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防風通聖散の応用(4) 蕁麻疹

【病案挙例】
1. 張某, 男, 34歳, 患者は2年前に風寒を感受して, 全身に疹塊が出現したことがある, 癢さのあまり, 抓きむしる程ひどかった。いろいろの薬治を受けて, ちょっと良くなった程度で治愈には至らなかった。
1週間前に魚や蝦(えび)を食べたら再発した, 1991年11月15日に当院にて就診。
検査: 全身に大小不等で、形状さまざまな鮮紅色風団が密布しており, 圧せば退色するが,掻癢劇烈で, 発熱 (体温38.5℃) 頭痛, 口渇, 便秘, 溲赤を伴い、舌紅、苔黄, 脈は弦数である。

証は実熱内蘊, 感受外邪, 熱毒外発に属する。

防風通聖湯加減
薬用: 防風、荊芥、川弓、山梔子、黄岑、大黄 (后下) 各10g, 麻黄、薄荷各6g, 甘草8g, 石膏、苦参各15g, 芒硝 (分冲) 12g, 白鮮皮30g, 毎日1剤, 水煎早晩分服。

服薬すること8剤の后, 疹塊の大部分は消失した, 癢さは抑えられたが, ただ大便の回数が多い。

原方から芒硝を去り, 大黄の用量を減らせ, 銀花20gを加えて, 清熱解毒の功を増した。
再進すること6剤で, 皮損は全て消え,掻癢は除かれ, 疾病は治癒した。

按: 蕁麻疹は俗称“風疹塊”といい, 治療方法は疏風清熱, 解毒止癢が主である。
しかし本病例は内有実熱に属し, 又外邪を感受した表裏倶実の証であった, 故に防風通聖湯で解表通裏, 疏風清熱解毒をした;
苦参、白鮮皮を再加して清熱利湿止癢を, 銀花で解毒去火を図った。
全方は清にして透, 表裏同治により, 湿化熱除毒散の目的を達成した。

2. 李某, 男,50歳, 1998年5月10日初診:
患者は2週間前に公務で朋友と集まり会食し、辛辣肥甘の品を食べた后, その日にすぐ全身に紅色風団が現れ, 劇烈掻癢, 腹痛, 便秘の状態になった。
外来の治療で, 病情はだんだん軽減し, 以后は全身に時々少しの風団が出るだけになった。

ところがここ3日ばかり病情が重くなり, 全身に紅色風団を散発し, 劇烈な掻癢で, 面紅目赤, 腹痛便秘, 口渇舌燥, 脈は滑数で有力である。
慢性蕁麻疹 (胃腸実熱型)と診断された。

処方: 防風10g, 荊芥9g, 連翹12g, 麻黄6g, 薄荷10g, 川弓10g, 梔子12g, 酒大黄15g, 芒硝15g, 生石膏30g, 黄岑10g, 牛蒡子10g, 羌活10g, 甘草6g,

服薬すること7剤の后, 症状は明らかに軽減し, 数ヶの風団だけになり, 微癢, 二便は通常のようになったので, 酒大黄を制大黄10gに改め, 芒硝を用いずに続服すること7剤で治愈した。

按: 蕁麻疹は難治であるが, 多くは患者の禀賦不足, 衛外不固により風寒湿熱の邪を感受し, その邪が鬱そう理に鬱滞, 営衛失和となるか或いは胃腸鬱熱, 復感風邪で, 内の疏泄を得ず, 外の通達を得ず, 肌膚践理に鬱して発病する。
≪宣明論≫ の防風通聖散通過加減を, 湯剤に改めて, 慢性蕁麻疹の多種症型に対して均しく有効であった,
なかでも内有鬱熱, 復感風邪, 表裏倶実, 風熱壅盛の胃腸実熱型に対しては尤も適宜であった。


  『難病奇方系列从書 第二輯 防風通聖散 (2009年)』 より

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