乾癬1
李某,女,14歳。
一年前から頭面・四肢・腹背に牛皮癬を病み、一年間 専門病院の治療を受けたが効果がなかった。
余が診た時は頭頂・面部・腹背及び四肢の大部分に均しく紅色丘疹が出て、合わさって片状になっていた。
丘疹の表面には多層の白色鱗状痂屑が覆い、痂屑の脱落が多く、皮膚は干燥して厚く、まるで老樹皮のようで掻痒が耐え難く、掻くと出血して痛い。
腿脛の処は掻破のため感染して膿痂ができていた。
もう病歴は1年を超え、体には健全な皮膚が少なくなっている。
容貌が変わって人目を避けているので午後の下校後に診察に来てもらった。
余は西医が抗癌薬で牛皮癬を治療していることから啓示を受けて、この頑固で勢の盛んな症で、口苦・苔白・脈象双弦等に対してひそかに劉紹武先生(*)の解鬱攻堅湯を試用してみようと思った。
王不留行10 紫蘇子・牡蛎・夏枯草6 柴胡3 黄岑・党参・甘草2 川椒0.2
服薬20余剤で掻痒は明らかに軽減し、鱗状痂屑が脱落し始め、新鮮な皮膚が現れだした。
続服すること20剤で皮膚は元の様に恢復した。
十余年後に訪ねてみて病気が再発していなかった。
按: 牛皮癬は頑疾の一つで、第二癌症の称がある。
当今は祖伝の秘方で牛皮癬を治すという広告が世に溢れている。
余が子供の時の朋友 某も双腿を牛皮癬に患っていた。
便りによれば某旅店の"神医"と呼ばれる人に求診して、千元近くを出して薬十小包を購入した。
そして服后七日で丘疹が消失し、痂屑が脱落して大いに喜び、まさに神医だと叫んだ。
然し、服薬を停めると再び紅色の丘疹が頭に白い帽子を被ったようになり、四肢や腹背に密布し、治療前よりもひどくなったそうだ。
聞く所では小包内は黄柏とステロイド剤だったそうだ。
(*)《三部六病》論 を発表した人
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