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湿瘡 (湿疹)

中医の古代文献には湿疹の名は無く,一般に其の発病する部位と、皮損の特徴によって違った名称がある。
例えば全身に浸淫ありて, 滋水の多い者は, 浸淫瘡と称する;
丘疹が主なら, 血風瘡とか粟瘡と称する;
耳部に発する者は, 旋耳瘡と称する;
乳頭に発する者は, 乳頭風と称する;
手部に発する者は, [痂/肉]瘡と称する;
臍部に発する者は, 臍瘡と称する;
陰嚢に発する者は, 腎嚢風とか綉球風と称する;
四肢の弯曲部に発する者は, 四弯風と称する;
嬰児が発する場合は, [女乃]癬とか胎症瘡と称する。

総じて禀賦(免疫力)が耐えず, 風、湿、熱が肌膚で阻まれた為である。


【病案挙例】
(1) 謝某, 女,39歳, 1997年8月10日初診。
患者は1週間前に双下肢に発疹が出て, ひどく癢い, 掻いたら疹塊になり, 滋水が流れた。
やがて皮疹は全身に及び, 掻癢耐え難く, 心煩し, 口苦く, 咽が干く。

診察: 四肢、躯幹に対称性の広汎な紅斑、丘疹、水疱があり局部では融合して疹塊になっている。
双小腿は腫脹し, 脛前は滲出して糜爛あり, 舌質は紅く, 苔は黄膩, 脈は弦滑である。

“湿瘡”の湿熱并重型に属する。
治療は清化湿熱, 解毒止癢法で, 処方は竜胆瀉肝湯加減とすべし。

処方: 黄岑・竜胆草・梔子・車前子・沢瀉・木通・大黄3.5, 生地黄・馬歯見10, 羚羊角2

連進すること7剤, また配合薬液で滲出する処を冷湿敷する。

病情は明らかに好転し, 腫は消え, 滲出は干燥して結痂となった。
処方から大黄、羚羊角を去り, 茵陳5、霍香3.5gを加えて,再服すること7剤で癒えた。


按: 湿瘡の多くは風、湿、熱邪が肌膚に客したものである。
本病例も湿熱内蘊, 湿熱并重, 浸淫肌膚に属し, 湿瘡の急性期である。
竜胆瀉肝湯で清利湿熱し, 羚羊角を加えて清営凉血解毒すれば,効果が迅速である。
馬歯見で清熱解毒、凉血消腫する。
症状が改善した后は霍香、茵陳を加え, 時令である暑湿の邪を去り余功を収める。


(2) 肖某, 男,35歳, 1993年8月就診。
6年来, 毎年炎夏になると, きまって小腿の内側に水疱を生じ, 奇癢忍び難い, 掻けば流水して, 潰破結癡する。
飲酒后は更にひどくなる。
踝の関節上に手掌大の対称性紅斑があり, 丘疹水泡は, 破潰して黄水が流れており, 掻癢がひどく, 口干苦を伴い, 尿黄, 便秘, 苔は黄膩, 脈は滑である。

肝経湿熱, 熱毒浸淫の証に属するので, 清肝瀉熱、解毒利湿の法を用いる。

処方: 竜胆草・梔子・黄岑・生地・白鮮皮・白疾藜・土茯苓・生甘草5, 車前子4, 当帰・柴胡3, 木通・蝉蛻2

并びに薬渣を布に包んで患部を熱敷する。
連服すること3剤にして, 掻癢は止った。 10日后には水泡が結癡した, なお上方を連進すること7剤にして, 結痂は脱し症は除かれた。


按: 患者は湿風邪を外感し, 実火熱毒が内蘊していた, 故に竜胆瀉肝湯で清熱利湿して治癒した。
土茯苓、白鮮皮は去風燥湿, 清熱解毒する;
白疾黎、蝉蛻は清肝利湿、去風止癢する。
薬渣で局部を熱敷して解毒止癢の効を増した。

     『難病奇方系列从書 第三輯 竜胆瀉肝湯 (2009年)』 より

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