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『傷寒論の読み方50』

最近大変うれしい書物が東洋学術出版社から出版されました。
『傷寒論の読み方50』裴 永清 著(2007/2/5)
少しづつ大事に読ませてもらっています。そこで気が付いたことがありましたので一言。

第17論「五苓散の臨床応用について論じる」
1 五苓散は癲癇病を治療できる
《金匱要略·痰飲咳嗽病脈證並治第十二》篇「二十五,假令瘦人臍下有悸者吐涎沫而癲眩,此水也,五苓散主之」。

ここの条文の「癲眩」という単語を、著者は「癲癇とめまい」と二つの意味を表す言葉として解釈して論考を進めています。
しかしこれは間違いではないかと私は水を差すのです。
何故なら頭暈(めまい)という意味は古来いろいろな単語で表されているからです。
例えば"頭眩"、"掉眩"、"眩冒"、"目眩"、"眴仆"、"冒眩"、"風眩"、"頭旋"、"眩暈"、"眩運"などと。
いま《金匱要略》で癲眩と表記されているのも同義で、癲の字は「巔」の誤りで、巔とは巔頂すなわち頭のことであり、"頭眩"と同義である。
またもう一つ「瘦人」とあるのも「病人」とすべきところを転写の時に誤ったのではないかという説もある。
ちなみに上の条文は次の様に解釈される。

臍の下で動悸するのは「水停」が臍下にある病で、今まさに涎沫を吐くのは胃からの「水逆」であり、巔眩するのは「水が陽を阻む」からである。これは「水盛」であるから五苓散が主るのである。

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真武湯で筋肉のピクツキ(筋惕肉じゅん)を治せるか?

治せると称する人の根拠は《薬徴》の説明と《傷寒論》の次の条文かと思われる。

《薬徴》茯苓について
悸、及び肉ジュン筋惕を主治する也。旁ら小便不利、頭眩、煩躁を治す。

《傷寒論》
S.082中編,太陽病発汗、汗出不解、其人仍発熱、心下悸、頭眩、身じゅん動、振振欲僻地者、真武湯主之。

《傷寒論》については、これに先立つのが次の条文です。

S.038中編,太陽中風、脉浮緊、発熱、悪寒、身疼痛、不汗出而煩躁者、大青龍湯主之。
若脉微弱、汗出悪風者、不可服之。服之則厥逆、筋惕肉じゅん、此為逆也。

つまり太陽病で「脉微弱、汗出悪風者」に誤って大青龍湯を飲ませると、発熱が治らないばかりか厥逆して筋肉がピクツキ、心下悸、頭眩、ふらついて地に倒れんとするようになる。それを治せるのは真武湯である、というわけです。

しかしこれらの文章からストレートに「真武湯で筋肉のピクツキを治せる」と結論できるだろうか?
その病機を「陽虚によって筋脉は温煦されなくなり、水停によって筋脉は困阻されて」筋惕肉じゅんが起きるとか、「痰飲水湿が筋脉を阻滞して生じた病変」であると理論付けるようだが反論してみたい。

筋惕肉じゅんが発生したのは大青龍湯を飲ませて過剰な発汗を経て、陽気と陰液を受損し、肌肉の温養を失ったのが原因である。
だから真武湯を用いて脾腎を温めて津液を生じ、また陽気を通じて肌肉を養えば筋惕肉じゅんは自ずと治るという意味で解釈すれば意味が通る。けっして真武湯が直接的に筋惕肉じゅんを治しているのではないし、茯苓に肉ジュン筋惕を主治する作用があるとは思われない。

筋肉のピクツキは中医学理論では“風”の概念で説明されるのが普通であり、痰飲水湿が原因だとはとうてい思われない。

私がネットから拾ってきた根拠を次に提示します。

B筋惕肉证
王某-男-3$岁-干部-2%%$年''月2#日诊.半
月前发热-服解热止痛药和抗生素$天后热退-此后
遗留全身肌肉不时动-尤以双侧上肢肱二头肌和
口唇为甚.诊其面色白光白-舌淡-苔白微腻-脉细无
力.证属脾肾阳虚-不能温养肌肉.治宜温阳气-行
津液!方用理中汤加减"制附片#$%&包'先煎('红参
#$%&包'另煮('茯苓#)%'焦白术#)%'桂枝#$%'炙
远志*%'炙甘草+%!)剂'每日#剂'水煎,次'共取
药汁+$$-.'分/次温服!)剂尽'动大减'仅留口
唇动'舌淡'脉较前有力!药已中的'故又守原方继
服/剂'诸症消失!随访#年'未见复发!
按"筋惕肉的发生'多由于发汗太过'阳气和
阴液受损'使肌肉失去温养所致!本例符合上述病
理'故用附子理中汤加桂枝0炙远志'温脾肾以生津
液'通阳气以养肌肉'俾阳气得复'津液运行'肌肉得
养'诸症自愈!

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