《傅青主女科》の扶正解鬱観
《傅青主女科》では婦産科の疾病を論治する時、腎、肝、脾三臓を重視し,中でも扶正解鬱観は重要な部分を占めている。
《女科》では,女子は“血を以って主と為す”、“肝腎を以って先天と為す”と認めている。
婦科の病症を看るに,肝鬱に因る者が,実に多く,且つ肝鬱が解けないと,肝陰を暗耗し,気滞が重くなり; 或いは熱火に化し,横逆して竄犯し; 或いは伐脾傷腎をなし; 或いは淤血と痰を生じ,諸変を叢生し,症情は復雑化する。
肝鬱の証を治すにつけて,《女科》では解鬱を強調しても扶正を忘れてはいない; 理肝したら柔肝を忘れなず; 疏肝理気したら,滋陰養血を忘れず; 本臓を調肝したら,扶脾益腎を忘れない。(まとめると次の様になる。)
1 養陰柔肝解鬱法
2 健脾理気解鬱法
3 滋水清肝解鬱法
4 温腎疏肝解鬱法
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とくに温腎疏肝解鬱法について述べる。
腎陽は,五臓の陽気の本である。
女子は経孕産乳すべては腎水を本とし,腎火を用としている。
腎火が衰えなければ,胞宮と胞脈は温煦であり; 腎気は充盛で,肝気は舒びのびする。
肝気が達しなければ,腎気も亦鬱する,故に《女科》では常に温陽益腎の品には,疏肝の剤を加えて,肝腎の鬱を開き,気機を暢達する。
本法は腎陽不足,肝鬱気滞による経水数月一行、経前乳脹、結塊、不孕等の症に適用される。
傅氏は“并提湯”を脾腎の陽気を大補するのに用いている,
九蒸大熟地、巴戟天、炒白朮各一両,人参、黄耆各五銭に,并せて柴胡五分を稍稍参入させて,挙陥,疏気鬱を図っている。
傅氏の補火の諸方を観ると,一般に附桂の辛熱を用いず,常に菟絲子、杜仲、巴戟天、仙霊脾等の流動の品を選んでいる。
此の品は温潤平和で,温めても燥かさず,補っても滞らず,陰精を消耗せしめないので,陽気は陥らない,“大地が陽春ならば,生機は自ら旺ずる。”というのが傅氏の解鬱観の新しいところである。
一般には,肝鬱すると化火し易く,清肝すると傷陽し易いし,温補腎陽の品も又助熱助火し易いので,用薬が頗る難しい。
傅氏の温腎疏肝解鬱法を学習した后では,臨証選薬に斟酌すべきところが分る,
当に疏肝しても耗気傷陽せず,温陽するにしても辛熱助火の味を用いない。
かくの如くして肝腎を兼顧し,陰陽を平衡させれば,沈痾も立どころに解決する。


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