甲状腺腫と漢方
甲状腺腫(腫瘍・結節)は漢方では「气瘿」「頚粗」と呼びます。
情志の抑鬱により肝が調達を失し,肝鬱気滞となると横逆犯脾となり,脾は健運を失し,痰濁が内生し,痰と気が互結して,循経上行し,喉に結ばれる。
故にその初発病者は主に肝鬱気滞・痰気凝結の証です。
肝鬱気滞による頚粗瘿腫は辺縁がぼんやりして,皮色に変化なく質は軟らかで痛まず,咽の動きに随って上下する;
瘿腫が大きいと沈重感があり,呼吸困難を伴う時もあり,咽下しにくく,声音嘶唖となる;
舌淡紅,苔薄,脈弦。
中医の治療法は整体観念から出発しつつ,局部を考慮します。
患者の全身状況から系統的調理を行うという事は,扶正祛邪,標本兼治,などの方法を用いることです。
これは腫瘤を根治させ,愈后も再発しにくくなります。
辨証分析:
気はもともと無形で,怒れば気は長大になり,喜べば気は消える,故に腫脹は広くて辺界がはっきりしない;
痰は陰邪で,気は結ぼれていても未だ化火していないので,皮色は周囲と同じである;
症は痰気互結に属し,明顕な血瘀の証はない,故に質は軟で痛まない;
舌が淡紅で、苔が薄く、脈弦なのは肝鬱気滞の象である。
治法:疏肝理気,解鬱消腫
方薬:
四海舒鬱丸加減
(青木香・陳皮・海蛤殻・海帯・昆布・海藻・海漂蛸)
海藻玉壷湯加減
(海藻10 昆布5 当帰4 半夏・連翹・貝母3 陳皮・青皮2 川芎・独活・甘草1)35
散結湯
(海藻・昆布・夏枯草・牡蛎・丹参10 鼈甲・連翹・公英7 三稜・莪朮・亀板5 穿山甲・白角刺3 紅花4)96
また同時に消瘤丸・血府逐瘀丸・疏肝丸・消瘿丸(昆布12 海藻8 桔梗・陳皮・檳榔4 蛤殻・浙貝母・夏枯草2)38
などを服用しなければならない場合もある。
久病になれば愈えないばかりか気虚・陰虚・気陰両虚等の証へと転変する。
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