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老人の咳嗽は脾腎を調えよ

(絶対に発散泄肺することは避けよ)

老人の肺機能は年齢と共に衰退し, そう理 (汗腺の機能) のキメが粗くなり, 抵抗力が低下している, 久しく肺気を損傷していると気虚になってしまう,
《王氏医存》には" 老弱人は皆表虚で汗が出易いから,凡そ麻黄、羌活、独活、荊芥、防風、白止、細辛など一切の発汗薬は, 固く禁止する。"と説かれている。

曹存心先生は云っている: 肺が虚すれば風を招き易い。老人が流涕したり、感冒に似た咳嗽をするのは, 実は脾腎の機能が虚弱になり, 衛外の機能が不足しているからである。みだりに宣揚疏達の品を用いて, 玄府洞 (汗腺) を開いてはならない, これは「犯虚虚の戒」 (虚を更に虚せしめる) に当たる, 治療には調養脾腎すべく, 玉屏風散、六君、六味を選用して補脾益腎しなければならない。
腎が虚せば、脈は肺に上循せず, 肺金は失養する;
あたかも秋燥傷肺の如くなるのは, 実は腎陰不足に責がある, 六味地黄湯を用いて滋陰降火しなければならない。

又次のように云っている。" 咳嗽が突然重くなり, 百骸を動引し, 気が臍下より逆衝して上るのを自覚すれば, 此れは腎虚のため気を原に帰し納める事が出来ない (腎不納帰) からである, 六昧地黄湯でなければ収まらない。肺は出気を司り, 気の主である, 腎は納気を司り, 気の本である。又腎は肺の子にあたり, 虚すれば其の子を補わなければならない。"

医案挙例

陰が下で虚し, 陽が浮上すると, 咳嗽は特に夜に激しくなる。
治肺しても無駄だ, 法は補腎にある。

熟地黄, 枸杞子, 天冬, 白芍, 茯苓, 山薬, 牡丹皮, 亀板。 引自:《静香楼医案》。

【解析】 腎は上では肺に連なる, 此の症は腎水虧虚により, 上潮すること能わず, 浮游の火が経を伝って肺系に上擾し, 病者の咽が干癢する症状である。其の舌質は偏紅で, 脈は必ず細であり, 外症は無い, 故に滋陰涵陽を用い, 浮游在外の虚火を下焦に帰入せしめ蟄閉させなければならない。 これが治病求本の治則である。もし医者が是れを誤認して寒邪束表, 肺気不能宣降により産生した咳嗽と判断して, 辛温発散を用いて宣肺化痰させれば間違いなく誤治である。

         『名医治則解析』(人民軍医出版社 2007) より
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  (この知識が無かったばかりに、私には母を救えなかった苦い思いがある。)

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