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臓躁病 (神経官能症)

臓躁病 (神経官能症) とは神経衰弱やヒステリーの一種です。(悲傷欲哭,精神失常)
疲れやすく(周身疲憊),よくあくびをします(数欠伸)。
この病気は婦人に多いものですが,もちろん男子にもあります。
《金匱要略》では早くから本病を認識しており,よく甘麦大棗湯で治療しています。
先師 熊魁梧教授は仲景方である甘麦大棗湯のほかに,実証または虚実挾雑の者に温胆湯を用いています。

自分の感情が傷つく事が多い(情志不遂)と なぜ病気になるのでしょうか?
漢方ではその機舒を次の様に説明しています。
憂思や鬱怒が続くと,肝胆の気に影響し,肝気や胆気の疏泄が不利となり,痰を形成します。痰は頭に上って神明(精神)を犯すようになる。

案:陳某,男,62歳。
 患者はもともと身体健康だったが、一年前に仕事がうまくいかず突然うつ病になった(心胸煩悶不適,突然神志不清,抑鬱不楽)。
半年后には常に嘆きや怯え(啼哭,驚恐不安),物音に過敏となり(悪聞雑音),家人が傍に居ないと安心できず,言葉や態度が時々空ろになり,小便を失禁することもあった。
舌質は淡,苔は黄にして干,脈は弦緩。

熊師は,これは肝胆の気が鬱結して,気の流れが阻まれ,痰湿が生じて精神が不安定(神志不寧)になったのであると考えて、清胆化痰・安神定志を図るため,温胆湯加味を処方した。

:法半夏、陳皮、酸棗仁、炙遠志各9g,茯苓、竹茹、党参各15g,枳実、麦冬各10g,黄連、甘草各6g。

 上方の加減を12剤 連服の后,言葉は格段にはっきりとし,啼哭は止み,睡眠でき,眼の充血は去った。
しかし口苦がまだひどく,睡眠も深くはないし,心胸の煩悶もあり,苔は薄黄で,脈は弦緩である。

 上方より麦冬を去り,連服すること半月后に,ようやく諸証は消失した。

以後は次のものを煎じて茶の代りに飲むようにした。

  甘草6g,小麦20g,大棗15g,

 按:本案は情志不暢に因って,肝胆の疏泄が失なわれ,痰火が内聚して,それが上って心神を乱したので煩悶不舒となったのである。
喜悲に傷れて哭かんと欲するのは,病が肝胆に在るのである。
胆火が上壅して,かつ心火が亢盛となり,両陽が夾撃する,故に口は干き苦く,舌質が紅い。

処方は温胆湯加黄連とし、胆火を清する。
鬱火が清まり,諸証が愈えて后,再び仲景の甘麦大棗湯で功を収める。

処方中の大棗・小麦は即ち安神養心の品である。
以上のいきさつから見て、熊師は酸棗仁・炙遠志などを慣用するけれども,収斂安神薬である竜骨、牡蛎、五味子の類等は用いないようにしている。

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