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苦味健胃薬とは?

たとえばセンブリとか黄連などの苦味の強いものが日本薬局方で苦味健胃剤に分類されています。
苦味がどうして健胃剤になるのか、昔から不思議でなりませんでした。
ことにセンブリなどは千振と書いて、千回もお湯で振り出せるほどに苦いと云います。
センブリの苦味成分は鈎虫(十二指腸虫)をも駆除する力があるほどで駆虫剤でもある。
これほど強力で苦くて飲みにくいものが何故に健胃剤なのか?
空腹時に飲めば健胃どころか逆に食欲がなくなります。

探し求めていた答えのヒントを「脾を補わんとすれば」の中に見つけました。

肝には疏泄の功能があり, 脾土は肝木の疏泄を得れば, その土壤には生機が充満し,万物を生養する事が出来る。肝気の疏泄は, すなわち脾土の運化の助けとなる

中医学では健胃とは健脾のことでもあり、脾胃は同時に考えるべきものとする。
そして脾胃の健運には肝の疏泄功能が必須である。
この場合の疏泄とは膵液・胃液・胆汁などの消化液の分泌や、胃の収縮運動による食べ物の移動などを指す。
この肝の疏泄を促進する最強のものが苦味のセンブリや黄連などである。
しかしいくら疏泄が必要であっても強すぎてはいけない。
最強のものは最悪の場合にのみ必要とされる。
中医ではセンブリも黄連も健胃剤とはしていない。
センブリは清熱疎肝剤とみなして、胆嚢炎・黄疸・胆石症などに用いている。

従ってもしセンブリや黄連を健胃剤として使いたければ極微量に抑えておかなければならない。
幸い配置売薬などに含まれているこれらの薬味は分量が大変少ないので、それで健胃剤としての役割を果たしているのだろう。わが国ならではの使い方である。
中医学での薬効と日本の民間薬での薬効が同じでないのは、こういうところ(分量)にあることを知っていなければならない。
民間薬の「げんのしょうこ」や「どくだみ」の場合も同じで、中医学での使い方と日本での使い方には大きな差がある。これはまた別の機会に書きたい。

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