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不眠症の奇経治療2

不眠症の奇経治療 への追加です。
健康体では衛気は日中体表を回り、夜になると体内へ潜むので睡眠を催すと云われています。
不眠症の者はこの衛気の移動がスムーズにいかず、いつまでも衛気が陽[足尭]脉に盛んのまま残っています。

なぜ衛気が陰[足尭]脉に入れないのかというと『霊枢』では「厥気が五臓六腑に客したため衛気が陰に入れず」となっています。
その厥気(冷え)とは具体的に云うと"痰湿"のことです。痰湿はどこから産するかといえば胃経からです。

一方では陽[足尭]脉に残っている衛気は体表に近いので発汗法で外へ出してやるのが早道です。
そこで半夏が出てくるのです。
半夏の薬性は辛温です。
胃経の気分に入り厥気(冷え)の元凶である"痰湿"を除きます。
痰湿は汗となって衛気を伴って体表から発散します。

日中の衛気が入って来なかったので陰[足尭]脉は虚の状態になっています。
そこで胃経の血分に入って滋陰するのが「」即ち[禾朮]米です。
粟は北方の膏梁で味は甘酸、よく胃経の血分に入る。
内からの滋養で衛気は再び生産されます。

外では衛気を泄し、内では衛気を生産し睡眠体勢を整えると不眠症は解消します。

《霊枢》卷十。厥気客于五臓六腑,衛気不得入于陰,陰虚,目不瞑。

《古方選注》:今厥気客于臓腑,衛気独行于陽,陽[足尭]気盛不得入于陰,陰虚目不瞑。

最後にもう一つ、半夏[禾朮]米湯を煎じるには長流水を用います。
即ち千里の長流を下る江河、渓澗の水です。これは通利作用が強く出ます。
更に長流水を大きなお盆に取り、柄杓で掬い上げては落とし、水泡が無数にできるまで繰り返します。
これを“労水”といい、昔の人は「水も動かせば陽性に変わり,上へ揚げれば下走の勢を得る」と解釈しています。
長流水で出来た労水は軽くて発汗法という泄邪の目的によく適します。

煎じ方にも一工夫があります。葦薪火で煎じよ、となっています。
葦薪火とは武火すなわち強火のことです。瀉法になります。

病が新しい者は飲んだら直ぐに寝なさい。
汗が出れば治るし、久しき者でも3飲すれば治るでしょう。

(病新発者,覆杯則臥,汗出則已矣;久者,3飲而已矣。)

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