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酸棗仁湯で不眠症が治るか?

不眠症にはいつも大変てこずります。
不眠症に至る過程は長いのに病人は性急に効果を求めるからです。
一般に汎用されている漢方処方は次の様です。

虚証
1. 心脾虧虚  帰脾湯
2. 心胆気虚  安神定志丸
3. 肝血不足  酸棗仁湯
4. 陰虚火旺  黄連阿膠湯
5. 心腎不交  交泰丸

実証
6. 痰熱内擾  温胆湯
7. 肝鬱化火  竜胆瀉肝湯
8. 淤血内阻  血府逐淤湯

実証の不眠は極めて稀ですからここでは虚証についてのみを考えてみます。
エキス剤にあるものは帰脾湯と酸棗仁湯です。
それで世間では酸棗仁湯が多用されているようです。
何故かもう一つは帰脾湯ではなく加味帰脾湯なのです。腑に落ちません。

ここで取り上げたいのは酸棗仁湯エキスです。
これで本当に効果があった例はあるのでしょうか?

酸棗仁湯 (酸棗仁 茯苓 知母 川弓 甘草)

このように誠に薬味が少ない処方ですが方意は難解です。
構成薬味から考えられるのは「滋陰養血,清熱降火,調血疏肝,安神除煩」とそれぞれ別々の効能からなり、原因としては肝血不足が挙げられ、症状としては「虚熱内擾,肝陽上旋,虚煩不得眠」となります。
だから中医では主治が「失眠,心悸盗汗,頭目眩暈,咽干口燥」となっています。
肝血虚といえば婦人の更年期障害が代表例で、足がほてり寝苦しく、夜中にカーッと熱くなり汗をかくというような時の症状とよく似ています。

それ以外の老齢による不眠症などは肝血虚ではなく、半夏[禾朮]米湯で述べた“陽盛陰虚”(陰陽のアンバランス)が原因となる場合が多いのではないかと思うのです。
半夏[禾朮]米湯はエキス剤には無いので使いづらいでしょうが、だからといって証を見ないで酸棗仁湯で済ませてしまうのだけは止めて欲しいものです。

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