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鼻炎は胆経鬱熱が多い

鼻は肺の竅(穴)ではあるが慢性鼻竇炎ともなると肺からではなくて胆経から治さなくてはならない。
なぜなら鼻炎の初期は感冒外感から始まるが表熱が長引くとやがて裏へ入り胆経の鬱熱に変わるからだ。
胆経は上って鼻を犯し頭脳(鼻竇)を蒸灼するというのが中医の理論である。

鼻渊は又脳漏と称し,現代医学の急慢性鼻竇炎に相当する。
小儿の鼻渊の主要な発病機理は外感風寒、風熱,胆経鬱熱,肺気虚寒の三方面であるが,胆経鬱熱による鼻渊が臨床上もっとも多い。
胆木は最も風邪を悪み,外感風寒、風熱で表邪が解けず胆中に入ると鬱熱となる。

清代の医家で陳士鐸の著《辨証奇聞》には取渊湯というのがあり、辛夷、当帰、柴胡、貝母、梔子、玄参の六味薬からなる。
書に曰く:“胆は陽に属し,頭は亦陽なり。胆熱は久蔵されず,必ず熱は上走して頭に移る。脳は頭中に在りて,頭は蔵熱の処にあらず,小さな穴(経穴)から入り,大きな穴(竅)から出る,鼻がそれである。
六味薬の中,当帰の用法が最も巧みであり,原方では補益脳気の意味で大量に使う。張教授は小儿の鼻渊を治療する時,当帰を20gとする。
《聖済総録》に謂く:“脳は髄海なり,蔵するばかりで瀉するものはないのだが胆熱が脳に移ると,蔵した者も瀉される。
それで脳液が鼻から下滲して,劇症の時はあたかも水源から下るように濁涕が下りて已まない。”

それゆえ張教授は,鼻渊は脳液が尽く出てしまうから,脳気を大補しなければならないし,又脳液が直かに流れると,髄は精を作らないので,精が少なくなり,大腸に分布されず干燥する,故に当帰を大用するのは補脳添精の功と,滋潤腸燥の益を図っているのである。
全方は清宣と補瀉を并用し,胆火を消し脳気を盛んにすれば,濁涕は止り鼻竅は通ずる。
張教授は本方を鼻渊に応用しており臨床では鼻塞が厳重で,黄緑色の流涕や,血を帯びるのや,質が稠で気味が濃重で,舌紅苔黄,并せて煩躁易怒を伴い,頭暈口苦の症状がある。
もし肝胆湿熱の重い者なら,竜胆瀉肝湯を合用し肝胆を清瀉し,利湿開竅する。

    病案1:丁某,女,11歳,
2002年10月 鼻流濁涕の主訴。1周前には感冒で鼻流清涕だったが,后転じて濁涕となった,某医院では,“急性鼻竇炎”と診断された。
いまは鼻流濁涕,粘稠で臭い,頭暈、頭痛、口苦、舌紅、苔黄を伴う。
外感の風邪が裏に入り熱化した胆経鬱熱の証である。
清瀉肝胆,宣透鼻竅,并佐散風止痛法。

処方:柴胡15、玄参・当帰20、貝母・梔子・辛夷・蒼耳子・黄岑・蔓荊子・川弓10、荊芥・羌活・薄荷6、甘草3。

6剤を水煎服したが,2剤の后 頭痛頭暈及び口苦は消失した,4剤の后 涕少くなり臭味は軽くなった,5剤の后 流涕があっても,色は白く黄を夾む,6剤の后 涕は消え痊愈した。

    病案2:李某,男,3歳,
2002年11月。大便は干結し、鼻塞がり、数日 濁涕を流す,涕中に血絲あり,煩躁し喜(しばしば)哭く,鼻粘膜は紅赤腫脹す,舌紅、苔黄。
胆経熱盛の証なり,上りて脳に移り,肺は清粛を失い,鼻竅は不通となる。
清肺瀉胆、通竅止涕。

処方:柴胡・貝母・辛夷・蒼耳子・黄岑・茜草10、当帰・玄参・生石膏15、梔子・胆南星・霍香・薄荷6、炙甘草3

6剤を水煎して服す,2剤の后 涕中に血絲が無くなり,3剤の后 涕は減る,4剤の后 鼻粘膜の紅腫は消え,6剤の后 鼻腔は通暢し涕は消え痊愈した。

張士卿教授応用取渊湯治療小儿鼻渊経験

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