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花粉症の逆治療

金元四大家の一人で、攻邪論で有名な張子和(1156~1228)という老中医師がいます。彼によれば「病は邪より生ず、邪を攻むれば病已む。邪気去れば元気自ずと復するなり。」という論法で、“汗・吐・下”の三法を治療の最優先としました。

漢方最大の古典である『内経』には“その皮にある者は、汗してこれを発せしむ”、“その高き者はよりてこれを越えさせしめ、その下の者は引きてこれを竭くさしむ”という治療原則が書かれています。

これに習って、「“天の六気、風暑火湿燥寒と、地の六気、霧露雨雹氷泥、人の六味、酸苦甘辛鹹淡”は、いずれもが人体を損傷する恐れがある。“天の邪は体の上部に発病させることが多く、地の邪は下半身に発病させることが多く、人の邪は体の中央に発病させることが多い。これは発病の三法則である”。そこで、邪を追い払うためには、天の邪であれば発汗させて追い出し、人の邪であれば嘔吐させ、地の邪であれば下して除去する。」(『中医伝統流派の系譜』黄煌著 東洋学術出版社 2000/12/8より) という次第です。

さて、花粉症は天の六気から「暑火湿」を除いた「風燥寒」が直接の外邪となって上部体表を襲うものと思われます。そこで治療には発汗法や吐法が相応しくなります。

花粉症の三症状に“クシャミ・鼻水・涙目”がありますが、攻邪派の治療法に漉涎法・嚔気法・追涙法といって、わざと「よだれ・クシャミ・鼻水・涙」を出させるのがあり、これも発汗法と吐法に含まれるものとしています。

考えようによっては、この花粉症の三症状こそが、生体が図らずも行っている防衛と治療の反応かもしれません。とすれば、やみくもに抗アレルギー剤でもってクシャミ・鼻水・涙を止めようとするのは、外邪の排出を妨害する「逆治」ではないだろうか。
反対に、クシャミ・鼻水・涙をどんどん出せば、それが一番の治療になるのかも知れませんね。それが厭なら、高くて苦い漢方薬を飲んで「順治」をする事です。

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