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口苦

 苦は火の味であり,心は火を主る,故に多くの心胆火熱の病証には均しく口苦がある。
但し口苦にも全く火熱に因らず,寒や虚に因って引起されるものがある。

朱丹渓は《脈因証治》で、張景嶽は《原病式》で次のように云っている。

“如し口苦する者,……凡そ思慮労倦,色欲過度なる者に,多く口苦あり……此れは一見 心脾に原因があるようだが,そうではなく原因は肝腎にある。心脾が虚せば,肝胆の邪は溢れて苦となるのである。”

【症例】

   

1.脾腎陽気虚

    張某,女性,45歳。
患者はこの一个月来,夜間2~3時頃になると目が醒め,醒めた后に口苦を自覚する,口を嗽いだり物を食べると緩解する。
再び眠っても,夢が多くて醒めやすい。
翌朝起きると,口苦は消失している。
腰がだるく,飲食はまあまあで,二便も調っている。
口は渇かず,ゲップもなく,面色が悪い。
舌淡で質は嫩,辺に歯痕あり,脈は細で両尺が弱い。
此れは火熱に非ず,心脾が不足しており,腎気も亦虚している。
張景嶽の謂う;“心脾が虚せば肝胆の邪は溢れる”。
治は補心脾,益腎気に宜し。
たまたま夏季だったので,患者は湯剤を服する事を願わなかったので,人参帰脾丸・金匱腎気丸を與えた。
連服すること一周にして,早くも痊愈するを獲た。(〈河北中医》1;33,1983)

   

2.心脾両虚

    李某,男性,63歳。
患者は四个月前,頭暈肢麻を起したので,検査をしたら脳動脈硬化と診断された。
今朝の四時ごろに目醒めてから,頭暈がして眠れない。
口苦と食欲不振を伴い,肢が麻れる。
ゲップは無く,二便は調っている。
体は肥胖していて面色が白く,肌肉は弛み,舌質は嫩で色が淡く,辺に紫色の淤斑あり,苔は薄く白い,脈は細弱。
此れは高齢による気血不足,心脾両虧,兼 絡脈淤阻である。

帰脾湯加味:
 黄耆・党参・白朮・当帰・茯苓・酸棗仁・竜眼肉・丹参・川弓10、木香3、甘草5

服薬二剤で,眩暈は止り,口苦等の症も亦消えた。(〈河北中医》1,33,1983)

    3.陽虚湿阻

    仁某,女性,62歳。
口苦すでに一月になり,口中が粘膩となり,6~7日間 飲食していない。
面色は恍白で,頭昏と耳鳴,腰膝は酸軟となり,肢凉で温まらず,心悸,夜は眠られず,便が干いて,二日に一行,小溲はよく出る。
舌質は淡,苔は白膩,脈は沈細,両尺部が尤も甚しい。
此れは高齢による腎虧,腎陽の虚衰で,脾陽を温煦できず,脾の運化功能が低下して,湿が内生し,脾不和となったものである。
治は温腎陽,升脾陽,化湿運中するに宜し。

 補骨脂・霍梗・茯苓12、蒼朮・陳皮10、干姜・厚朴・白荳寇6

服薬すること四剤の后,諸症は悉く除かれた。(《中医雑志》5168,1982)

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