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桂枝新加湯証5

《臨証実験録》 足跟痛

 常某,男,33歳,忻州運輸公司車隊文書。
曽って失眠六年を苦しんで,余は桂枝加竜牡湯を用いて治愈した事がある。
近ごろはバスケ(籃球)の試合に参加しており,運動が激しいところ,当晩は足跟が痛み,并せて下肢の水腫と,腰脊の酸困(だるさ)が出現した。
X線片では骨質の損害は見当たらない。
某医は腎虚と按じて三月余も治療し,服薬は百剤近くになり,水腫は消失したが,然し足跟の疼痛と,腰脊の酸困は毫も軽くならない,且つ同房后には明らかに劇化する。
遂いに復診にやってきた。
 足跟の疼痛と,腰脊のだるさ(酸楚)が,疲労すると劇しくなり,休息すれば緩くなるのは,腎虚の症である。
《医宗金鑑·外科心法要訣》に云く:“督脈は源を腎に発し,三陰の虚熱で足跟は痛む。”
補腎の一法は,固より朝夕に得られるに非ざれど,然し三月も経っているのに,少しも効かない。
効が顕れないのには,必ず伏因があるはずだ。
形舌を観察しても,特に異常がない。
飲食や二便は,昔日と同じである。
其の脈を診れば,細緩無力。
其の腹に触れれば,腹筋が攣急し,皮膚は湿潤し,汗が津津と出ている。
余は問う:“いつも発熱すると汗が出ますか? 悪寒はありますか?”
答えて曰く:“はい、あります。”
ここに至って,太陽病の中風で,営衛不和,外邪未浄の証であることが,はっきりした。
前医の薬証は間違いで,いくら補っても無効だった訳だ。
《霊枢·経筋》に云く:“足の太陽の筋は,足小指より起き,上って踝に結び,斜めに上って膝に結ぶ,其の下では足の外踝を循り,踵に結び,上っては跟を循り……上って臀に結び,脊を夾んで項を上る。”
其の病は,“跟腫が痛み,脊は反折する。”
今 太陽の表虚で,気陰虚損し,筋脈失養すれば,足跟は痛み,腰脊は困する。
治は当に調和営衛,補気益陰すべし。
桂枝新加湯を試す。

 桂枝10 白芍・党参15 炙甘草6g 生姜10片 紅棗5枚

二剤の后 症状は見るまに軽くなり,連服すること六剤で,足跟の疼痛と,腰脊の酸楚は尽く消えた。

 李映淮老師の評語: 足跟痛は腎虚、湿熱下注に多い。営衛不和で起きるのは,甚だ少い。桂枝新加湯を用いて治愈するなど,思っても見なかった事だろう。

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