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肩凝りと漢方

肩凝りとは何でしょうか?
私は筋肉疲労だと思います。
細い首や肩の筋肉が重い頭を長時間 支え続けると、やがて支え切れずに筋肉が悲鳴を上げるのが肩こりではないでしょうか。
このダメージは簡単に解消するような性質のものではありません。
マッサージしたり温めたり叩いたりしながら少しずつ疲労が消えていくのを待つしかありません。
これは生活習慣病というもので、外感によるものでもないし、内因によるものでもありません。
三因方』(三因極一病証方論) によれば、病因は内因・外因・不内外因に分けられます。
このうちの不内外因に当たるのが飲食の乱れや過労などで、ここへ肩凝りも含まれます。
外感などは外因によるので防御や駆逐で守れます。
内臓疾患や精神的な病気は内因によるものですが、病気の形成までには長い時間がかかりますから、どれだけでもリセットをする機会があります。
ところが飲食や過労などは外因でもなく内因でもなく、不内外因となると一旦犯してしまうと取り返しが効きません。
即つけが回って来ます。

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さて、そんな厄介な肩凝りを漢方ではどうやって解決するのでしょうか?
世間の通説では葛根湯だとか大柴胡湯だとか桂枝茯苓丸だとか色々な処方が良いとされています。
しかしそれらの処方には皆「方意」というものがあり、があります。
そして外因・内因への対応処方ばかりです。

葛根湯は外因の場合だし、大柴胡湯や桂枝茯苓丸は内因による場合です。

では不内外因にはどうすれば良いのでしょうか?
飽食と腹脹(腹満) も不内外因の一つの例でした。

肩凝りへの対処法は私にとって長い間の課題でした。
雑誌などの情報で葛根湯を買いに来る方へは絶対に売りませんでした。
肩凝りは疲れなのだから薬では治らないと皆 断りました。
しかし肩凝りは厳然として存在する立派な症状ですから何か解決方法があるはずです。
長い思索の末に遂にひとつの結論に達したのでここに披露します。
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肩凝りが筋肉疲労ならば筋肉を強くすれば良いだろう。
筋肉は五行では“”に属する。
薄い筋肉や細い筋肉は肝血虚・肝陰虚に属します。
これらを補うには補肝・養肝・補血・養血・柔肝・護肝などの方法をとります。
軽い肩凝りなら当帰・芍薬などで補血してやるだけで一時的にかなり楽になる場合もあるでしょう。
しかし日常的な職業的な頑固な肩凝りとなるとそんなに簡単には取れてくれません。
こちらの方言では「肩かい目」といって、肩凝りに伴う眼精疲労というのもあります。
眼精疲労では目の乾燥や充血があります。
これを「目干渋」といい「陰虧血虚」の症状と見なしています。

そういう事で老化とも関連のある陰虧血虚から攻めていけばどうだろうか?
滋陰・養血法にも色々あります。
そんじょそこらの滋陰養血法では歯が立たないでしょう。
そこで思いついたのが滋陰降火法です。
これは陰虚が亢じて虚火を帯びた時の方法です。
肩凝りという繰り返して起こる症状には必ず熱の性質が混入しているはずです。
その熱のために血枯干渋の速度が非常に早くなる。

滋陰養血なら先ず四物湯です。
これに降火の成分である黄柏・知母・玄参などを加えたらどうだろうか。
目干渋には補肝四物湯 (当帰・川弓・白芍・熟地・黄柏・疾藜子) というのがある。
知柏四物湯《症因脈治》も「肝経血熱筋攣」の効用がある。
老化してくると避けられない面部黄褐斑(シミ) には桃紅四物湯を例にあげたが黄褐斑(シミ) はあたかも皮膚の焦げ痕です。
滋陰養血と降火とは非常に良い組み合わせになります。
黄柏などの苦味薬は単に瀉火や降火という以上に「苦は固める」という意味があり、固陰として補陰よりも強力に働きます。

(こうやって推敲していると、畏れ多くも大塚敬節先生が七物降下湯を創作された時もこのような気持ちだったのではなかろうかと思えたりします)

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