活絡効霊丹の応用1
活絡効霊丹の応用例 作者:黄存垣,楊君柳, 江西中医薬 : 2003年3月25日
活絡効霊丹は張錫鈍(1860-1933)の《医学衷中参西録》中に出てくる処方で、気血凝滞による心腹疼痛、腿疼臂疼、跌打淤腫、内外瘡瘍及び[病<暇-日-丙]積聚等を治すものです。
活絡効霊丹 当帰・丹参・乳香・没薬
1 坐骨神経痛
肖某某 ,男 ,1993年 4月初診。
左側の臀部が疼痛して 1个余月になる ,痛い時は左足の小腿に牽引し ,足跟も亦痛む ,行歩すれば加劇する。
飲食、二便は正常 ,脈弦 ,舌質はやや暗紅。
処方 :桑寄生20 ,全当帰・川牛膝・丹参15 ,川断12 ,生乳香・生没薬・陳皮・木瓜・大伸筋・五加皮10
上方 4剤 を服すと,症状は減軽した ,再服して 10剤に至ると ,症状は大いに減った。
原方に金毛狗脊 2 0g を加えて,再服すること 10剤 ,これで痊愈した。
2 風湿腰痛
劉某某 ,女 ,1993年 4月初診。
腰痛が始まってから 2个月以上になり ,最近はだんだんひどくなっている ,行走できず ,翻身転側すれば疼痛劇烈 ,さらに両下肢疼痛を伴う ,天気が変化すると症状は重くなる ,飲食、二便は正常 ,局部にははっきりした紅腫はない ,脈弦 ,舌淡、苔薄白 ,舌面には淤点がある。
処方 :丹参・川牛膝・寄生20 ,杜仲・川断・大伸筋・五加皮15 ,当帰・生乳没・秦[艸/九]10 ,田七 (冲 ) 6
5剤后に症状は減軽したので ,再服すること 5剤 ,症状は全て除かれた。
3 四肢麻木症
羅某某 ,男 ,1993年 8月初診。
四肢麻木して 1年余になる。下肢の麻木がひどい ,行歩すると麻れて蟻が這うようで ,少し痛む ,脈は弦滑 ,舌は暗紅、苔は薄黄。
処方 :米仁・狗脊20 ,丹参・当帰・牛膝15 ,杜仲・五加皮12 ,乳没・陳皮10,甘草5
上方を服して 4剤で効あり ,継服すること 5剤の后 ,大いに効果が現われた ,原方を服すること 2 0余剤にして ,症状は基本的に消失した。
原方に黄[艸/氏] 2 0 gを加えて ,再服すること 10余剤の后 全治した。
4 腰椎骨質増生
康某某 ,男 ,1999年 5月初診。
腰痛が始まり 3个余月になる。行走、坐臥いずれも痛い ,腰を屈めることが出来ない ,飲食、二便は正常 ,以前に外傷した事がある ,脈は弦滑 ,舌は暗紅、苔は少い。
検査 :第三、四腰椎に圧痛明顕。
レントゲン :腰椎骨質増生 (3~ 5腰椎 )。
診断 :肝腎虧虚 ,気血不足 ,淤血阻絡。
処方 :丹参・寄生・懐牛膝20 ,当帰・杜仲・川断15 ,陳皮12 ,乳没各10 ,田三七粉 (冲 )8 ,甘草5
外治に火罐 ,狗皮膏の外貼を加える。
服薬 2 0余剤の后治愈した。
このように活絡効霊丹の活躍の場は大きいのですが、残念ながら我が国ではまだ余り知られていません。
私の身寄りに、心筋梗塞・腦の硬膜下出血・膝関節痛・腰痛・前立腺がん等と多様な病歴を持った方がおられます。病歴が次々と変わる度に、その方の病証を考えてきましたが一貫した処方はありませんでした。今この処方に接してみて、活絡効霊丹がベースにあれば良かったのではないかと思われてなりません。
心臓疾患を持った人の椎間板ヘルニヤの腰痛・足の痺れなどは淤血を離れることは出来ません。心臓疾患を持っていなくとも淤血に起因する痺症は多いのではないでしょうか?
痺症の処方では疏経活血湯や桂枝茯苓丸のほかには適当な駆淤血剤は見当たらないので、この活絡効霊丹が加わればかなりの戦力になると思われます。
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