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大腸ポリープ

大腸ポリープを漢方ではどうやって治療するか、という質問を受けた。
ポリーブのことを漢方では「息肉」と云い、ハナタケは「鼻息肉」または「鼻痔」と表す。
“痔”とは突起という意味である。
大腸ポリーブは“大腸息肉”または“桜桃痔”“珊瑚痔”という。

中医の大腸ポリーブの証分型は
 大腸湿熱 脾胃虚弱 脾虚湿熱 肝鬱脾虚    気滞血淤
の5つに分けられ、最初の大腸湿熱のタイプがもっとも多い。

ネットから一例を挙げれば「湿熱下迫大腸,以致腸道気機不利,経絡阻滞,淤血濁気凝聚而成。」

[治法]: 清熱去湿,活血去淤,軟堅散結

(1) (半枝蓮・黄耆10,山豆根4,訶子・意苡仁・白朮5,白花蛇舌草7)46

(2) (黄柏3 黄連1 白頭翁・丹参・白朮・茯苓・白芍3 夏枯草・意苡仁5 烏梅・車前子・川弓・五味子・甘草2)39

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排卵日がハッキリしない

20代 女、体格 顏色、普通。
生理周期が50日~70日とバラバラで、高体温期は14日程度ですが低体温期間が長い。
また低体温期から高体温期の体温上昇が緩やかで、排卵日が特定しにくい。

 汗をかきにくい  不眠(寝つきが悪い) 便秘と下痢をくりかえす  月経量が少い  月経が遅れる  目の下のクマが濃い   胃腸が弱い   寒がり

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返事 : 下痢やら目の下のクマやら胃腸が弱いやら寒がり等があれば先ず「血虚」を疑わなければなりません。
生理をつかさどる衝脉・任脉の血海がいつまでも充満しないので月経が遅れ気味になるのでしょう。
詳しく云えば血虚には次の2通りがありますが同じに考えてください。

心血虧損 (心労が続くと貧血をもたらす/心血虚)
肝血虧損 (肝における蔵血が不足する場合/肝血虚)

おすすめの漢方処方

 大補元煎 (熟地・人参・山茱萸・山薬・枸杞子・杜仲・当帰・甘草)
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激しいめまいと嘔吐

前日(2008/07/17)は今年一番の猛暑でこの辺は35℃もあった。
閉店のため表のカーテンを閉めに行った妻(64)はさすがに疲れきっていたのか軽い眩暈がすると云っていたが、食事や入浴は普段通りに済ませて就眠した。
それが何と今朝(2008/07/18)は、トイレに立とうとしたらグルグルと目が回って廊下で倒れてしまった。同時に猛烈な吐き気もしてゲーゲー悶えている。
自分は洗面器を取りに行ったが、どうすることも出来なくて傍でただ手をつかねて見ているだけである。
思いもかけない急症に、さてこれは一体何事が起こったのだろうかと思案した。
最初は食中毒かと思ったが、吐き気はあっても腹痛や下痢は無く違うようだ。
グルグル周りが回る眩暈は強烈で、吐き気はその為によるものらしい。
しばらくじっと動かず、廊下で喘いでいるうちに吐き気は収まったが頭を持ち上げると再び眩暈と吐き気が襲ってくる。

暑気当たりにしても普通は徐々に来るもので、こんなに急には来ない。
得体の知れない怪病に、取りあえず漢方の弁証を当てはめてみると、眩暈・悪心・嘔吐で導かれるのは痰濁中阻による眩暈症である。
まだ薄暗い早朝のことであったがパソコンの電源を入れて半夏白朮天麻湯を割り出して、急いで煎薬を作って一匙口元へ運べど頭が上がらない。仕方が無いので横呑みで飲ませたが飲んだ後からゲーゲー吐いてしまう。前日に食べた物は出ないで、少量の水だけが吐き出される。口渇は無く、小水も出た。

やがて夜が明けたので舌を出させてみると全然白苔はなく、綺麗な舌である。
あれあれこれは痰濁ではないぞ。
では心下に溜まった「支飲」による水飲上逆かも知れない。

「辨太陽病脈證併治中第六」の第37条
傷寒、もしくは吐し、もしくは下して後、心下逆満、気上りて胸を衝き、起れば則ち頭眩、脈沈緊、汗を発すれば則ち経を動かし、身振振として揺をなす者、苓桂朮甘湯これを主る。

