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脱髪(脱毛・抜け毛)

脱毛の原因は中医学では次のように分類されている。

1、腎精不足
2、脾気虧虚
3、淤血阻絡
4、血虚不栄
5、肺熱毛脱
6、血燥生風
7、湿熱熏蒸
8、肝陰虚陽亢

これで総てが網羅されているかと思っていたら、もうひとつあるようだ。

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9、肝鬱気滞

 肝鬱気滞の者は,髪質が多くは枯脆で光沢が無く,頭髪の脱落が緩慢で,病程は長い,髪は稀疏状を呈し,頭頂と前額が重く,全禿にはならない。
治は疏肝理気・活血行血法をとる。
方は柴胡疏肝散加減
肝火熾盛の者は,頭髪の脱落が早い。
主に頭頂及び額部が脱落し,僅かに頭髪を残すか,または禿頂となる。
枕部及び両側頭の髪はあまり脱落せず,残った髪は一般に枯槁少華の象は無い。

逍遥散加味による治療
 病例 1 王某,男32歳。
多年頭頂部の脱髪があり,何度も医療を受けたが効果がなかった。
心情が煩躁して惚怒あり,思想の負担が重く,失眠,頭暈,時には頭痛がある。
頭皮は光亮で,ほぼ全脱しており,舌質は紅く,苔は薄黄,脈は弦数である。

肝失調達,肝気鬱結,鬱熱傷血の証である。
逍遥散加味にて疏肝解鬱,凉血養血の功効を求めた。

処方:白芍・地黄5 柴胡・当帰・白朮・茯苓・牡丹皮・菊花4 川弓・薄荷2

服薬すること6日にて,情緒は改善し,自覚症状が明らかに軽減した。
又原方中に牛膝・何烏首4 熟地3 を加えて養血滋補肝腎の作用を強めた。
服薬30余日にして脱髪部に白い細絨毛が生えてきた。
又上方を15日続けて,頭髪は次第に白から黒に変り,細から粗に変り,最后には全髪が生えてきた。


 病例 2 孫某,男,36歳。
家中の親しい人が続いて不幸に遭い,悲思過度,心情不暢,ついに心煩失眠,胸部痞悶,頭髪が脱落し始めた。
舌質は暗紅,苔は白く,脈は弦細で,頭部の毛髪は少くなり,光沢が無い。
肝腎陰虧,肝鬱気滞,髪失栄養と弁証される。

逍遥散加味
処方:柴胡・白芍・枸杞子5 当帰・白朮・茯苓・牡丹皮・牛膝4 丹参・菊花・鬱金3 川弓・薄荷2

病人は常に外出して連続して服薬できず,間断して服薬すること20余日の后 自覚症状は基本的に消失し,新髪が生えてきた。
又間断して服薬20余日すると全髪が生えてきて,黒く艶がある。

 体会
 脱髪は情志と密切な関系があり,長期的に情志太過,肝鬱気滞となれば気血の運行は失常し,血は髪に上栄できず干枯脱落となる。
“髪は血の余りなり”。
肝は木に属し,髪へと昇る。
体は陰で用は陽である。
全身の気機を調暢し,気が行れば血も行る。
并せて内分泌を調節する;
脾は中焦に居て,一身の気機升降の枢紐であり,気血生化の源,后天の本である。
肝脾が調和して,気血が充足し,流行暢通すれば間違いなく新髪が生ずる。

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