唇風 (剥脱性唇炎)
“陰火上衝”の具体例です。
夏某,男,27歳,2000年5月18日初診。
患者は公安の仕事に従事しており,生活の規律を欠くことが多く,時には徹夜になり,飲食がでたらめである。
翌年の秋以来,周期性に口唇皸裂を発し,脱皮干燥すること火燎の如く,堪え難し,近くで医療を求むるも効なし。
症見は形体消痩,精神疲倦,面色少華,口唇は稍腫れ,皸裂脱皮,干燥して火燎の如し,唇色は丹の如く,食少なく時に腹脹し,大便は溏,毎天4~5次。
舌尖は稍紅く,舌苔薄く,脈細弱。
診断 :唇風(剥脱性唇炎)。
辨証 :脾陰虧乏,陰火内生。
治療 :健脾益気降陰火。
処方 :参苓白朮散加減。
【処方】 (山薬6 [火畏]葛根・生白芍薬・炒麦芽・炒扁豆・炒谷芽5 太子参4 炒白朮・冬桑葉・石斛・緑梅花・麦門冬3 黄連・淡竹葉・生甘草2)42
二診:服薬5剤后,唇色は淡に変り,腫れは消え,皸裂脱屑は明らかに好転し,食欲は増進した,舌苔は薄く,脈弱。
上方より黄連を去り,胡黄連2 烏梅3gを加える。
継服すること7剤。
三診:服薬后大便は已に正常となり,口唇皸裂も已に癒え,脈舌は正常となった。
上方より烏梅・胡黄連を去り,砂仁(后下)2gを加えて,継服すること10剤で以って療効を鞏固ならしめる。
【按語】此案は脾胃気虚から,陰火内生へと導びかれた。
患者は労倦により飲食が脾胃を内傷し,脾虚により運化が失職し,形体消痩となり,食欲減退と便溏をきたした。
脾は口に開竅し,其の華は唇に在る,脾虚して陰火が上升すれば口唇は皸裂して,色が丹を塗りたる如くになる。
(張暁明.胡斌治療疑難雑症四則.実用中医薬雑志,2003-6-316)
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古くはこんなのもありました。
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