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持薬と風邪薬を一緒に飲んでもいいか?

ある方からの相談です。

> いま風邪を引いていますが、普段飲んでいる持薬と併せて風邪薬を飲んでもいいでしょうか?

慢性病の時の体調と急性病の時の体調は全然違います。
慢性病は症状が緩やかに出ているので日常生活にさほど支障はきたしませんが、急性病では症状が激しくて日常生活は中断されます。
それ程に急性病の体への負担は大きいのです。
慢性病はそのままにしておいてでも、風邪を先に治さなければなりません。

実際に急性病の時の状態では、いくら慢性病の持薬を飲んでもそれは効かないでしょう。
方証相対といって、処方と証が合っていなければ薬効は現れません。
一時 持薬を飲むのを中断して、急性病の薬で風邪などを治してから又 持薬の方へ戻ってください。

漢方では 「急なれば標を、緩なれば本を治す」 というのが原則です。
標とは危急の証候のことで、本とは長らく続いている証候のことです。

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インフルエンザを予防したいが・・・

ある方からの相談です。

> 僕も含めて家族がかかるのを予防できないかと思いました。

空気伝染をするインフルエンザは殆ど予防が出来ません。
人から離れている事が唯一の予防法です。

> 娘がA型インフルエンザにかかりました。

家族が発病すると、これはもう家の中にウィルスが飛んでいます。
呼吸で吸い込む事は避けられません。
体内では必ず免疫力による闘病反応が起こります。
さむけ・発熱・頭痛・咽痛・咳嗽・鼻水などです。
一人一人、免疫力によって症状は違います。
現れている症状によって闘いの現場へ応援を送らなければなりません。

寒気なら発汗するように、発熱なら清熱法を、咽痛なら解毒法を、咳嗽なら清肺法をとそれぞれです。
誰でもみな一つの方法で済むという訳には行きません。

症状が出ていないのに予防の為に飲む事は出来ませんが、一つだけやり方があります。
それは例年どんな風邪を引いていたかを振り返ってみて、自分の風邪はいつも寒気から始まるとか、あるいは咽痛から始まるとか、痰のからむ咳嗽を伴うとか、何か特徴があるはずです。
それを思い出して未然に先手でその対応する処方を服薬する事です。
みな一様にワクチンを注射するよりも、こちらの方が個性的です。

A型とか新型とか季節性とかインフルエンザの型については全然考える必要はありません。
みんな一緒だと思ってください。
何故なら病んでいるのは ウィルスではなく、自分の肉体なんですから。
自分を放っておいてウィルスばかりをやっつけたって治療になっていません。

この頃、麻黄湯が新型インフルエンザに有効だという情報が流れていますが、理屈から云っても一つの処方が誰にも効くものでは無いという事はお分かりでしょう。

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おなら再々考

やはり、「おならは何故出るのか?」 納得のいく説明が欲しいところです。
老人の不眠症」を書いていたら、ここに肝腎陰虚の症状の一つに“おなら(矢気)が多くなる”というのがあります。

すぐに閃いたのは『傷寒論』の小承気湯の所にある“転矢気”のくだりです。
転矢気とは、おならが出る事で「燥屎」がある事でもあります。

肝腎陰虚でおならが多くなるのと、燥屎があっておならが出るのとは結果的には同じ事です。
大腸内の潤いが不足してくるとおならが発生するのです。

食べ物と一緒に飲み込んだ空気(呑気)が おならの原因だというだけでは、やはり納得できません。
燥屎が原因だ、大腸内の乾燥が原因だ、広く見れば陰虚が原因だ、という説明だとかなり納得がいきませんか ?

私も相当に肝腎の陰虚が進んでいます。

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老人の不眠症

歳をとれば「腎精虧虚,腎陰不足」になるのが常です。
《素問・陰陽応象大論》に曰く“陰気が半分になれば,起居も衰えるよ”
足の少陰腎経と手の少陰心経は一方が“水”で一方が“火”である。
相互に制約しあい、相互に資生となる。
所謂“心腎が相い交われば,水火は正常な生理機能を保つ”

もし腎水が不足し,心火が亢盛となれば,心腎は不交となり,必ずや心煩・失眠となる。


肝腎陰虚, 陰虚陽亢の症状は次の様である。
頭暈、耳鳴し, 飢えても食べられず, 大便は干結し, おなら(矢気)が多くなり, 舌は乾き, 裂紋ができる。

黄連阿膠湯加味:
 黄連3g,黄岑6g,白芍12g,阿膠12g,党参12g,生甘草3g,山梔子10g,生鶏蛋1枚(冲)。


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またの処方、

黄連12g、黄岑10g、白芍15 g、生地20 g、生竜骨25g(先煎)、生牡蛎(先煎)25g、阿膠10g,鶏子黄2枚。

肝鬱化火を兼ねれば,+鈎藤、夏枯草;
潮熱盗汗を兼ねれば,+黄柏、地骨皮;
腰膝酸軟が甚しければ,+杜仲、菟絲子;
気虚を兼ねれば,+党参、黄耆;
血虚を兼ねれば,+熟地、鶏血藤。

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黄連阿膠湯加味の法

若し陰虚が重ければ,+生地、百合,陰液を滋養する;
若し肝血が不足すれば,+酸棗仁、当帰,養肝補血安神をする;
若し肝陽上亢が明らかなら,+生竜骨、生牡蛎,重鎮安神させる。

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陽気が昇る時間//陽気を上げる食物

升陽益胃湯《内外傷辨惑論》の方后注に、この湯薬の服用方法が書かれています。

「早飯午飯之間温服。」
即ち「早飯(朝食)と午飯(昼食)の間に温服せよ」となります。
五行説では、午前7~9時の間は辰巳の時で、肝の時令に当たり,陽升之時(陽気が昇る時間帯)です。
肝は時の助けを得て、この時に最も升発疏泄の功を発揮します。

升陽益胃湯は、胃中の陽気を上げるのが目的です。
だから服用するのは午前7~9時でなければならないのです。

時間には時間の力があるように、また食物にも食物の力があります。

【用法】毎服3銭。加生姜5片・大棗2枚。早飯後温服。

朝の薄味か美食(おいしい食物)は その薬力を助け、升浮の気を益し、胃気を滋す。
長く煎じて気を厚くした方が良く、朝食と昼食の間に用いて 穀物の気を借りて薬力を助けてこそ始めて胃中の陽は昇ることが出来る。

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勤めに行くのに朝 起きるのが辛いというタイプの人がいます。
朝から体がだるくて、顔を洗っている時も「だやい だやい」と連発しています。
冷え性で、よく胃腸をこわし、風邪を引きやすいのです。
熱も出ないのに、体がだるくなると「風邪をひいた」と決め込みます。
実際、本人には風邪以外には説明が付かないからです。
寒気がしてもそれは外感によるものではなく、肺の衛陽不足による寒気に過ぎません。
風邪ひきではなく、胃の陽気が足りないだけです。
升陽益胃湯をお勧めします。

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