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鬱病と滋水清肝飲

若い男女のカップルが相談に来られました。
女性は痩せ型で、見るなり鬱病とわかる程の悲愴な表情です。
男性が代わりに病状を説明し、女性が辛うじてうなづくだけです。
何が原因か分からないながら2年ほど前からの鬱病で、泣いてばかり、自殺願望の毎日を送っている由。
その他に目を瞑っていても頭の中がまわる、のぼせる、冷える、便秘、肩こり、腰痛、口渇、ゲップなどの症状もあります。

自殺願望、冷える、肩こり、ゲップなどは明らかに「肝鬱気滞」による鬱症状と考えられます。
しかし、頭の中がまわる、のぼせる、便秘、腰痛、口渇などは肝鬱と一致しません。
後半の症状は陰虚による「虚火」と判断するのが妥当でしょう。
だから常法の「疏肝解鬱法」を取るわけにはいきません。
疏肝しても効果の出ない“疏肝不應”の症例に相当します。
すなわち肝鬱が長引いて熱化が起こり、その熱が陰血を傷つけてしまい、陰血が虧損すると肝気はますます滞り、肝火がますます熾盛となった場合です。
熾盛となった心火や肝火は甚だしく「心神」の安寧を脅かしていることでしょう。

もしこれを“疏肝”すれば、するほど状態は悪化して、「頭暈耳鳴,口燥咽干,心煩多梦或不寐,大便燥結,小便淋漓,口苦舌紅,脉弦細而数」など陰虚火旺の症状が現れ、悪循環となるは明らかです。 (陰虚陽浮 陰虧則虚陽上浮)
そこで必要となるのが水中疏木法滋水清肝飲です。

この奥さんには滋水清肝飲を2週間分づつ持っていってもらいました。
(熟地黄8 山茱萸・山葯・酸棗仁4 牡丹皮・沢瀉・茯苓・当帰・白芍・柴胡・山梔子3 大黄0.5)

すると飲んで2、3日でもう薬が効いているのが分かるという本人の反応です。
好調ですぐに睡眠薬と抗不安薬が一錠ずつ減り、夜間の口渇も少し減りました。
冷え、便秘も共に良くなり、8週間のちには血色の良くなった奥さん自らカラカラと笑いながら病状を説明するほどになり、自分でも信じられないくらいの好結果です。

滋水清肝飲はこのほかにも、更年期綜合證・経前乳脹・鼻衄・歯衄・不眠症・慢性肝炎・目の乾渋異物感・逆流性食道炎(ムネヤケ)などと幅広い用途があると考えています。

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