『金匱要略 痰飲咳嗽病篇』
「心下に痰飲あり、胸脇支満、目眩するは、苓桂朮甘湯之を主る。夫れ短気、微飲あるは、当に小便に依りて之を去るべし。苓桂朮甘湯之を主る。」 

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神経質で気の小さな人へ

人と会うと緊張して、手が震えたり汗が出たりして苦手だという人、なんとか緊張しない気楽な性格になれないものかという相談。
これは病気というより性分の事ですが、仕事に差し支えるほどになるとやはり何とかしなければなりません。

漢方では「形神合一論」といって身体と精神は一如と考えます。
精神は生命の主体であり、精神が宿る身体は生命の本体であるから、主体と本体は切り離すことが出来ない。
具体的には“は血を蔵し,血は魂を舎(やど)す”,“は営(組織細胞)を蔵し,営は意を舎す”,“は脈を蔵し,脈は神を舎す”,“は気を蔵し,気は魄を舎す”,“は精を蔵し,精は志を舎す”と考えます。

精気神の三つは人間の“三宝”であり、かつ並列のものです。
くどいようですが体の構成物質(精・気・営・衛・血・津液)は即“精神”活動と直結する実体でもあります。
これを「形神共養」の原則と云い、“調神”と“保形”は同時系のものです。
即ち精神の病気は身体を治すことによって治せるのです。

俗に“肝っ玉が小さい”と云う時の“肝っ玉”とは、肝胆の“”に属する機能です。
すなわち「胆は中正之官,決断出ず」と表現しています。
(裁判官が判決を下すように断固とした決断力を持つのが胆である)

この胆気が少なく(胆気虚怯)、虚しておれば心気も虚してきます。(心虚胆怯)
それで心神が不安定になります。

胆気を強くする漢方処方には次の様なものがあります。あきらめないで下さい。

(1) 竜歯清魂散《類証治裁》 (竜歯・遠志・人参・当帰・茯苓・麦門冬・桂皮・甘草・延胡索・細辛)

(2) 平補鎮心丹《和剤局方》 (竜骨10 党参・酸棗仁・柏子仁・当帰・生地・山薬・麦門冬4 石菖2 遠志・人参・茯神・肉桂・五味子1)45

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左帰丸はどうして生まれたか?

左帰丸

組成: 熟地,山薬,山茱萸肉,枸杞,川牛膝,菟絲子,鹿膠,亀膠

易水内傷派 後期の代表的人物である張景岳(1563~1640)は陰陽太極理論にもとづいて処方を創作した。
有名な両儀膏・左帰丸・右帰丸などの処方である。
これらの処方が生まれるまでのいきさつを『三訂通俗傷寒論』より引用しよう。
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中国の明代に命門学説が生まれた。
そしてこの命門学説を強く提唱したのが、趙献可である。
趙献可は、理学の「万物には、それぞれ太極がある」、「人にはそれぞれ太極があり、物にもそれぞれ太極がある」(朱薫)という説を発展させ、命門は人体の太極であると主張した。
そして命門は体の中央である両腎の中間にあって、目には見えないものであり、その命門には真水と真火があり、水火は寄り添い頼り合っていると説明している。
「先天の水火は、もともと同じ臓に属している。火は水によってコントロールされ、水は火によって生まれる。したがって陰を治療しようとするなら、火を治療することによって水を治療すれば、精は尽きることがない。陽を治療しようとするなら、水を治療することによって火を治療すれば、陽光は翳ることがない」。

また彼は、命門は十二経の軸であると主張し、こう述べている。
「命門がなければ、腎は作強という性質を失い、技巧を生み出すことができなくなる。
膀胱は、三焦の気をめぐらせることができず、水道が通じなくなる。
また脾胃は水穀を腐熟することができず、五味がわからなくなる。
将軍である肝胆は決断できず、謀慮をめぐらすことができない。
大小腸は水穀を変化させることができず、二便は通じなくなる。
心は神明が暗くなり、何事にも対処できなくなる。
これが、主不明なれば十二官危うし、ということである」。
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