緑内障にも杞菊地黄丸
杞菊地黄丸を白内障に用いる事はよく知られていますが、緑内障ではどうでしょうか?
順番に考察を進めてみます。
五輪とは、眼瞼を肉輪といい,脾胃が主る;
内外眦及び其の血絡を血輪といい,心と小腸が主る;
白睛(鞏膜)を気輪といい,肺と大腸が主る;
黒睛(角膜)を風輪といい,肝胆が主る;
瞳子(瞳仁、瞳視、瞳孔)を水輪といい,腎及び膀胱が主る。
水輪の病証は次の七証に分けられる。
(一)陰虧証
腎中の真陰が不足して,瞳神を濡養できなくなった証候。
(二)気虚証
元気が虚弱で,頭目まで升運できず,目竅を濡養できなくなった証候。
(三)実熱証
火熱が熾盛で,目竅に炎蒸した証候。
(四)痰湿証
脾虚のため水湿を輸布できず,湿から痰を生じ,目竅へ上凌した証候。
(五)頭風痰火証 (肝風痰火証)
肝風と痰火が相い搏ち,頭目を上犯した証候。
(六)気虚血淤証
元気が虚衰して,気が摂血せず,或いは気が行血せず,淤血が眼内に停滞した証候。
(七)気虚血少証
気血が倶に虚し,目竅を濡養しない証候。
このうち(五)頭風痰火証は:
頭目が劇しく痛み,眼が脹れて脱けるようになり,虹のような光が見え,眼圧は高くなり,瞳神が散大し,瞳色が緑色を帯び,視力は急に降り,或いは瞳色が微かに青くなり,視野は狭窄し,或いは驟に失明する。
更には悪心嘔吐,身熱面赤,心煩心悸,眩暈,大便干結などの証候が現れる。
舌は紅く、苔は白か或いは黄膩,脈は弦数か或いは弦滑数となる。
そのため本証は青風内障、緑風内障、雷頭風内障等の病気に相当する。
さて肝風痰火証を構成するのは、肝鬱化火、陰虚陽亢、痰火升擾、肝腎両虧などの要因である。
教科書に載っているような典型的な例はさておいて、緑風内障のなりがけや軽症は自覚症状も無く、眼圧を測ってみてはじめて病名を指摘される場合が多い。
こういうのには肝腎両虧が多い。
杞菊地黄丸 (董西園 《 医級 》 ) 加減
(熟地黄10,茯苓・山薬・丹参5,白芍4,枸杞子・菊花・牡丹皮・沢瀉・当帰・菟絲子3,五味子・川弓2)51
若し気血不足を兼ねれば,+党参、黄耆
腎陽虚なら,+肉桂、覆盆子
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