糖尿病と消化管合併症2
「糖尿病と消化管合併症」の記事で
『升陽益胃湯治療糖尿病胃軽[病<難-丙]48例 』(<<四川中医>>2001年 第19卷 第07期)
が見られなくて内容不明と書きましたが、この度 文献を入手出来ましたので披露します。
唾液が多い
多唾とは即ち口中に唾液が多く,黏稠か或いは清稀で,時々唾かざるを得ず,頗る煩わしいものである。
中医では多唾は神すなわち元気を傷つけるものと認識しており,一種の不健康の表われである。
多唾は多く身体虚弱な人に見られ,其の他の全身症状を伴う事がある。
唾液・涕・涙から何が分かるか?(3)
二、涕泪異常の意味
先ず,涕泪の異常は臓虚に対して一定の予診の意義がある。
涕、泪はもと肝肺より出る,
正常なら,肝肺が充実しておれば津液は摂納され,涕泪は適切に出る。
如し肝肺が虚し,臓精が摂納されなければ涕泪は溢れて流れる,
所謂 虚涕冷泪である,
清稀な冷泪や凉涕を流すのは,往々 肝肺の気虚,臓精の外溢を示す。
次に,涕泪は又 老衰の前兆でもある。
中老年の階段になると,涕泪ともに多いのは臓腑の衰退的予兆である,
肺は気を主る,
肺の気虚は摂納無力となる,
故に肺津が鼻竅より溢れ出るのを,肺漏と称し,肺の老衰の予兆である,
泪は目より出ると雖も肝に蔵される,
肝が衰えれば疏泄が度を失して冷泪が下流する,
故に中老年の人が冷泪を流すのは往々にして老衰の予兆の一つである。
唾液・涕・涙から何が分かるか?(2)
第二節 唾涎涕泪と臨床
一、唾、涎 異常の意味
涎、唾が異常に多ければ脾、腎の虚である,
摂納の機能を失い精が外溢した兆候である,
自然流涎はなくとも臥せった時に流涎するのは腎脾虚の兆候である。
唾と涎は生理上同一源である,
病理上は脾腎はよく互病となる,
故に唾、涎の異常は同時に出現する。
臨床上 唾液の異常で臓腑の虚実寒熱を予診できる,
如し唾が多くて粘稠で、味苦なら脾熱である,
唾が多くて味酸なら肝鬱である,
唾が濁り味甘なら脾[病<單-丙](糖尿病)の前兆である,
唾が腥ければ肺熱である,
涎が多くて鹹なら腎虚の報せである。
これに反して,如し唾涎が過少なら,津液不足を示している。
唾液・涕・涙から何が分かるか?(1)
疾病の予測をするのに中医学では唾液・涕泪(涙)からの信号を察知する方法があります。
何故ならこれらの異常は「臓精の外溢」と見るからです。
第一節 唾液涕泪の基礎理論
人身は津液を以って本と為す,津液は五臓に分化する,
肝では泪,心では汗,脾では涎,腎では唾,肺では涕,是れを五液と謂う,
腎は五臓の陰津の根本であるから,五液は又腎によって主さどられる。
アフター性口内炎の中医療法
この暑さにやられたのか、この歳(71)になって初めてアフター性口内炎になった。
さて、どうすべきなのかと思案して色々考えてみたが弁証は出来ても ピーンと胸に落ちる処方が出てこない。
そこでnetを探していて、ようやく一つの処方を見出した。
それは次のどれでしょう?
