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二陳湯には烏梅を入れよ!

二陳湯はもと烏梅l個を用いている。
半夏は烏梅を得れば燥湿化痰しても気陰を傷つける憂いが無い。
烏梅は半夏を得れば肺気を収斂しても去邪の邪魔をする慮れは無い。
后世には烏梅の酸渋収斂性が 湿痰を去る半夏と抵触するから 良くないのではないかと疑う人がある。
或いは烏梅は"薬引子(引経薬)"としての用法だからといって略してしまっている。
例えば≪医方集解≫、≪成方切用≫、≪医宗金鑑≫ 等には烏梅を載せていないし, 現今の臨床でも用いない場合が多い。
≪方剤学≫の教材2版でも"近代用法では,生姜、烏梅は用いない"と謂っている;
≪簡明中医詞典≫も亦 現代では用いない場合が多いと謂っている。

張紅麗は処方の要は配伍にあると強調している。
二陳湯の主治は湿痰証で,病は肺脾二臓に在る。
方中の半夏は燥湿化痰し, 陳皮は理気去痰し,気を順にして痰を消させる,茯苓は健脾滲湿し, 生痰の源を絶ち,甘草は諸薬を調和する。
肺は"華盖(天蓋)" の臓で, 宣発と粛降を主る。
故に治肺の諸方は,常に肺の宣発粛降に逆らわないように注意して配薬する。

例えば小青竜湯、苓甘五味姜辛湯等はそうしている。
本方には少し許りの烏梅が佐薬として入っており,味は酸で性は渋で, ≪本草綱目求真≫卷2 には"肺に入れば収となる"と云っている。

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方中の烏梅の作用を,細かく分析すると四つになる:
一は,斂肺止咳で,李時珍の云う"久嗽を止める",
二は,半夏、生姜の辛散の品と配伍されれば,散中に収ありで, 散じても正気を傷つけさせないし,収めても邪を収斂させず,肺の宣発粛降の主作用に適している, 即ち王好古の言う: "肺は収を欲し,急に酸を食して収める"の意であり, 李時珍の謂う"涌痰"の功の事である。;
三は, 陶弘景の云う"去痰"で, 烏梅は本もと去痰の功を兼ね備えている事;
四は,烏梅の酸斂生津の作用で,半夏が辛燥し過ぎるのを防ぐ, 何故なら肺は燥を悪むからである,且つ烏梅の用量は少くて, 助湿斂痰にはならない。
この故に,二陳湯の中に烏梅を佐入させるのは,理に合っている。

二陳湯の中の烏梅の深い意義については, ≪太平恵民和剤局方≫ 及び宋代の名方書≪聖済総録≫の中からも佐証できる。
先ず, ≪太平恵民和剤局方≫ では烏梅を化痰止咳作用の増強に用いている。
≪太平恵民和剤局方.卷四≫ 中には烏梅の用方が全部で5首あり,其の中で用量が最大の者は3両(90g)に達する,二陳湯を除外して,他の4首は均しく咳嗽痰喘を主治する。
去痰止咳方の中に烏梅を加えるのは≪太平恵民和剤局方≫に常見される用薬形式である。
例えば一切の咳嗽に用いられる杏子湯の方后に云わく: "服用にあたり烏梅一個を添えて煎服すれば, 尤も効験がある"。
久咳止まざる者には, 常に多くの烏梅を加えるか,或いは烏梅に罌粟殻 等を配する。
同時に,宋代の化痰止咳方中にも烏梅を配伍した応用形式がある。
宋代を代表する方書≪聖済総録≫の例では, 其の中の"痰飲門"の"痰癖脇痛" の用治にある五飲丸では,烏梅1両(30g)を用いてあり,方中の他の主薬と同量である;
"咳嗽門" の"治咳嗽" に用いる百部丸, "治五臓諸咳" の前胡湯には, 方中に半夏、茯苓、甘草、烏梅、生姜を並べている, 烏梅の用は1両にもなり,別に前胡、麻黄、杏仁、五味子等を配伍して,化痰止嗽、収散相合的な功効を上げているのは,二陳湯と同じである。

     『難病奇方系列从書 第三輯 二陳湯 (2009年)』 より

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