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辛夷 こぶし

 辛夷清肺飲 は明代の陳実功の《外科正宗》に出てきます。
原方は 辛夷、黄岑、山梔子、麦門冬、知母、百合、石膏、升麻、甘草、枇杷葉 の10味の薬からなります。
方中の辛夷は「辛香疏散,転浮上升」の効能があり,能く肺経の風熱を散ずるといいます。
それで鼻炎、鼻塞、鼻竇炎等の鼻疾によく使います。

辛夷花の故事

 伝えるところでは,古代に秦という姓の挙人がいて一種の怪病を持っていました。
それは常に頭昏頭痛し,鼻からは流膿流涕があり,その腥臭はきついものでした。
四方八方に医を求めましたが,みな無効で,非常に苦悩していました。
 ある日,朋友が来てこれを看るや,すぐに勧めて云いました:“老兄よ,天下は広いのだから,何も当地の医生ばかりにかからないでもいいじゃないか,外地にも良い医者が居るだろう?”
彼はそれもそうだと思ったが,どうせこの病は,死ななきゃ治るまいが,名山大川を見物がてらに,ぶらぶら出かけてみるか。
ということで,次の日に家人を連れて出発しました。
 この挙人は色々と各地を回ったけれど鼻病を治せる医者はいませんでした。
最期にある夷人の住む地方へきたとき,たまたまある白髪の老人が云いました:“こんな病いなんか難しくないよ,私が良い験方を紹介してやる,あんたは少くて半月から,長くても一个月間,治療すればきっと治るよ”。
彼はこれを聴いて興味を持ち,すぐに老人に教えを求めました。
すると老人は家の前へ行って,一株の落葉灌木から幾朶かの紫紅色の花苞を採って,云いました:“毎日早晩この薬種を採って,鶏蛋と一緒に煮て食べれば,一个月経たないうちに治っちまうよ”。
彼は云われたとおりに,半月の間 連服したところ,果して積年の鼻疾は霍然と愈えてしまいました。
挙人は老人からこの草薬の種子を貰って家へ帰り、種を家の前に蒔きました,そして鼻の病の人があれば,すぐにこの薬種を与えて病人を治してやり,みな顕著な療効を収めました。
その后,彼は当地でも有名な医生になりました。
人々は問いました:“この薬種はとても不思議だ,先ず開花した后に長葉が出てくるが,何という名前なんだ?”
彼は老人から聴いてくるのを忘れていました。
そこで考えて,これは辛慶年に夷人のところから貰って来たものだから,と智慧を働かせて:“この薬は,つまり辛夷花と云うんだ”。

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