« 苦味健胃薬とは? | Main | 桑葉で寝汗を治す »

糖尿病治療の新説

従来の漢方による糖尿病(消渇)の治療は“三消”(多飲を上消、多食を中消、多尿を下消)に分けて考えられてきました。
しかしながら最も多いのは「自覚症状の無い、血糖値が高いだけの糖尿病」で、漢方でいう“”がありません。
そのため「高血糖値」を漢方的にいかに解釈するかが問題になります。
それを現行の民間薬治療から逆算してみた結果、“高血糖=湿熱”という概念を提示したことがありました。
この度もっと本格的な新説を見つけましたので紹介します。

厥陰を調治すれば,消渇は癒える

清・黄坤載は説いている :消渇とは,足厥陰の病である。
《症治歌訣》は説いている:“肝風は眩暈する,胃を犯せば消となる。”
黎云卿《金匱約言》は説いている:“消渇*隆淋は,皆厥陰病である,上と下に分かれて,燥湿に随って感応したものである;風木の性は,疏泄して蔵せず‥‥‥”。

肝は疏泄を主る,是れは肝が疏泄、暢達、宣泄という気に関する功能を具有することを指す。
消渇とは肝が疏泄を失し,鬱して火に化し,津液を灼傷した結果である,だから糖尿病の治療には,医者は機を識り変を観じて,仲景の旨を遵守し,厥陰を調治し,疏肝調気を法とし,順肝条達の性で以って其の生理功能を恢復すべきである。
肝気が条達し,気機が条暢すれば,精微物質は輸布され,糖は充分に利用され,血糖は自然に下降する。
《中医疏肝調気法治療糖尿病》に書かれている: 疏肝調気法を運用して糖尿病を治療すれば,膵島功能を恢復するだけでなく,膵島素の分泌を促進し,また膵島素受体結合率も恢復し,根本的に糖尿病を治癒する事ができる。

医案挙例

郭某某, 男,48歳,南昌市状元橋に住む。

【病因】情志失調して,鬱して火と化す。

【証候】口渇して飲まんと欲し、善く飲み,小便頻数で,其の色は濃油の如し,上に浮膜有り,地上に滴れた尿液に,蟻が群れてくる,ひどい時には尿に泡が立ち,大便は結,胸脅は脹満し,視物がかすみ,神倦乏力,時には下肢が攣急する。
血糖は 200mg/dl,舌質は偏紅,右関脈は弦緊である。

【辨証】水鬱土中、土不升水, 消渇。

【治則と治法】木鬱達之, 舒肝解鬱。

【方薬】逍遥散加味
 柴胡12g,白芍10g,当帰9g,甘草6g,茯苓9g,薄荷5g,生牡蛎20g,懐山薬30g,蓮子10g,扁豆9g,柿樹葉10g。

【効果】服薬5剤后,再診では渇は減り,余症も改善していたので,原方から薄荷を去り*欠実を加えて再服すること6剤,飲水は已に2/3量に減った,原方を再按して服すること8剤で,血糖はやや高いが, 尿糖は消失していた, あとは新鮮な柿の葉l0gを, 煎じてお茶代りに飲むようにした。
20日后に血糖を再検査したら正常だった, さらに参苓白朮散を, 服すること5剤で固本駆邪とした。

【解析】肝気が鬱結して,情志が傷つくと, 「木鬱土中,土不升木」となり, 消渇病が生ずる,肝気が鬱せば脾土をも傷つける,土が虚せば木へ昇ることが出来ず, 「木少敷栄、津気不布」となる。
現代医学の膵臓は中医臓象中の脾臓の功能に相当し, 人体の最重要な消化腺である,
もし肝気が鬱結して, 膵臓が傷つけば臓器の血流量は減少し, 組織は損壊される,
いわゆる「土虚不能升木」となれば,直接に膵島素缺乏に導かれ, 血液及び尿中の糖濃度は直ちに増高し, 腎臓の閉蔵功能は破壊され, 糖尿病を形成する。

柿樹葉で糖尿病を治すのは,家伝方である。
新鮮な柿樹葉は甘、凉、微渋,太陰肺経に入り,生津止渇し, 心肺鬱熱を清し, 組織細胞への糖利用を促進し,一定の降血糖作用を有する。

         『名医治則解析』(人民軍医出版社 2007) より

|

« 苦味健胃薬とは? | Main | 桑葉で寝汗を治す »

漢方」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 糖尿病治療の新説:

« 苦味健胃薬とは? | Main | 桑葉で寝汗を治す »