« 神経症 (神経官能症) | Main | 慢性前立腺炎 »

痴呆症 脳萎縮

病位は脳に在れど, 心、肝、脾、腎の功能失調と密切に相関している。
病理の多くは本虚標実の候に属し,本虚とは陰精、気血の虧虚であり, 標実とは気、火、痰、淤が脳に内阻することである。
≪霊枢.海論≫: "髄海が不足すれば,脳転して耳鳴し, 脛は酸(だる)く眩冒(めまい)し, 目は暗く,懈怠のあまり臥せってばかりいる。"
≪辨証録≫: "肝気の鬱から始まり; 胃気の衰で終わる。肝鬱すれば木克土となり, 痰が生まれる, 胃が衰えれば土は水を制することが出来ず, 痰は胸中に積もり,心外に盤踞して,神明を曇らせ, 呆病となる"。
多くの患者は痰濁蒙竅 及び淤血内阻であるが, 腎との相関も密切なので,補腎をおろそかにする事は出来ない。

【臨床応用】

李氏の治験
菖蒲鬱金温胆湯: 菖蒲・半夏各5, 鬱金・枳実・竹茹・南星・陳皮3

気虚 加黄耆10;
腎虚 加補骨脂10, 益智仁3;
肝気不舒 加柴胡3;
血淤 加丹参10, 牛膝3;
煩躁 加蓮子10, 遠志3;
頭痛 加川弓10, 白止3

---

【病案挙例】
(1) 張某, 男, 70歳。
初診は1994年3月27日(妻代訴), 半年前に頭昏悶痛を感じ, 記憶力が減退した, 馬鹿になったように静坐しており, 女の子が騒いでも無反応である。
症状はだんだん重くなり, 記憶力は喪失し, 神志は恍惚として, 表情は淡漠で, 数時間じっと坐っている。
西安の某医院でCT検査したら, 小脳萎縮だった, 血圧正常, 脈弦, 舌は紫で苔は白厚。

中医の診断は 肝鬱気滞,痰濁阻竅

菖蒲鬱金湯: 菖蒲5, 鬱金・竹茹・枳実・半夏・陳皮・南星・柴胡・甘草・牛膝3, 丹参・川弓10

服薬すること半月ばかりで, 神志清を感じ, 頭昏、頭悶痛は減軽し, 一部の記憶も恢復し、診察時にも表情が出てきた。
さらに服薬すること半月で,前の症状は消失し,受け答えが出来るようになり,記憶力も恢復した。

     『難病奇方系列从書 第三輯 温胆湯 (2009年)』 より
---


(2) 某女,61歳,1995年6月10日初診。
主訴: 寝てばかりおり、3年前から記憶力が減退してきた。
この1年は気力が集中せず,記憶力は明らかに減退し,語言、行動反応が鈍く, 外出時には常に路に迷い, 歩行が危うい。
舌質は淡で、 苔薄く白潤している, 脈は沈弦細。

証は痰淤阻竅に属するので, 治は豁痰開竅、益気健脾が宜しい。

二陳湯 加醒脳益気薬
処方: 半夏・陳皮・天麻・天竺黄・胆南星・益智仁・黄耆・石菖蒲・何首烏・桑椹3, 茯苓・鈎藤・白朮・赤芍・川弓・葛根・生山査・紅花・丹参5, 升麻・遠志・当帰2, 甘草1, 三七粉1 (冲)

服薬30剤の后, 精神、語言は明らかに好転した, 原方を服すること100余剤で, 精神、記憶力は基本的に正常に戻った。


按: 脳萎縮の多くは老年人の陽虚による水湿内停から, それが集まって痰となり, 経絡を阻滞し, 血淤となり発病する。
このために常に痰・淤より論治する。
諸薬を合用する事により, 化痰開竅、益気健脾、活血去淤をなし, 気血の運行は通暢して, 諸症は除かれる。

     『難病奇方系列从書 第三輯 二陳湯 (2009年)』 より

|

« 神経症 (神経官能症) | Main | 慢性前立腺炎 »

漢方」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 痴呆症 脳萎縮:

« 神経症 (神経官能症) | Main | 慢性前立腺炎 »