などが考案されています。
それらの主成分は烏梅・五味子・柴胡・防風などで、小青龍湯のように温薬ばかりの構成にならないように、むしろ寒涼薬を織り交ぜたものになっています。
日本の漢方にもこういった現実と理論の合致した処方の使い方をしてほしいと思います。
なかでも辛夷清肺飲加減は有効な処方です。
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Comments
医学的には小青龍湯のステロイド様の薬理効果が確認されています。東洋医学の観点からのアレルギーに対する使用法としては確かに疑問もあるのかもしれませんが、薬理効果から考えるとむしろ他の漢方薬よりエビデンスのある薬剤と考えられます。
Posted by: 耳鼻科専門医 | 2006.10.15 at 06:49 AM