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1.1 復発性口瘡(アフター性口内炎)は反復発作し,遷延難愈が特徴です。
其の発病機序はまだ明らかではなく,西医でも特効薬はありません。
中医では本病を整体辨証により論治します。
局部の病変でも全身と密接な関連があると考えるからです。
筆者はこれにより復発性口瘡48例を治療したので報告します。
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桂枝新加湯証5
常某,男,33歳,忻州運輸公司車隊文書。
曽って失眠六年を苦しんで,余は桂枝加竜牡湯を用いて治愈した事がある。
近ごろはバスケ(籃球)の試合に参加しており,運動が激しいところ,当晩は足跟が痛み,并せて下肢の水腫と,腰脊の酸困(だるさ)が出現した。
X線片では骨質の損害は見当たらない。
某医は腎虚と按じて三月余も治療し,服薬は百剤近くになり,水腫は消失したが,然し足跟の疼痛と,腰脊の酸困は毫も軽くならない,且つ同房后には明らかに劇化する。
遂いに復診にやってきた。
足跟の疼痛と,腰脊のだるさ(酸楚)が,疲労すると劇しくなり,休息すれば緩くなるのは,腎虚の症である。
《医宗金鑑·外科心法要訣》に云く:“督脈は源を腎に発し,三陰の虚熱で足跟は痛む。”
補腎の一法は,固より朝夕に得られるに非ざれど,然し三月も経っているのに,少しも効かない。
効が顕れないのには,必ず伏因があるはずだ。
形舌を観察しても,特に異常がない。
飲食や二便は,昔日と同じである。
其の脈を診れば,細緩無力。
其の腹に触れれば,腹筋が攣急し,皮膚は湿潤し,汗が津津と出ている。
余は問う:“いつも発熱すると汗が出ますか? 悪寒はありますか?”
答えて曰く:“はい、あります。”
ここに至って,太陽病の中風で,営衛不和,外邪未浄の証であることが,はっきりした。
前医の薬証は間違いで,いくら補っても無効だった訳だ。
《霊枢·経筋》に云く:“足の太陽の筋は,足小指より起き,上って踝に結び,斜めに上って膝に結ぶ,其の下では足の外踝を循り,踵に結び,上っては跟を循り……上って臀に結び,脊を夾んで項を上る。”
其の病は,“跟腫が痛み,脊は反折する。”
今 太陽の表虚で,気陰虚損し,筋脈失養すれば,足跟は痛み,腰脊は困する。
治は当に調和営衛,補気益陰すべし。
桂枝新加湯を試す。
桂枝10 白芍・党参15 炙甘草6g 生姜10片 紅棗5枚
二剤の后 症状は見るまに軽くなり,連服すること六剤で,足跟の疼痛と,腰脊の酸楚は尽く消えた。
李映淮老師の評語: 足跟痛は腎虚、湿熱下注に多い。営衛不和で起きるのは,甚だ少い。桂枝新加湯を用いて治愈するなど,思っても見なかった事だろう。
桂枝新加湯証4
張某,男,28歳,農民。
腰背が疼痛すること半年余り,時に軽く時に重い,軽い時には軽微な活動なら出来るが,重い時には俯仰転側すら制限され,咳嗽して吸気の時に痛む。
郷村の医院では腰は腎府で、労して虚したのだと,補腎壮腰を行った;
或いは変化が速いと、痛処が走竄するのは風だとし,独活寄生湯を与えたが,皆無効だった。
近ごろまた痛みが甚しくなり,遂に受診しにきた。
其の痛苦する形躯を望めば、活動は不自由で,舌質は淡紅,苔は白微膩。
訊ねると時々発熱し,自汗が出,腰背が悪風し,左腿は酸困で発冷するが,飲食、二便は正常である。
腰背の筋肉に触れると攣急しているが,腫れや発紅はしていない。
脈象は弦緩無力と診て取れる。
桂枝新加湯証3
楊某,女,27歳,張野農民。
流産の手術時に失血が多かったが,もともと体が丈夫だったので,あまり調理を重視しなかった。
十日ほど経って,白帯が注下した。
