不妊症の漢方
1 病因病機
后天性の病因として中医が考えているのは 腎虚・肝鬱・痰湿・血瘀 の四つである。
腎陽虚になれば子宮を温煦できず,宮寒になれば受精できない;
腎陰が不足し,冲任脈が虚せば,胞脈は失養して受精できない;
肝鬱気滞となり,疏泄が失常すれば,気血は不暢となり,冲任は相いに資せず,受精できない;
痰湿が内阻し,気機不暢となれば,胞脈は阻まれて受精できない;
瘀血が胞脈内で阻めば,男女の両精は結合できず受精できない。
2 辨証論治
2.1腎虚型:月経は遅れ(后期),経量は少く,腰膝が酸軟し,性欲は減退し,白帯が少しあるか或いは無い,手足は冷え(欠温),舌は淡,脈は沈細,基礎体温は単相か或いは不典型性の双相である。
治には補腎養血。
処方:(仙茅・仙霊脾・肉苁蓉・当帰・沙苑子3 巴戟天・党参・枸杞7 菟絲子5)41
形体が痩弱で,子宮が小さい者は+山茱萸・紫河車3
2.2腎虚肝鬱型:月経は先后不定期で,量は時に多く時に少なし,色は暗く,経前に乳脹し,脈は細弦。
治には補腎調肝。
処方:(山茱萸・紫河車・当帰・白芍・益母草・甘草3 柴胡・制香附5)28
2.3腎虚痰湿型:体は肥満し(胖)或いは多毛で,白帯が無いか或いは少ない,経量は少いか或いは閉止し,軽度に浮腫あり,脈は濡細。
治には補腎扶脾,化瘀活血。
処方:(山茱萸・熟地・広木香・川楝子5 杜仲・丹皮・蒼朮・当帰・沢瀉3 甘草2)37
2.4腎虚血瘀型:月経は失調し,経期が延長し,時には数月に達する,舌は淡で脈は細渋,基礎体温は単相型。
治には補腎活血,調肝。
処方:(柴胡・当帰・白芍・鹿角膠・香附・党参3 熟地・益母草5 山茱萸・丹参4)36
李美生老師は久瘀の干血が体内にあると,人の元気を傷つけて虚になると考えている。
多くは一分の瘀があれば一分の虚が増える。
かといって活血化瘀の品を過用すれば,必ず気血を傷つける事になり,やはり病情は重くなる。
3 中薬人工周期
体質治療をする必要が無ければ次へ進む。
経前期、月経第16天から始めて,服用7天。
促黄体湯(人参・山薬・桑寄生・香附・仙霊脾3 川断・丹参5 巴戟天4)29
経間期、第5天から始めて,服用5天。
促卵泡湯(香附・菟絲子・首烏3 当帰・白芍・熟地・山薬・女貞子・甘草2)21
経后期 第8天から始めて,服用4天。
促排卵湯(当帰・赤芍・桃仁・紅花・路路通・沢蘭・夏枯草・益母草2 川芎・熟地・丹参・昆布・香附・山薬3)34
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