外邪をいかにして追い出すか
いわゆる肌表(衛分期)にあるうちに外邪(ウイルス)を撃退するのが第一です。
前述したように「陽虚ならば風寒に感じやすく,病を得ると寒に化しやすい」というケースは「風寒」に傷(やぶ)れたので程度に応じて“傷寒”とか“傷風”と呼びます。
「風寒の邪」にかかると強い悪寒が始まり、いくら保温しても決して寒気は無くなりません。
そこで麻黄湯や葛根湯や小青竜湯などの温熱剤で温めて発汗させて外邪を追い出さなければなりません。
ところがインフルエンザになると寒気は少しだけで直ぐに高熱を発します。温めるどころか氷嚢で冷やさなければなりません。
それで“風温,風熱”呼んで区別します。
外邪を追い出すためにはやはり発汗作用を利用しますが、温めるのではなく冷やしながら発汗させなければなりません。
そういうのを涼性発汗剤といって、桑菊飲や銀翹散などがあります。
“風温,風熱”にかかった時に特に気を付けなければならないのは (現代医学でも点滴輸液が大切なように) 発汗によって体液を失わない事です。
体液が少ないのを「陰虚」といい、はじめから陰虚だと思うように汗が出ません。
だから流行期に備えて陰虚体質の人は補陰する事こそが抵抗力を高めて予防する事になります。
例えば皮膚が乾燥する人、唾液が少なく口や舌が乾く人、鼻粘膜が乾く人、声が嗄れやすい人などは肺陰虚の傾向がありますから日頃から滋陰薬を飲んで体質改善を心掛けておかなくてはなりません。ワクチン注射よりも余程効果的です。 (つづく)
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