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防風通聖散の応用(1) 発熱

【臨床応用】
 劉氏、董氏 [江西中医葯 2001(2):67] は非典(SARS)の流行期に56例の発熱病人を接診した。
解熱剤などの化学薬品は用いず、中薬の防風通聖散加減を採用した。

中薬の基礎方剤は防風通聖散とした。

: 防風15g, 荊芥15g, 連翹15g, 麻黄6g, 薄荷10g, 川弓15g, 当帰15g, 白芍 (炒) 15g, 白朮15g, 山梔10g, 大黄10g, 芒硝 (后下) 6g, 石膏15g, 黄岑10g, 桔梗15g, 滑石15g, 甘草6g

水煎して毎日l剤を二回に分けて服用する。

腹瀉を伴えば大黄、芒硝を去り, 畏寒が無ければ麻黄を去る。
38.5℃以下の者には石膏を去り, 頭痛が重ければ羌活15g を加えた。

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治療結果: 56例中38.5℃以下の者が17例で、上方から石膏を去った;
25例は畏寒が無く、発熱が38.5℃より低い者が14例 (56% )を占め、上方から麻黄を去った;
腹瀉が毎日3~4回を超えた7例には、上方から大黄、芒硝を去った;
12例の頭痛ある者には羌活15gを加えた。

中薬を服して3日以内に熱が退いた者は51例 (91.1%),
其れ以外の者は5日以内に熱が退いた;
服薬が最少のものは2日分、最多のものは5日分だった。

防風通聖散は処方全体で風寒湿熱の邪を外散させ、内では二便を通利し、邪を表裏から分消する。
正に呉儀洛の所説のように “上下で分消させ、表裏で交治する、しかも散瀉の中にも、なお温養の意がある。だから汗を出させても表を傷つけず、下しても裏を傷つけない。”
本方は臨床上の用は少く、大半は表裏倶実の感冒や、耳鳴耳聾及び[病<隱-丙]疹(蕁麻疹)の証に用い、僅かだが痺証の治療にも用いる。

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 産后発熱: 劉某, 女, 24歳, 1997年3月18日初診。
妊娠10ヶ月になり、1997年2月15日に入院して、次の日の午後に帝王切開で出産した。
調理を慎まなかったのか産后に発熱悪寒を起こした。
診断は産褥感染(敗血症)だった。
抗生物質を用いたり、氷で冷やしたりしたが効果がなかった。

症見: 患者は高熱で悪寒があり、寒がひどくて震えている。
一方で体は炭火のごとく、煩躁して口渇あり、体のどこからも汗が出ていない。
小腹は疼痛して按ずるを拒み、悪露の量は多かったり少なかったりで、紫黯色で敗醤の如く、臭気あり、尿は少なく黄色、大便は燥結して出ず、舌は紅く苔は黄色、脈は数で力がある。
これは邪毒熾盛・直犯胞中・腑実結聚・熱淤互結の証である。

防風通聖散加減: 麻黄・防風・荊芥・当帰・川弓10g, 桔梗12g, 甘草6g, 連翹・敗醤草・石膏・紅藤30g, 大黄・芒硝(別冲)・黄岑・梔子15g, 滑石25g。

服薬2剤で数回便が下り、殆どは燥屎だった。
その後 次第に寒熱が退き、他の症はみな軽減し、悪露が増えた。
余は余邪未尽なるを慮り、なお攻めるために上方から麻黄・荊芥・防風・川弓を去り、大黄・芒硝を10gに減らして3剤を続進した。
悪露は漸く浄いになり、腹痛も除かれた。
最後に、大黄牡丹皮湯加益気養陰の品に改め、5剤で仕上げをした。

按: 産后発熱 (敗血症) は婦科の急症で、産后の護理を慎しまなかった為である。
「熱毒熾盛・直犯胞中」から「侵延全身・正邪交争」となり、表裏倶実の証を形成した。
治療は清熱瀉火・凉血化淤・疏衛調営・表裏同治とし、病機を止めて速かに治愈させることが出来た。

『難病奇方系列从書 第二輯 防風通聖散 (2009年)』 より

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