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清暑益気湯

酷暑盛夏に対して中医ではどんな方法を用いるのか?
有名な処方に清暑益気湯というのがあります。
これには二種類があります。
ひとつは金元四大家の李東垣のもので、暑月の湿熱が気を傷つけたか、或いは脾気が元々虚していて,そこへ湿熱の病邪を感じた場合の常用方です。
(日本では専らこちらが有名です。)

これに対して清代の王孟英は《温熱経緯·湿熱篇》の中で,「此の方は“清暑”の名を付けているけれども,清暑の実効が無い。」といって、自分で創作したものがもうひとつのものです。
此の方は后世の医家には重視されています。
現代の臨床応用からいっても,王氏の清暑益気湯は応用機会が非常に多いものです。
(熱中病で救急車で運ばれるような人達にはこちらの方です。点滴や輸液も良いですが、これを使えば効果抜群だよ!)

李氏の清暑益気湯は,黄耆、人参、白朮、蒼朮、神曲、青皮、陳皮、麦冬、五味子、当帰、沢瀉、黄柏、葛根、升麻、姜、棗、炙草を組成としています。
主要な適用は長夏の湿熱が熏蒸して,肢倦身重,胸悶気促,精神萎靡,身熱心煩,口渇悪食,小便赤渋,大便溏瀉 及び苔膩脈虚の証を表現する場合です。
其の証は暑湿を「」とし,脾肺の元気虚弱を「」としており,治療上は去除暑湿、培補元気の法にて標本兼顧するものです。

王氏の清暑益気湯は、西洋参、石斛、麦冬、黄連、竹葉、荷梗、知母、粳米、西瓜翠衣、甘草を組成としています。
これには清暑益気、養陰生津の功効があります。
だから中暑受熱,気陰両傷で,身熱多汗、体倦気短、口渇心煩、精神不振、小便短赤、脈虚細数の証を表現する場合に適用されます。
特に老人と小儿の夏季熱患者に対してもっとも適しています。

王氏は,“暑は乃ち天の熱気なり……純陽にして無陰”とみなしています。
湿はもともと二気で,兼感しやすいが、暑の中に湿の無い場合がある。
それなのに時医は温補燥湿の剤を用いて暑熱を治療しようとするが却って悪化する例が少くない。
李氏の方薬は温燥滲利に偏っており,耗津傷液しやすく,暑熱厳重で純陽無陰の証に対しては相応しくない。
王氏の清暑益気湯は甘寒濡潤の西洋参、麦冬、石斛 及び粳米、甘草の益気生津のものと;西瓜翠衣、黄連、知母、荷梗、竹葉の清熱消暑,利尿除煩のものが,配合されて,共奏して清熱解暑、養陰生津の効を発揮する。

李氏は治脾に長じ,脾気を升発する事を主張し;
王氏は津液を重視し,偏えに養陰生津の治療をする。
太陰湿土(脾)は,陽を得て始めて運ばれる,李氏の立方の根拠である,
陽明燥土(胃)は,陰を得て安定する,津液が既に奪われておれば,陽気は無根のため,陰血は生じない,ただ津液さえ充足すれば気血は自ら回復する。

二方は同じく清暑益気湯というが,李氏は補脾気に重きを置き,王氏は養胃陰に重きを置いている。
故に暑湿偏盛で,脾気虚弱の者には,李氏の方を用いて健脾燥湿すれば良く;
暑熱偏盛で,胃津耗損の者には,王氏の方を用いて養胃生津すれば良い。

(《健康報》より転載)

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