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桂枝新加湯証

新加湯治療15 例痛証体会 (江西省奉新県中医院)

新加湯(桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯)は《傷寒論》条文第 62 条に出ている。
原方は桂枝湯に由来し、桂枝湯に芍薬、生姜を重用し,人参を加えて成っている。

原文は “発汗后, 身疼痛し ,脈沈遅の者は ,桂枝加芍薬、生姜各 1 両 ,人参 3 両新加湯が主る。”

1997 年から 1999 年12 月まで ,筆者は新加湯を運用して原因不明の「出汗后周身骨節劇烈酸痛、胸痛」 15 例を治療し ,比較的満足な療効を獲得したので紹介します。

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 例1 王某某 ,男 ,58 歳 ,退休干部。
畏寒発熱 ,咳嗽、咳黄稠痰 ,胸悶のため 1998 年 3 月 18 日に県人民医院にて就診した。
胸部レントゲンでは:右下側の肺炎と、陳旧性肺結核の跡があった(已にCa化している) 。
医治の結果 ,畏寒発熱、咳嗽、咳黄痰、胸悶不適等の症は基本的には消失した。
但し第 4 日の夜半に原因不明の上半身の出汗が始まった。
頚部が甚しく ,且つその后は日に日に益ます劇しくなり ,湿って内衣を透した。
次の日には胸前区の劇痛、胸悶不適、短気(呼吸即迫)、神疲等の症を現した。
心電図、超音波スキャンなどでは異常を発見できなかった。
胸部 CT検査では:右側肺炎(已に吸収されている) 、陳旧性肺結核が提示され ,癌変はなかった。
后幾つかの治療を経たが ,症状は緩解せず ,筆者のところへ転診されてきた。

 刻診: 面色冴えず ,上半身及び頚部に甚しい盗汗があり ,胸前区には劇烈な疼痛があり ,按ずるのを拒む程で ,胸悶不適を伴い ,短気している。
舌質は淡、苔は薄黄 ,脈は緩で尺脈は沈である。
営陰損耗 ,経脈失養と辨じられる。
故に新加湯の原方加味を用いる。

 桂枝10 芍薬・浮小麦20 人参15 炙甘草5g 生姜4片 大棗4枚

3 剤の后 ,胸痛は大いに減り ,盗汗も大半は減軽した。
再服すること 3 剤にして諸症は消失し ,痊愈して帰る事が出来た。

 例2 李某某 ,男 ,62 歳 ,農民。
畏寒 ,発熱 ,頭暈 ,咳嗽 ,白痰を咳し鼻塞して濁涕を流すため入院し ,胸片、心電図等の輔助検査を経て上感(上呼吸部感染症)、急性支気管炎と確診した。
抗炎及び中薬の銀翹散、桑菊飲加減などの治療を経て ,汗が出て熱は退き ,諸症は基本的には消失して退院した。
但し患者は帰宅后に ,治療の不徹底を恐れるあまり ,原方を自己判断で5 剤も再服した。
すると3 剤后に淋漓と汗が出て ,第 3 日目には全身の骨節が酸痛した。
尤も劇しいのは[骨寛]関節(腸骨・座骨・恥骨)の疼痛で ,活動が制限され ,ベッドから下りられず ,また筋肉の疼痛も出現し ,一触即跳である。
だが[骨寛]関節は正側位を示しているし、心電図、超音波スキャン等では異常が発見されなかった。
苔は薄微黄 ,脈は沈遅である。
病機は乃ち「汗泄太過(発汗過多) ,損傷営陽(営衛の営分の損傷) ,経脈失養(経絡の栄養不足)」 である故, 新加湯加味を選方する。

桂枝・麦冬10 白芍・人参15 炙甘草5g 生姜4片 大棗4枚

1 剤で効果が分かり ,2 剤で已に病機に当たった。
方 を変えず,再服すること 3 剤で ,諸症は消失した。

 体会: 周身疼痛は太陽病で比較的に常見される症状で、発汗すれば解します。
上述の病例の痛証は単に表証の一表現というだけではなく ,大切なのは汗泄太過が営陰を損傷し ,経脈が失養したことです。
正に《経》に曰う如く:“其の脈が沈なる者は ,営気が微である。” “遅なる者は営気が不足して ,血が少い故である。”
尤在涇は説いている: “発汗后に痺邪が外につくと ,内では営分が虚し ,身疼痛が除かれなくなり ,脈は沈遅に転ずる。”
本方中の桂枝湯は営衛を調和する。
芍薬を重用して和営養血を ,生姜を重用して陽気を通じ ,人参を加えて汗后の虚を補う。
故に能く営血失養の身痛証を治す。
2 例は疼痛部位が僅かに違っても病機は一致するので ,新加湯を用いて均しく有効だった。

