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無菌性の頻尿

頻尿で悩む中年の婦人が多いものです。
病院で尿の細菌検査をしても無菌で、神経性頻尿症で片付けられます。これは非感染性尿道綜合症として中医学ではきちんと対応法が出来ています。

頻尿は次のように弁証分類されています。
(一)肝気鬱結型
(二)湿熱下注型
(三)気陰不足型
(四)脾腎両虚型
(五)腎陰不足型

このうち(三)気陰不足型 に分類されるものが非感染性頻尿症ではないかと思われます。

[薬方]: 旱蓮草15 黄精12 黄耆24 党参18 女貞子15 石斛12 麦冬10 車前子12 黄岑10 蓮子15 枸杞子18 山薬18 白朮15

例示されている処方は日本にはありませんが、近似するのは清心蓮子飲です。

石蓮子 、人参、赤芍、麦門冬、黄耆、地骨皮、黄岑、車前子、生甘草

煎じ薬がいやだという人には仕方なく清心蓮子飲のエキス剤を使いますが、出来ることならもっと効果のある煎じ薬に親しんで貰いたいものです。

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複視と漢方

複視は復視、視一為二、風牽偏視 (動眼神経麻痺) ともいう。

[病因病機]
    一、正気不足,衛外失固,或陰血虧少,絡脈空虚,風中経絡。
    二、脾失健運,聚湿生痰,復感風邪,風痰阻絡。·
    三、肝腎陰虧,陽亢動風,挾痰上擾,阻滞経絡。
    四、中風后遺,気虚血滞,脈絡淤阻。
    五、頭面外傷,経絡受損,気血淤阻。

この内、一の風中経絡については以前に発表した。
54 突然の麻痺性斜視による複視
59 風牽偏視 (動眼神経麻痺)

今回は三の陰虧陽亢についてです。
肝腎虧損,精髄不足」になると視力に影響してきます。
脳は髄海で、髄は腎によって作られます。
また目は肝の竅であり、上は脳につながり下は肝に通じます。
肝腎精血が旺盛であれば髄海は充盈し、肝腎脳の三者の気機が相互に協調して視力正常になります。

[治法]
滋養肝腎,平肝潜陽,活血化淤

[薬方]: 山萸肉 女貞子 山薬 枸杞子 何首烏 熟地 党参 石決明 菊花 丹参 云苓 川弓

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妙香散

うつ病に使える漢方薬の一つに妙香散があります。
これは帰脾湯とよく似た処方で、次にその構成を比較してみます。

帰脾湯 : 木香 白朮 当帰 茯苓 黄耆 遠志 人参 竜眼肉 酸棗仁 甘草

妙香散 : 木香 山薬 茯神 茯苓 黄耆 遠志 人参 桔梗 甘草 辰砂 麝香

帰脾湯に含まれている「白朮・竜眼肉・当帰・酸棗仁・生姜・大棗」は養脾と不眠への配慮で、妙香散には含まれていません。
一方、妙香散に含まれている「山薬・桔梗・甘草・辰砂・麝香」には“固腎”“安神”“解鬱”の意味があり、最も量が多い主薬の「木香」には“舒肝健脾”の働きがあります。帰脾湯にも木香はあっても少量です。

妙香散の出典である《太平恵民和剤局方》は次の通りです。
【功用】補気寧神,行気開鬱。
【主治】心気不足,志意不定,驚悸恐怖,悲憂惨戚,虚煩少睡,喜怒无常,夜多盗汗,飲食无味,頭目昏眩,梦遺失精。

帰脾湯の出典である《正体類要》は次の通りです。
【功用】養血安神,補心益脾,調経。
【主治】思慮傷脾,発熱体倦,失眠少食,*征冲驚悸,自汗盗汗,吐血下血,婦女月経不調,赤白帯下,及虚労、中風、厥逆、癲狂、眩暈等。

両者の最大の違いは、“解鬱”が有るか無いかです。

うつ病を治すには“解鬱”作用が必要です。
よく使われるのは「柴胡」ですが、四逆散・加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蠣湯などでは対処しきれない場合が多くあります。
そんな時にこの「木香」の入った妙香散の“解鬱”作用が役に立ちます。

