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宿酔いと漢方

我が国では何時の頃からか、誰云うとなく「宿酔いには五苓散と半夏瀉心湯や黄連解毒湯が効く」と云われています。
その根拠は何でしょうか?
したり顔で胃内停水とか水逆とかの説明をこじつけていますが、誰も反論する人がいません。

明治の漢方医、浅田宗伯の『勿語薬室方函口訣』には次の様にあります。

連葛解酲湯
酒客の久痢に効あり俗疝瀉などと唱るもの真武湯七成湯等を與て効なきとき腸胃の湿熱に着眼して此方を用ゆべし又酒毒を解すること葛花解酲湯より優なり

即ち連葛解酲湯と葛花解酲湯が、酩酊に良いとあります。
こういう過去の名医達が残した智慧の遺産を省みずに、浅はかな現代人の学識だけで満足するのは危険です。

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酒を飲んだ後で口が干くのを見れば酒の性が"湿熱"である事は明らかです。
現代の生理学が既に明らかにしているように飲酒時の副産物であるアセトアルデヒドが酒後の頭痛や嘔吐の原因です。
これは昔から酒毒之邪と云われています。
酒毒は血液中に残っているので利尿ぐらいでは簡単には排出されません。
血管にもっとも近い汗腺からの発汗によってでなければ解毒できません。
それが可能なのは発汗と生津が出来る葛花葛根です。
(出典を忘れましたが、解酒に葛根湯が有効であったという江戸期の文書を読んだ事もあります)

酒の昇性のために気が上に昇って顏は赤くなり、呼吸も荒くなります。
その為に下部では尿渋が起こります。
これには伏苓・猪苓・沢瀉などで清熱利尿させなければなりません。

また酒の湿熱性が胃の内容物と結びついて色々な悪さをします。
往々にして酒飲みが好むのは脂濃いものか刺身のような冷物です。
脂濃いものと酒の熱性が結ぶと「湿熱」に変化し易いし、冷物と酒の熱性が結ぶと「熱が内鬱」し易い。
(酒客が酔後に振寒戦慄するのは後者の方で、寒冷物が熱を包んで放散させないからだという説があります)

飲酒の翌日の状態にも色々あります。
湿が寒へと変われば「中陽不振」となり、嘔吐・心煩・頭痛・胸膈痞塞・大便泄瀉・小便不利などの症状が現れます。
"醒脾"作用のある砂仁・白荳寇などで覚醒を助けてやらなければなりません。

湿熱がそのまま残り、口渇して冷飲を欲するなら肝機能にも影響します。
枳棋子・茵陳・黄岑・黄連などで肝臓湿熱を清利しなければなりません。

"飲酒に発積多し"と云うように、油膩冷物が不消化な停滞物()となって残ります。
これを消化させるには"消積"の神麹などが必要になります。

以上のような考察から作られたのが葛花根解酲湯を基にした現代中医の「醒酒丸」です。

 枳棋子、茵陳、砂仁、白荳寇、伏苓、猪苓、白朮、党参、葛花、木香、青皮、陳皮、神麹、沢瀉、乾姜

※ 飲酒の前に予防的に飲むものとしては、

万盃不酔丹 (葛根・葛花・緑豆花・菊花・豌豆花・細芽茶・陳皮5 真牛黄1 青塩)

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