《江西中医学院学報》2000 年 9 月第 12 卷第 3 期 

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《経方臨証指南》 劉渡舟

産后身痛案

      樊x,女。産后半月許りで,忽然と身体が疼痛し,脈の来るのが沈遅となった。
感冒にかかった覚えはない。
ある学員は気血両虚と辨じ,十全大補湯を用いて治療したが,小効があっただけで完治しなかった。
そこで改めて桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯を用いて治療した。
服薬すること三剤の后に,疼痛は消除した。

桂枝9克 白芍・党参・生姜12克 大棗12枚 炙甘草6克

 [解説] 本方は発汗后,或いは婦女の産后,或いは流産后,或いは行経(生理)后の,血虚で営気不足のため,肢体を充養できず身体疼痛を現わし,脈が沈渋して無力なのに用いる。
方中の桂枝湯は調補営衛を;白芍の加重は養営血を;人参の別加は補衛虚のためである。
本方で最も妙なる処は生姜の量を加重するところにある。
其の辛散の力を借りて外へ走り,全方の益気養血作用を体表へ達しさせ,補っても滞らず,専ら営衛気血不足によって起った身体疼痛を治す。
《金匱要略·血痺虚労病篇》中の黄耆桂枝五物湯,も生姜を重用しており,本方と同義である。

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泄瀉案一:桂枝新加湯証

2009-01-02 来源:臨証実験録 作者:  瀏覧

楊某,女,36歳,農民。
産后の調養が悪く,泄瀉に患った。
消炎、止瀉してみたが終に効を見ず,已に16年にもなる。

刻診:泄瀉すること日に三~五行,膿血は無い。
凉しいところに居たり多食をすると瀉の回数が増え,時に腹痛裏急(引きつり)がある。
胃がもたれ,疲労倦怠となる。
寒暑への反応は常人よりも敏感で,毎年のように盛夏になると,発熱して汗多く,皮膚にはあせもが出るし;
冬になれば寒冷を畏れて,早ばやと厚着をする。
口は不苦,不渇で,舌は淡紅で潤い,舌苔は薄白。
其の脈を切すれば,脈は沈弦細。
其の腹を診れば,臍の下の腹筋が攣急している。

 脈と症から観て,この泄瀉は営衛不和,中気虚弱によるものである。
治病には必ず其の本を求めなければならない。
故に営衛を調和し,中気を補益することが必要である。
頭痛だからといって頭を医し,泄瀉だからといって止瀉をしてはならない。

桂枝加芍薬生姜人参新加湯:
 桂枝・党参10 白芍15 炙甘草6g 生姜6片 紅棗5枚 三剤

 二診:大便は一日一次になったが,食欲はいまいちで,舌は淡紅で潤い,脈は沈弦細である。
そこで原方に白朮15g,茯苓10gを加え,五剤を飲ませて,療効を鞏固にした。

    按:桂枝新加湯証は,発汗后になお表が未解で正気が已に虚しているものに使う。
表が未解なら更に解表しなければならない。
然るに正気が虚しておれば単純に解表すべきではない。
故に新加湯を用いて扶正解表,調和営衛をしなければならない。
先哲謂く: 脾は営の源,胃は衛の本である。
営衛が和すには,脾胃が健でなければならない。
そうなれば諸症は自ら解する。
本案は寒に耐えず,熱に耐えず,自汗が出て,営衛不和を示している;
細脈及び久瀉不止は,正気虚弱を示す。
故に新加湯を選用した。
過汗による虚を専治したのではない。

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Comments

「線維筋痛症」という得体の知れない病気に対してこの処方、桂枝加芍薬生姜人参新加湯 (白芍・党参・大棗10 桂皮4 甘草・生姜3)40g が使えないかと考えています。

Posted by: youjyodo | 2010.09.17 at 02:31 PM

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