慢性下痢(泄瀉)
60代 男 中肉 顏色普通。
かなり長く下痢を病んでいる。
形のない水様の下痢が一日3回ほどある。
よく潤った舌で格別のことはない。
水様下痢だというので安易に胃苓湯エキスを五日分出してしまった。
五日後にまた来て、一日3回あった下痢が2回に減ったというのでもう一度 胃苓湯エキスを五日分出した。
更に五日後にまた来たので聞いてみると、やはり一日2回で便の頭は普通便だが終わりの方は水様便だとのこと。
「おかしいなあ、今まで聞かなかったけど腹痛はありますか?」
「下痢の前に決まって右側が痛かったり胃の辺りが痛かったりする。」
胃苓湯の証でも冷えによって腹痛はあるものだが、十日も飲んで効かないとなれば証を間違えている事は疑いない。
脾湿が原因ではなくて肝鬱脾虚かも知れない。
そこで今回から逍遥散に痛瀉要方を加味した処方に変更した。
(柴胡・当帰・白芍・白朮・茯苓・防風5 甘草3 生姜1)34
五日後に来て云うには、便が形になってきて腹痛も軽くなったと。
そこでもう一度 同じ処方を五日分出した。
ここで猛反省!
水様便という表現に騙されてすぐに脾湿と決めてかかったのが間違いの元だった。
下痢に逍遥散を用いることはあまり無いのでつい不覚を取った。
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焦樹徳 方剤心得十講の逍遥散のところにもっと良い処方例がありました。
肝脾失和による慢性泄瀉の治療
症見脇部脹痛,腹部重墜,食欲不振,口干不欲多飲,舌質較紅,大便溏泄,毎日3~4次,四肢倦怠,飯后遅消或倒飽、面色萎黄欠沢,脈象弦細,重按乏力。
適用于慢性腸炎、腸結核等病。
逍遥散加減
(土炒当帰,柴胡,蓮子肉2 土炒白芍・土炒白朮・炒扁豆3 茯苓7 車前子・炒山薬・欠実米4 炙甘草1)35
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