« November 2007 | Main | January 2008 »

瀉の瀉 補の瀉

治病には元神及び胃気を重視することが必須である, 元神が旺盛で, 胃気が充足すれば, 自然治癒力が働いて抗病駆邪できる。

《傷寒論・辨太陽脈証并治上》:" 風家 (風邪に犯された人) で表が解したのに (表邪がなくなったのに) スッキリしない者でも, (薬治しないで放っておいて) 十二日もたてば愈えるでしょう。"

《傷寒論・辨太陽病脈証并治中》:" 大いに下した后, さらに発汗もさせて, 小便不利となった者は, すでに亡津液になっている。薬で治してはならない, 小便が自然に出るようになれば, 必ず自然に愈えよう。"

虚する者は補うし,虚なのに盛候のある真虚假実証では, 補法を運用して「補の瀉」の目的を達しなければならない。
如し小便が*隆閉 (前立腺肥大など) したら, 補中益気湯で水の上源を潤し, 上竅の水門が開けば小便は出る。
又如し実脾飲を用いて温補脾土すれば, 陰水は消える, 此れが即ち「補の瀉」という意味である。

Continue reading "瀉の瀉 補の瀉"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

桑葉で寝汗を治す

一時、桑の葉がバカに売れたことがありました。
「おもいッきり!!テレビ」で みのもんた氏が糖尿病に効くと云った為でした。

それはさておき、漢方では桑葉をどのように考えているのでしょうか?
桑葉といえば最も有名なのが「桑菊飲」で、この主薬が桑葉です。
以前 「桑葉で止汗」という記事を紹介したことがあります。しかしその時も桑葉が何故止汗するのかについての説明はありませんでした。
今回のは“桑葉で寝汗を治す”と、その訳も明記してあります。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

Continue reading "桑葉で寝汗を治す"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

糖尿病治療の新説

従来の漢方による糖尿病(消渇)の治療は“三消”(多飲を上消、多食を中消、多尿を下消)に分けて考えられてきました。
しかしながら最も多いのは「自覚症状の無い、血糖値が高いだけの糖尿病」で、漢方でいう“”がありません。
そのため「高血糖値」を漢方的にいかに解釈するかが問題になります。
それを現行の民間薬治療から逆算してみた結果、“高血糖=湿熱”という概念を提示したことがありました。
この度もっと本格的な新説を見つけましたので紹介します。

厥陰を調治すれば,消渇は癒える

清・黄坤載は説いている :消渇とは,足厥陰の病である。
《症治歌訣》は説いている:“肝風は眩暈する,胃を犯せば消となる。”
黎云卿《金匱約言》は説いている:“消渇*隆淋は,皆厥陰病である,上と下に分かれて,燥湿に随って感応したものである;風木の性は,疏泄して蔵せず‥‥‥”。

肝は疏泄を主る,是れは肝が疏泄、暢達、宣泄という気に関する功能を具有することを指す。
消渇とは肝が疏泄を失し,鬱して火に化し,津液を灼傷した結果である,だから糖尿病の治療には,医者は機を識り変を観じて,仲景の旨を遵守し,厥陰を調治し,疏肝調気を法とし,順肝条達の性で以って其の生理功能を恢復すべきである。
肝気が条達し,気機が条暢すれば,精微物質は輸布され,糖は充分に利用され,血糖は自然に下降する。
《中医疏肝調気法治療糖尿病》に書かれている: 疏肝調気法を運用して糖尿病を治療すれば,膵島功能を恢復するだけでなく,膵島素の分泌を促進し,また膵島素受体結合率も恢復し,根本的に糖尿病を治癒する事ができる。

Continue reading "糖尿病治療の新説"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

苦味健胃薬とは?

たとえばセンブリとか黄連などの苦味の強いものが日本薬局方で苦味健胃剤に分類されています。
苦味がどうして健胃剤になるのか、昔から不思議でなりませんでした。
ことにセンブリなどは千振と書いて、千回もお湯で振り出せるほどに苦いと云います。
センブリの苦味成分は鈎虫(十二指腸虫)をも駆除する力があるほどで駆虫剤でもある。
これほど強力で苦くて飲みにくいものが何故に健胃剤なのか?
空腹時に飲めば健胃どころか逆に食欲がなくなります。

探し求めていた答えのヒントを「脾を補わんとすれば」の中に見つけました。

肝には疏泄の功能があり, 脾土は肝木の疏泄を得れば, その土壤には生機が充満し,万物を生養する事が出来る。肝気の疏泄は, すなわち脾土の運化の助けとなる

中医学では健胃とは健脾のことでもあり、脾胃は同時に考えるべきものとする。
そして脾胃の健運には肝の疏泄功能が必須である。
この場合の疏泄とは膵液・胃液・胆汁などの消化液の分泌や、胃の収縮運動による食べ物の移動などを指す。
この肝の疏泄を促進する最強のものが苦味のセンブリや黄連などである。
しかしいくら疏泄が必要であっても強すぎてはいけない。
最強のものは最悪の場合にのみ必要とされる。
中医ではセンブリも黄連も健胃剤とはしていない。
センブリは清熱疎肝剤とみなして、胆嚢炎・黄疸・胆石症などに用いている。

