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脾を補わんとすれば

欲補脾者, 必于肝腎処着眼 (脾を補わんとすれば肝腎を忘れずに)

肝には疏泄の功能があり, 脾土は肝木の疏泄を得れば, その土壤には生機が充満し,万物を生養する事が出来る。肝気の疏泄は, すなわち脾土の運化の助けとなる; 肝木が若し疏泄功能を失去すれば, 脾土の運化功能も失われる。だから補中益気湯に柴胡、陳皮を用いるのは理気疏泄、幇助脾土運化の意味である。

脾と腎は五行中にあっては土と水の関系である。だから四神丸中に補骨脂を用いるのは, 辛苦大温が, 相火を補い以って君火に通ずるのが狙いである。火旺なれば土を生じる, だから方中に五味子、呉茱萸、肉豆寇を配して, 補火生土, 行気消食をはかるのである。

慢性瀉泄の多くは命門火衰による, ゆえに治療は脾胃を専治するのではなく, 下焦の元陽を大補し, 火旺土強とすれば, 慢性泄瀉は自然に治る。ゆえに補脾は補腎に如かずというのが中医の隔臓治療法である。

医案挙例:
小溲が清長となって, 已に一月を経た。脈象は尺部が軟弱で, 寸関が虚小である。気分不足, 腎陽も亦虧虚しており, 中焦に柱なく, 下焦も封蔵の固めを失っている。中気を補益し, 腎水を滋養しなければならない。

党参、当帰身、熟女貞子、炙黄耆、大白芍、広橘白、甜冬朮、淮山薬、炙升麻、炙甘草、潼疾藜、紅棗、七昧都気丸包煎。
引自:(( 孟河丁甘仁医案》。

【解析】木は土に会えば疏泄し, 土は温を得て運化する。もし脾土を補いたければ, 必ず肝木を疏泄して初めて、命火は温められる。これが即ち" 脾を補わんとすれば肝腎を忘れずに" の意味である。古代兵法 (三十六計) の" 囲魏救趙" ※ というのが, 中医でいう「隔二隔三的治則」の事である。

※ 強大な敵に対するときは、勢力を分断し、疲れさせた後に攻撃を仕掛ければ比較的簡単に打ち破ることが出来る。力ずくではなく分断して攻めるというのがこの「囲魏救趙」である。

         『名医治則解析』(人民軍医出版社 2007) より

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