妙香散の【集注】汪昂曰の解説では、
心は君火である,君火が一たび動けば,相火も之に随う,相火は肝胆に寄寓している。
(相火が燃えて)腎陰が虚せば,精は蔵されず。
(相火である)肝陽が強まれば,気は固められず,故に精は脱して夢遺となる

【按】朱震亨云の解説では、
秘蔵をつかさどるのは腎で,疏泄をつかさどるのは肝です。
二蔵には相火というものがあり,上は心につながり,心は君火に当たります。
物に感ずれば動きやすく,心が動けば相火も翕然と燃え上がります。
二つが交会すれば,精は暗流して滲漏するばかりです。
だから平生から精力を守るにはただ補陰を以って相火を制することです。

※私は今“パニック症状”に応用できるのではないかと注目しています。

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2657の中医証候

医薬健康網
上記のHPに「中医証候」というページがあり、14ページからなる中医証候の項目が出ている。
項目を展開すると全部で2657の証候数になる。
関与したのは、北京 河南 吉林 内蒙古 山西 天津 河北 黒竜江 遼寧 山東 上海 重慶など12省の地方医院の医師達です。例えば北京では、

北京安定医院
北京地壇医院
北京婦産医院
北京積水潭医院
北京軍区総医院
北京市二竜路医院
北京市鼓楼中医医院 (京城名医館)
北京市心肺血管医療研究中心(安貞医院)
北京同仁医院
北京協和医院
北京医科大学第三臨床医院
北京医科大学精神衛生研究所(北京医科大学第六医院)
北京佑安医院
北京中医医院
海軍総医院
軍事医学科学院附属医院(解放軍307医院)
首都儿科研究所
首都医科大学附属北京友誼医院
武警総医院
中国康復研究中心附属博愛医院
中国医学科学院整形外科医院
中国中医研究院広安門医院
中日友好医院
北京朝陽医院
北京儿童医院
北京回竜観医院
北京結核病控制研究所
北京口腔医院
北京市復興医院
北京市結核病胸部腫瘤研究所
北京鉄路総医院
北京小湯山医院(北京市小湯山康復医院)
北京胸科医院
北京医科大学第一医院
北京医院
北京中医薬大学東直門医院
北京腫瘤医院
解放軍305医院
空軍総医院
首都医科大学附属北京天壇医院
首都医科大学宣武医院
郵電総医院
中国医学科学院阜外心血管病医院
中国医学科学院腫瘤医院
中国中医研究院西苑医院
中医研究院望京医院

の医院から中医師等が分担して各証候を持ち寄っています。例えば次のようになっている。

[淤]血阻絡2
主要症候: 脅肋刺痛,痛処固定而拒按,入夜更甚,或面色晦暗,舌質紫暗,脈沈弦.

治療原則: 理気活血,化[淤]通絡.

例 方: 血府逐[淤]湯.

医院_医生介紹: 北京: 北京同仁医院: 王西萍__婦産科副主任医師: 

こういうのが 2657 も集められているのだから壮観です。
出来るだけ重複した証候が出ないようにはなっているようですが、似たものも多くあります。
この「中医証候」と一ヶ月間取り組みまして、2657の証候をAccessでデータベース化しました。
更にそれをExcelで、同質のものを 127 のグループに分けしました。
虚証が47、実証が80あります。
その表をhtmlで表示して、googleのツールバーを付けて完成です。以前、

「誰にでも出来る「証」の決め方!」

を発表しましたが、今度のはそれを補充改定するものになりました。

やり方は、「2~3ヶの症状をgoogleの検索ツールバーに半角スペースを空けて貼り付けハイライトを押す。ハイライトで光る症状が多いところがあなたの証です

いつかこれも発表したいと思っていますが、なにしろ症状の数も馬鹿にならないほどあるので表示には一工夫必要です。このツールを使えば複雑な「証の決定」が誰にでも出来るようになります。

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