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瀉の瀉 補の瀉

治病には元神及び胃気を重視することが必須である, 元神が旺盛で, 胃気が充足すれば, 自然治癒力が働いて抗病駆邪できる。

《傷寒論・辨太陽脈証并治上》:" 風家 (風邪に犯された人) で表が解したのに (表邪がなくなったのに) スッキリしない者でも, (薬治しないで放っておいて) 十二日もたてば愈えるでしょう。"

《傷寒論・辨太陽病脈証并治中》:" 大いに下した后, さらに発汗もさせて, 小便不利となった者は, すでに亡津液になっている。薬で治してはならない, 小便が自然に出るようになれば, 必ず自然に愈えよう。"

虚する者は補うし,虚なのに盛候のある真虚假実証では, 補法を運用して「補の瀉」の目的を達しなければならない。
如し小便が*隆閉 (前立腺肥大など) したら, 補中益気湯で水の上源を潤し, 上竅の水門が開けば小便は出る。
又如し実脾飲を用いて温補脾土すれば, 陰水は消える, 此れが即ち「補の瀉」という意味である。


医案挙例

劉某某, 女,47 歳, 南昌市人。

【病因】もともと気虚の体質, 仕事が過労ぎみ, 脾気昇らず。

【証候】頭暈, 少腹が脹痛し, 排尿困難, 舌質淡、苔薄白、脈沈弱、検査で異常なし。

【辨証】尿が出にくい, 神経性尿閉, 膀脱括約肌痙攣。

【治則と治法】陥者は挙げよ, 補の瀉。

【方薬】補中益気湯加味
 党参15g, 炙黄耆15g, 漂白朮9g, 当帰9g, 炙甘草5g, 陳皮5g, 柴胡6g,升麻4g, 車前子9g。

別に田螺1个, 車前草10g, 葱白3根を用いて,搗爛して神闕穴(へそ)に貼る。

【効果】一剤で反応あり, 三剤で愈えた。

【解析】本例の患者は気虚性*隆閉に属する。
補脾益気法を用いて脾が清升し, 肺が粛降してはじめて, " 地気が上って雲となり, 天気が下って雨となる" という正常な水気循環となる。
*隆閉の治療は, 下にばかり着眼していてはダメで, 上にも関わりがあるのです,
瀉の瀉だけではなく, 補の瀉をも知らなければなりません。
加味補中益気湯は, 免疫功能を増強するとともに腎臓の微循環を改善させ, 中枢神経からの膀胱括約筋への働きかけで排尿困難を消除する。

田螺(タニシ)の外用方は排尿中枢を刺激し, 尿の通暢運行をスムーズにする,
田螺は田中に生じ土気を得て善く行気利水する,
車前草、葱白を配せば、利尿は更に速いだろう, 極めて有効な家伝の験方である。
内外の方薬を結合運用すれば, 補の瀉という治則は更に其の効を顕わそう。

         『名医治則解析』(人民軍医出版社 2007) より

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