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開張邪路 (邪の出口を開く)

 有毒植物で山野・路傍などに自生する仙人草という蔓草があります。この葉をもんで汁を手首につけると翌日、大きな水ぶくれが出来ます。針で突いて中の水を抜き傷跡の癒えるのを待つとリュウマチの腫脹などに良いという治療法があります。
 また彼岸花の鱗茎とヒマシ(唐胡麻・とうごま)を一緒にすり下ろして、足の裏に塗布して肝硬変の腹水やネフローゼの水腫を治すという治療法があります。
このような民間療法にはどんな意味があるのだろうか? と常々思っていたところでしたが、その答えになるかも知れない開張邪路という概念があることを知りました。

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開張邪路 (邪の出口を開く)

「実邪を出口から放出して治す」というのは中医治病の経験則の宝である。
例えば発汗、涌吐、瀉下、点刺放血などの諸法は《内経・陰陽応象大論》(1)や 《霊枢・厥病》(2)の中で述べられている。

(1) 厥頭痛、頭脈痛、心悲善泣, 視頭動脈反盛者, 刺尽去血⋯⋯ ," 血実者決之"
(2) 中暑昏厥刺委中穴放血

清・徐霊胎は" 凡そ病邪が留まって出路が無ければ, 必ず腫毒を発す" と説いている。邪路を開張するのは「因勢利導」といって, 人体には有効な減圧、排毒である。
たとえば食積か或いは湿熱で泄瀉したとき, 若し収渋止瀉を用いれば固邪してしまうし, 麻疹初期の高熱に大青葉、黄連、梔子等の寒凉を誤用すれば遏伏(邪を閉じ込める)となり, 麻毒内陥による肺炎となる。
だから外感の邪が除かれずに経絡に留伏したり, 飲食の滞が消されずに臓腑に積聚したりすれば, みな開張邪路すべきで固渋滋補してはならない。

但し一切の開張邪路の法には, 必ず胃陽が健全であってこそ, 始めて去邪外出が可能である。
それゆえ張仲景《傷寒論》の桂枝湯、小柴胡湯、大青竜湯では皆生姜・大棗,を用いて営衛を調和し胃陽を振奮させ, 邪を外出させている。 いわゆる" 攘外するには先ず内を安んずべし"である。 一つ正気があれば三邪を避けることが出来る。駆邪の為には扶正を忘れてはならないのである。

医案挙例
 顔面神経麻痺。黄某某, 男,57 歳, 南昌県人。

【病因】厳冬の晨に外出して, 寒風に外襲され, 経絡が阻滞した。

【証候】左側面部が麻木して, 蟻行感があり, 嘴唇は左に向いて歪斜し, 口角から流涎し, 面部には浮腫感があり, 口で吹く動作ができない。気持ちは平常心なのに表情は痛苦のもよう。体温36. 6 °C, 脈搏76 次/ 分, 血圧120/80mmHg, 尿は正常、心肺も正常、舌質は平、脈は浮弦。

【辨証】面神経炎, 面[病<難-丙]。

【治則と治法】去風散寒、化痰通絡、熄風止痙。

【方薬】牽正散加味。
白附子5g, 天麻9g, 鈎藤12g, 制蜈蚣2 条, 蠍尾3g, 僵蠶9g, 蝉蛻6g。

【効果】患者は服薬3 剤后, 初めて効果がでたが, もっと速く愈る法はないかというので, 俊万公の内治が応じなければ外治を用いるという訓に従って, 掌中追風丸を用いて治療した。
蓖麻子(ヒマシ) 10 粒を,泥のように搗爛し, 約10gを, 患者の右掌心に握らせ; 錫壷で沸かしたお湯で, 壷嘴から薬丸を熏ずる。
それで病人が微微に小汗をかかせると, 五六日で愈えた。

蓖麻子の辛、甘、熱は病気を抜いて肌表から出させる, 其の性は善く走り, 諸竅を開いて経絡を通ずる。 薬は簡単で効果が宏い。

【解析】本病は寒風が面部の経絡に鬱遏し, 経絡が暢びず, 微循環が受阻したもので,必ずその中に痰淤の滞りがある。
掌中で汗を取る外治法は先祖の験方である。微汗は一種の酸素運動である, 皮膚は" 魄門" " 玄府" " 鬼門" と称し, 皮膚は人体の最大の排毒器官だと認識していた。
掌中薬丸熏蒸法で, 汗液を通して, 臓腑及び皮膚経絡内の清除し難い毒素を排除し、面神経炎を治療する事が出来た。

    『名医治則解析』(人民軍医出版社 2007) より

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