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甘露消毒丹と湿疹

 甘露消毒丹は《温熱經緯》に出ている処方で、組成は白豆寇・霍香・茵陳・滑石・石菖蒲・木通・黄岑・連翹・川貝母・射干・薄荷です。
効能は清化湿熱・解毒・宣通気機で、“湿温病”で邪が気分にある時、または湿熱并重の“湿温時疫”などの流行病に常用する処方です。
それを筆者(陳太日)は外科病に応用して成果を上げ゛ました。

湿疹
 何某、男、35歳、1995年6月15日初診。
患者は10日前に両方の大腿内側の皮膚に紅疹が現れ、奇痒があり、掻いていたら次第に広がって斑状になり、水泡が現われ、破れて黄汁が出た。
局部は熱灼痛があり、西洋薬治療して無効だったので中薬治療に転じた。

症見: 両側大腿の内側皮膚は紅く灼熱して斑疹状になり、部分的に水泡があり汁が出て、ずっと陰嚢の方まで及んでいる。

その他の所見: 口苦く食欲不振を伴い、便秘、尿黄、舌紅、苔黄膩、脉滑数である。

診断: 湿毒倶盛の湿疹である。

治療法: 清化湿熱・解毒止痒。

処方: 甘露消毒丹加減。
 滑石・茵陳・意苡仁・白鮮皮・秦皮各15g 石菖蒲・黄岑・木通・川貝母・竜胆草・大黄・連翹各12g 白豆寇・霍香各8g 蒼朮・牛膝・射干各10g。

6剤を連服したら紅く灼熱した感じが消退し、水泡も消失して好転しているのが分かり、患部の結痂も脱落しはじめた。

2診: 処方から大黄を去り、生地黄・赤芍各12gを加えて、更に5剤を服用して全治した。

: 湿疹の成因の多くは外部からの“風湿熱”の邪が肌膚に取り付くか、脾胃虚弱・消化機能の減退で“水湿”が肌膚に停滞した所へ熱邪を感受して出来るものである。
筆者は甘露消毒丹の清化湿熱・化濁解毒の作用へ竜胆草・牛膝等を加えて引経薬とし、また蒼朮・意苡仁の燥湿健脾作用と白鮮皮・秦皮の清熱去風止痒作用を合せたため充分な效果を得ることが出来た。

  新中医(1999年 第2期 第31卷 Vol.31 No.2 1999)

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乳腺の腫れ

2006/08/14 やや肥満型の37歳の女性。2ヵ月前から乳腺が赤く腫れて濁った汁が出る。場所を移動して10日ごとに新しいのが出来る。乳腺膿瘍のようだが見るわけにもいかないので正確には分からない。もちろん医師にはかかっており、はかばかしくないので漢方を試そうと思い立ったもの。

乳房紅腫の症状でも哺乳期ではないので「乳積」によるものではない。そこで膿ではなく汁が出ると云うし、「気鬱」によるものではないかと考えた。
乳房は肝胃の経絡が通り、ともに多気多血の経である。だから湿熱が胃絡に蘊結したり、肝気が鬱滞したりすると直ぐに腫脹疼痛を起こす。
哺乳期なら瓜楼牛蒡湯<醫宗金鑒>が有名であるが、そうではないので肝胆湿熱と見なして、疽や癰に用いる柴胡清肝飲を選んだ。

 (柴胡・地黄・赤芍・牛蒡子・当帰・連翹・川弓・黄岑・山梔子・花粉・防風3 甘草2)35

2ヵ月間まじめに飲んだ結果すっかり良くなり、新しいものが出なくなったそうだ。念のためといって先日もまた1ヵ月分を持っていかれた。

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アフター性口内炎

2006/08/01 46歳、中肉の男性。20数年間も続いているアフター性口内炎。
妻が語るには夫は結婚してからずーっと年がら年中アフターが出っ放しだとのこと。本人はもう出るのが当たり前とばかり諦めきっていた。ある日、妻女が誤って自分の舌を噛んで余りの痛さに、ふと夫は毎日このような痛さを我慢しているのだろうかと気がつき、なにか治療法がないものかと代理で当店を訪ねてきたのでした。本人が来ないとダメだと云うと、すぐに再び夫を連れて現れた。

喋ると舌が触れて痛いので口数が少ない。見ると内唇には今も潰瘍があり、白苔は厚く歯痕もある。冬などの寒い時期に悪化しやすく、粘っこい唾液が出て口臭が強い。また手足には汗をべったりとかき、あくびがよく出る。検診で腸にポリープが11個もあると分かった。便通は正常。

『浙江中医薬雑誌』(1980;11:12  合刊 55 )に口腔粘膜潰瘍の治験例の報告があり、舌が心・脾の病変を現すことからアフターを「心火と脾湿の搏結」と弁証しています。使っている処方は半夏瀉心湯です。
 (半夏・大棗4 干姜・黄連2 党参・甘草3)18

この患者さんも白苔の厚い舌証から「心脾湿熱」の証と判断して半夏瀉心湯を使ってもらいました。
横隔膜を境にして上熱下寒という分離が起こっているのを漢方では“心下痞”と診断します。風呂をわかす時お湯をかき混ぜないと上熱下寒の状態になります。今あなたはこれと同じ状態だから上ではアフター性口内炎が出て、下ではポリープが出来るのだと云うと納得したようです。

10日分づつ試してもらうことにしましたところ、きちんと10日毎に来店されます。
20日分を飲み終えると大分楽になり、アフターが出来ても広がらないようになった。今は舌に出ている。しかし苔はまだまっ白い。この舌苔が減らなければダメですね。
70日を過ぎて今もアフターは出ているが痛くない。それよりもほかの変化が起こり面食らっているという。
今までは手足が冷たくて汗ばんでいたが今は手足が熱くなり、乾いている。手足を布団から出せなかったのが出せるようになった。これは一体いい事なのか悪い事なのか不安感もあるという。そりゃーいいに決まっていますよ、と私は密かに得意でなりません。今までは寒くなるとよく出たので、これからの季節がどうなるか本人はもう少し不安です。

更に90日が過ぎると季節は11月に入り肌寒くなりました。今日も煎じ薬を取りに来られて、「いま出ていません」と嬉しそうに云っていました。

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