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夜間ひどくなる咳 (風邪)

自家経験

2008/05/10 背に寒気と咽に痰からみ、切れない。風邪をひいたようだ。

05/11 声重、だみ声に変わった。季節がら風熱性の風邪とみて桑菊飲を服用する。

05/12 声重がとれて代わりに咳嗽が出始めた。桑菊飲を続ける。

05/13 夜になると特に咳嗽がひどくて眠れない。途切れとぎれに眠る。桑菊飲を続ける。粘りっけのある鼻水も盛んに出る。

05/14 日中はさほど咳嗽が出ないのに夜になり床に入ると続けさまに出て胸が痛くなる。それでも桑菊飲の証だと信じて続ける。

05/15 ますます夜間の咳嗽がひどくなる一方だが桑菊飲を続ける。

05/16 このへばりつく粘痰は何だ、夜間の咳嗽に耐えられず考えていたら、ふと清肺湯《万病回春》を思い出した。 真夜中に起きて煎じ薬を作り飲んでみる。

 (黄岑・桔梗・桑白皮・杏仁・山梔子・天門冬・貝母・陳皮・大棗・竹茹2、茯苓・当帰・麦門冬3、五味子・生姜・甘草1)32

これを飲んでから少しは眠れたから効果はあったのだろう。 更にへばりつく粘痰を取り去ればと考え直して清金化痰湯に変方する。

 (黄岑・山梔子・知母・桑白皮・瓜呂仁・貝母・麦門冬・橘皮・茯苓・桔梗・甘草)

05/17 しかし日中は軽く夜間にひどいのは何故だ?陰虚がからむとすれば、もしかして温燥病か? 日本の風土に温燥病などあろうか? 腑に落ちないが症状が似ている。 試しに温燥の桑杏湯に変方する。

 (桑葉6 杏仁・沙参・貝母・淡豆鼓・<梨皮>5 山梔子4 甘草2)

05/18 いくらか楽になったが粘りのある鼻水もひどい。なお桑杏湯を続ける。

05/19 咳嗽は半減したがいまいちスッキリとしない。

05/20 原点に返って考え直す。平熱で口干もないから風熱も温燥もあり得ない。 やはりただの「傷風」にほかならない。 そこで風熱にも風寒にもどちらにも使える「止嗽散」の加味方を使うことにする。頓咳(百日咳)をヒントに、

 (紫苑・桔梗・陳皮・桑葉・連翹・貝母5 百部・白前4 荊芥3 甘草2)43

05/21 効果は覿面で、今朝はもう殆ど咳嗽が出ない。止嗽散加味を続ける。

05/22 ほぼ全快。咳嗽も鼻水も止まった。もう一日だけ服薬する。

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さて今回の風邪から学んだのは、と整理してみる。

 1. まず“風熱”ではなく、むしろ“風寒挟熱”だったこと。
五日間にわたって桑菊飲を飲み続けたのは風寒挟熱を風熱と取り間違えたためである。情けない。

 2. 清肺湯から清金化痰湯、桑杏湯へと変方して少しは効果があったのは 貝母・桑白皮・桑葉 などの薬味のせいだろう。

 3. 夜になると悪化したの、はやはり肺陰の不足が元からあったからだろう。
滋潤性の薬味が多い止嗽散は得がたい処方である。

 4. 止嗽散だけでは多分ダメだったろう。
止嗽散加味の荊芥()と桑葉・連翹・貝母()の両方があったから奏効したのだろう。
まったく‥‥‥処方が当たると3日で全快してしまう。
やっぱり漢方はスゴイ!

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鼻炎は胆経鬱熱が多い

鼻は肺の竅(穴)ではあるが慢性鼻竇炎ともなると肺からではなくて胆経から治さなくてはならない。
なぜなら鼻炎の初期は感冒外感から始まるが表熱が長引くとやがて裏へ入り胆経の鬱熱に変わるからだ。
胆経は上って鼻を犯し頭脳(鼻竇)を蒸灼するというのが中医の理論である。

鼻渊は又脳漏と称し,現代医学の急慢性鼻竇炎に相当する。
小儿の鼻渊の主要な発病機理は外感風寒、風熱,胆経鬱熱,肺気虚寒の三方面であるが,胆経鬱熱による鼻渊が臨床上もっとも多い。
胆木は最も風邪を悪み,外感風寒、風熱で表邪が解けず胆中に入ると鬱熱となる。

清代の医家で陳士鐸の著《辨証奇聞》には取渊湯というのがあり、辛夷、当帰、柴胡、貝母、梔子、玄参の六味薬からなる。
書に曰く:“胆は陽に属し,頭は亦陽なり。胆熱は久蔵されず,必ず熱は上走して頭に移る。脳は頭中に在りて,頭は蔵熱の処にあらず,小さな穴(経穴)から入り,大きな穴(竅)から出る,鼻がそれである。
六味薬の中,当帰の用法が最も巧みであり,原方では補益脳気の意味で大量に使う。張教授は小儿の鼻渊を治療する時,当帰を20gとする。
《聖済総録》に謂く:“脳は髄海なり,蔵するばかりで瀉するものはないのだが胆熱が脳に移ると,蔵した者も瀉される。
それで脳液が鼻から下滲して,劇症の時はあたかも水源から下るように濁涕が下りて已まない。”

それゆえ張教授は,鼻渊は脳液が尽く出てしまうから,脳気を大補しなければならないし,又脳液が直かに流れると,髄は精を作らないので,精が少なくなり,大腸に分布されず干燥する,故に当帰を大用するのは補脳添精の功と,滋潤腸燥の益を図っているのである。
全方は清宣と補瀉を并用し,胆火を消し脳気を盛んにすれば,濁涕は止り鼻竅は通ずる。
張教授は本方を鼻渊に応用しており臨床では鼻塞が厳重で,黄緑色の流涕や,血を帯びるのや,質が稠で気味が濃重で,舌紅苔黄,并せて煩躁易怒を伴い,頭暈口苦の症状がある。
もし肝胆湿熱の重い者なら,竜胆瀉肝湯を合用し肝胆を清瀉し,利湿開竅する。

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