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神経症 (神経官能症)

神経症には神経性抑鬱症・恐怖症・強迫症・焦慮症・疑病症・臓躁・神経衰弱などを含みます。
症状は漠然としており、緊張感・厭世感・意志消沈・不安感などと色々です。

中医では病因は心・脾・肝・胆・腎の損及にあり,それら臓腑の陰陽失調から,気滞・痰結・鬱火・淤血等の産生へと進み,心竅を蒙蔽したり心神被擾・神明逆乱・神志異常をもたらすものと考えている。

病理としては気・痰・火・淤が主で, 相互に影響しあう。
≪霊枢.大惑論≫ に曰く: "痰が胆経にあると,神は宿舎に帰らず,人は不寐となる。"
≪古今医統大全.不寐候≫に謂わく: "痰火が擾乱すれば,心神は不寧となり,思慮は過度に傷つき,火熾と痰鬱で不眠になる。"
このように多くの患者は痰熱擾心・心神不寧の証に属する。
肝気が鬱結して, 日久しくして熱と化し,肝火上炎となれば, 上の清竅を乱して頭暈頭脹となる;
肝気が脾を犯し, 脾が健運を失せば,湿が聚って痰を生じ,その痰が鬱して化熱し,痰熱となって心神を内擾すると, 失眠となる。
心煩して怒り易く,胸が悶えて口苦く,舌紅く,苔が厚くて微黄, 脈が弦滑で有力なら, 肝胆の気鬱で, 痰熱が内結する象である。
これらは, みな理気解鬱・化痰安神が治則である。

【臨床応用】
劉氏は温胆湯加減を応用して神経症180例を治療した。

温胆湯加減: 茯苓5, 竹茹・半夏・枳実・陳皮・酸棗仁・遠志・合歓花3, 竜骨・牡蛎10, 甘草2g

加減: 大便秘結者 加瓜呂仁・草決明;
   口苦口干、急躁易怒者 竜胆草・梔子;
   頭暈耳鳴、五心煩熱、腰酸遺精者 加知母、黄柏;
   久病気虚者 加党参・黄耆;
   眩暈較重者 加白芍・代赭石;
   嘔吐頻繁者 加黄連・紫蘇葉;
   [ロ曹]雑して饑えに似る者 加姜汁炒黄連;
   精神恍惚,悲傷善哭者 加淮小麦似大棗;
   精神抑鬱して, 常に咽間に物ありて梗阻を感ずる者 加鬱金、厚朴。

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楊氏は温胆湯加減を応用して神経官能症28例を治療した。

 肝気鬱結 加柴胡・炒枳売・香附・鬱金;
 気鬱化火 加竜胆草・大黄;
 気滯痰鬱 加香附・佛手・炒枳殻・代赭石;
 憂鬱傷神 加遠志・棗仁・浮小麦;
 心脾両虚 加生黄耆・当帰・竜眼肉;
 陰虚火旺 加梔子・丹皮・珍珠母。


【病案挙例】
(l) 患者, 女,43歳。2001年ll月18日初診。
2年前に職場でトラブルがあり, その后 心悸・気短(息切れ)・情緒不安・胸脇脹満・哭笑無常が出現した。
咽部に異物を感じ, 睡眠できない。
診: 舌は紅暗, 辺に歯痕あり, 腹軟かく, 肝脾を触れず, 二便は正常, 脈は弦数である。
鬱証 (神経官能症)と診断された。

証は肝気鬱結, 鬱而化火に属する。治法は疏肝理気, 解鬱清熱とする。

処方: 半夏・合歓花・石菖蒲4, 茯苓・陳皮・竹茹・炒枳殻・薤白・炒遠志3, 丹参5, 梔子6, 炒莱服子・夜交藤・浮小麦・大棗7, 珍珠母10, 炙甘草2, 南星1


(2) 秦某, 女,42歳, 干部。2001年4月15日初診。
患者は1年前にある事件で精神刺激を受けてから, 心悸, 失眠, 頭暈, 入睡困難, 寐てもすぐ目が醒める状態が出現した。
診: 精神憂鬱, 食欲不振, 月経紊乱, 眼周囲黒暈, 舌質淡, 苔白膩。
証: 気機鬱滞, 痰火内生。
治療: 黄連温胆湯, 毎日 1剤。 10剤后 睡眠が改善され, 月経が来潮した。


按: ≪素問.霊蘭秘典論≫ に云わく: "胆は, 中正の官なり, 決断出ず。" 痰熱が内擾すれば, 胆は虚して邪を受け, 決断できず, 精神は不寧となり, 精神思維方面に障碍が出る。
胆は少陽に属し, 昇発の気がある, 胆気が昇れば, 十一臓の気は皆昇る。

     『難病奇方系列从書 第三輯 温胆湯 (2009年)』 より

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