従ってもしセンブリや黄連を健胃剤として使いたければ極微量に抑えておかなければならない。
幸い配置売薬などに含まれているこれらの薬味は分量が大変少ないので、それで健胃剤としての役割を果たしているのだろう。わが国ならではの使い方である。
中医学での薬効と日本の民間薬での薬効が同じでないのは、こういうところ(分量)にあることを知っていなければならない。
民間薬の「げんのしょうこ」や「どくだみ」の場合も同じで、中医学での使い方と日本での使い方には大きな差がある。これはまた別の機会に書きたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

脾を補わんとすれば

欲補脾者, 必于肝腎処着眼 (脾を補わんとすれば肝腎を忘れずに)

肝には疏泄の功能があり, 脾土は肝木の疏泄を得れば, その土壤には生機が充満し,万物を生養する事が出来る。肝気の疏泄は, すなわち脾土の運化の助けとなる; 肝木が若し疏泄功能を失去すれば, 脾土の運化功能も失われる。だから補中益気湯に柴胡、陳皮を用いるのは理気疏泄、幇助脾土運化の意味である。

脾と腎は五行中にあっては土と水の関系である。だから四神丸中に補骨脂を用いるのは, 辛苦大温が, 相火を補い以って君火に通ずるのが狙いである。火旺なれば土を生じる, だから方中に五味子、呉茱萸、肉豆寇を配して, 補火生土, 行気消食をはかるのである。

慢性瀉泄の多くは命門火衰による, ゆえに治療は脾胃を専治するのではなく, 下焦の元陽を大補し, 火旺土強とすれば, 慢性泄瀉は自然に治る。ゆえに補脾は補腎に如かずというのが中医の隔臓治療法である。

医案挙例:
小溲が清長となって, 已に一月を経た。脈象は尺部が軟弱で, 寸関が虚小である。気分不足, 腎陽も亦虧虚しており, 中焦に柱なく, 下焦も封蔵の固めを失っている。中気を補益し, 腎水を滋養しなければならない。

党参、当帰身、熟女貞子、炙黄耆、大白芍、広橘白、甜冬朮、淮山薬、炙升麻、炙甘草、潼疾藜、紅棗、七昧都気丸包煎。
引自:(( 孟河丁甘仁医案》。

【解析】木は土に会えば疏泄し, 土は温を得て運化する。もし脾土を補いたければ, 必ず肝木を疏泄して初めて、命火は温められる。これが即ち" 脾を補わんとすれば肝腎を忘れずに" の意味である。古代兵法 (三十六計) の" 囲魏救趙" ※ というのが, 中医でいう「隔二隔三的治則」の事である。

※ 強大な敵に対するときは、勢力を分断し、疲れさせた後に攻撃を仕掛ければ比較的簡単に打ち破ることが出来る。力ずくではなく分断して攻めるというのがこの「囲魏救趙」である。

         『名医治則解析』(人民軍医出版社 2007) より

| | Comments (0) | TrackBack (0)

老人の咳嗽は脾腎を調えよ

(絶対に発散泄肺することは避けよ)

老人の肺機能は年齢と共に衰退し, そう理 (汗腺の機能) のキメが粗くなり, 抵抗力が低下している, 久しく肺気を損傷していると気虚になってしまう,
《王氏医存》には" 老弱人は皆表虚で汗が出易いから,凡そ麻黄、羌活、独活、荊芥、防風、白止、細辛など一切の発汗薬は, 固く禁止する。"と説かれている。

曹存心先生は云っている: 肺が虚すれば風を招き易い。老人が流涕したり、感冒に似た咳嗽をするのは, 実は脾腎の機能が虚弱になり, 衛外の機能が不足しているからである。みだりに宣揚疏達の品を用いて, 玄府洞 (汗腺) を開いてはならない, これは「犯虚虚の戒」 (虚を更に虚せしめる) に当たる, 治療には調養脾腎すべく, 玉屏風散、六君、六味を選用して補脾益腎しなければならない。
腎が虚せば、脈は肺に上循せず, 肺金は失養する;
あたかも秋燥傷肺の如くなるのは, 実は腎陰不足に責がある, 六味地黄湯を用いて滋陰降火しなければならない。

又次のように云っている。" 咳嗽が突然重くなり, 百骸を動引し, 気が臍下より逆衝して上るのを自覚すれば, 此れは腎虚のため気を原に帰し納める事が出来ない (腎不納帰) からである, 六昧地黄湯でなければ収まらない。肺は出気を司り, 気の主である, 腎は納気を司り, 気の本である。又腎は肺の子にあたり, 虚すれば其の子を補わなければならない。"

Continue reading "老人の咳嗽は脾腎を調えよ"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« November 2007 | Main | January 2008 »