腥臭あり清稀で,少腹が痛み,腹中の気が上り冲逆し,悪心して吐きにかかった。
温かいのが良くて寒いのは苦手だった。
手指で冷たいものに触れると抽掣疼痛した。
常に厚被で身を裹み,裹むとすぐに発熱して汗が出た。
或いはちょっと動いただけでも汗が津津と出て,腰脊は酸痛し,体は倦く疲れた。
其の舌を視れば,紅潤で苔が少い。
其の脈を診れば,細緩で無力。
其の腹に触れれば,臍悸して痛み,少腹が攣急して圧すのを拒む。
脈症分析:発熱して,汗出で,悪寒し,脈象が細緩なのは,営衛不和,気陰両虚である。
営衛不和なら,桂枝湯を用いて和すべきだし,気陰不足を兼ねれば,桂枝新加湯で和益するのが宜しい。
桂枝10 白芍・党参15 甘草6g 生姜10片 紅棗5枚 三剤
二診: 帯下は大いに減り,腹痛、冲逆等の症も均しく軽くなった。
まだ時に発熱し,自汗が出て,口渇して飲みたがるので,原方に天花粉15gを加え ,四剤を服して愈えた。
按: 《傷寒論》62条に云わく:“発汗后,身疼痛し,脈沈遅なる者は,桂枝加芍薬生姜各一両、人参三両新加湯が主る。”とは出汗后も表は未解で,気陰虚の症状であることを指している。
今 帯下が注ぐ如きとは,汗出過多と同じである;
少腹疼痛も亦 気血不足して、筋脈失養の身疼痛と同じである。
倶に気陰虚損の象で,且つ営衛不和である。
故に桂枝新加湯を借りて治す。
腹診で圧えるのを喜ぶのは虚で、圧えるのを拒むのは実だという説があるが,本案の腹筋拒圧は,病邪が裏に結んで,痛位が固定する場合とは異る。
李映淮老師の評語: 脈症より観て,陽虚で寒湿が胞宮に侵入していれば,先ず桂枝加附子湯類の方剤を考慮すべきである。
“帯下が注ぐが如きは,汗出過多と同じく,少腹疼痛も亦 気血不足、筋脈失養の身疼痛と等しい。”
此れを理解すれば,経方の使用範囲は大きい!
桂枝新加湯証2
便秘
(この一文は湯本求真の『皇漢医学』を中医師が読んで重要視した例です。おそらく吉益南涯の治験だと思いますが、それを日本人である私が又感服して逆に教えられているという訳です。)
医案:一老人が大便不通となって数日のこと,上逆して頭眩したのを,医は備急丸を與えたところ苦しむばかり,因って分量を倍加して投じた,下利は得られたが,是のために身体は麻痺し,上逆は益々甚しくなり,大便は復た結ぼれた。
医を更(か)えて之を診て,大承気湯を與えた,一服して,下利を得ず,さらに三帖を服したら,下利すること盆を傾けるが如し,身体は冷痛し,臥するを得ず,大便は復(ま)た結ぼれた。
又転医して地黄剤を作り服し始めるや,上逆は尤も劇しくなり,面色は醉うた如し,大便は益々通ぜず,是れにより先生に治を請う。
先生之を診て,心下が痞硬し,少腹は無力である,とて桂枝加芍薬生姜人参湯を與えて服させた。
三帖にして,冲気はすぐに降り,大便が快通した。
二三日を経過して,冷痛は止まり,臥すを得て,大便は続いて快通している。
二旬の后,諸証は去りて常に復した。
(《皇漢医学肥956;76)
桂枝新加湯証
新加湯治療15 例痛証体会 (江西省奉新県中医院)
新加湯(桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯)は《傷寒論》条文第 62 条に出ている。
原方は桂枝湯に由来し、桂枝湯に芍薬、生姜を重用し,人参を加えて成っている。
原文は “発汗后, 身疼痛し ,脈沈遅の者は ,桂枝加芍薬、生姜各 1 両 ,人参 3 両新加湯が主る。”
1997 年から 1999 年12 月まで ,筆者は新加湯を運用して原因不明の「出汗后周身骨節劇烈酸痛、胸痛」 15 例を治療し ,比較的満足な療効を獲得したので紹介します。
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