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梅核気と半夏厚朴湯?

漢方に「梅核気」という病気があります。
これは梅干の種か、炙った肉が咽に引っかかって、吐こうとしても吐けず、呑み込もうとしても呑めない状態で、日常的にもよくある症状です。
最も早くは『金匱要略』に次の様に記載されています。

K2205婦雑,婦人咽中如有炙臠、半夏厚朴湯主之。
(婦人が咽の中に炙った肉が引っかかっているようなら、半夏厚朴湯が良い。)

半夏厚朴湯方 : 半夏一升 厚朴三両 茯苓四両 生姜五両 乾蘇葉二両

これに準じて日本漢方では梅核気といえば半夏厚朴湯が唯一の処方と考えられていますが、果たしてどれだけの効果があるでしょうか?

『朱小南・中医婦人科』には次のような解説があります。
「半夏厚朴湯は温薬であるので、気鬱があってしかも胃寒のあるものに適応する。しかし臨床においては、もともと内熱があり口渇のあるものが多いので、その場合には越麹丸を使用する。」

漢方の医学たる所以は病名によらず、「証」を論ずるからです。(弁証)
梅核気を病名で云わず、由来する証で捉えて原因治療をするから効果があるのです。
半夏厚朴湯は「痰凝気滞」とか「痰気互結」という証型で表現され、根本には胃寒があります。
しかし梅核気の患者の多くには胃寒は余り観察されません。
むしろ気滞が長引いて鬱熱となり、口の粘つきや煩熱などを伴った場合が多く見られます。
だからこれに半夏厚朴湯を運用するのは不適当です。

『中医証候鑑別診断学(2版)』では梅核気が咽喉の「気結証」の場合には越麹丸(《丹渓心法》)をあて、半夏厚朴湯は「気滞痰凝・痰気搏結」の場合としています。
すなわち胃寒による痰(寒痰)の生成が前提です。

ちなみに朱小南師の越麹丸加減方は次のようです。

香附子・鬱金・合歓皮・山梔子・青蒿9 川弓・枳殻4.5 佩蘭根6 砂仁・炙甘草2.4 烏梅一

半夏厚朴湯とは内容がまるで違います。
安易に「梅核気には半夏厚朴湯」と諳んじていてはなりません。

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