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突然の麻痺性斜視による複視

60歳女性、肥満、赤ら顏。今年3月にインフルエンザにかかり、悪寒のち発熱39℃、その後激しい頭痛、嘔吐に見舞われ救急車にて病院に運ばれた。入院2日後に物が二重三重に見え、右目が寄って斜視状態になった。
退院後も複視と斜視は治っていない。4月の末になってようやく漢方で治らないものかと片方に眼帯をかけて相談に見えた。本人は脳梗塞による神経麻痺だと思っている。まぶたが腫れており、舌苔は普通。

これはインフルエンザという風熱の邪気は去ったけれども、その時の後遺症として顔面の絡脉が空虚になり、そこにまだ“風”邪が残っているものと考えられる。すなわち「風邪入絡」による眼歪斜の症状である。
中華人民共和国国家標準『中医病証分類とコード』から探すと“絡脉空虚,風邪入中証 ZZJ031”に該当すると思われる。

処方: 正容湯加味・・・(インターネットより)
(羌活・白附子・防風・秦韭・白僵蚕・半夏・木瓜・茯苓・黄苓・伸筋草・地竜・石斛・麦冬2 膽南星・甘草1)28g

患者さんは半信半疑で一日分を2日ほどかけて飲んでいたのだが、2ヵ月後の現在はすっかり元の正常な顏に戻っている。余りにも良く効いたので脳梗塞で同じ状態になっている実家の母親にも飲ませたいと話している。

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麻痺性斜視は漢方では「口眼歪斜」の一つであり、おもに顔面の陽明胃経が何かに阻まれて通りが悪くなって起こるもの(実証)と、脾胃の中気不足が原因で経絡の流れが衰えて起こるもの(虚証)に分かれる。
これは直接には“”という邪気が経絡を阻害した実証であるが風だけでは直ぐに飛び去ってしまうものなのに、しつこく居残っているのは“痰湿”の存在によるものである。
患者さんは肥満タイプで、内面に“痰湿”があると思われ、風と痰とが合わさって「風痰阻絡」という状態になったものであろう。

正容湯は牽正散や大秦韭湯と並んで“中風”に対する代表的な去風剤とみなされている。処方に含まれている「白附子」はまたの名を「禹白附」ともいい、天南星科の植物、独角蓮Typhonium giganteum Engl.の塊茎とされている。トリカブトの白河附子と間違いやすく、日本にはまだ入ってきておらず馴染みの薄い薬草である。

性味は辛苦・大温・有毒、胃・肝経に入り、上行しやすい。
作用は去風痰・鎮痙。
用途は中風口眼歪斜、顔面神經麻痺。
毒性は附子に較べて小さい。

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Tracked on 2005.12.07 03:14 AM

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