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小青竜湯と花粉症?

『中医臨床』v31-4 に江部洋一郎氏の『経方医学臨床録<1>』が載っています。
そこで「伏気温病」という語彙の解説の折に、花粉症を例に引いています。

冬に陰虚内熱の状態があり、春に天の陽気の亢じたところに新たな微風(花粉)を蒙り、陽亢化風して発症する「春の花粉症」もそれに近い。

つまり陰虚内熱が基本的な原因で、それに花粉という外因が加わり内熱が更に亢進したものではないかと論じています。
これは私も常々主張している事です。
まして鼻水のほかに目の痒さや目脂(めやに)などまで加われば、これはもう絶対に小青龍湯(小青竜湯)などの温薬の出番でないのは明らかです。

小青龍湯を花粉症に使うって!?

花粉症の漢方は

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大逆上気とは

DIオンライン(2011. 2. 4) に「くしゃみ中心の花粉症は麦門冬湯で体質改善を」と題して、幸井俊高氏(幸福薬局)の解説が載っています。

くしゃみが抑えられずに続けて出るときは、くしゃみが下のほうからこみ上げてくるような感じがあり、顔が上気して赤くなり、目も充血し、涙がにじみます。鼻水がたれてきて、咳が出ます。

こういう場合は、麦門冬湯(ばくもんどうとう)が効果を発揮します。麦門冬湯は、「肺陰虚証」に使われる処方です。五臓の「肺」つまり呼吸器系や上気道が乾燥しているときに、潤いを与えてくれます。

 今回の症例の、くしゃみ、目の充血や涙、赤面、鼻水などは、肺陰虚体質のために乾燥した肺、上気道、鼻腔など、からだの上部が、刺激に対して敏感になっているために生じやすい症状で、「大逆上気(たいぎゃくじょうき)」といわれるものです。乾燥した部分に気が上がってくることにより、各種の症状を生じています。乾燥している体質なので鼻水がたれても、多くは出ません。

「大逆上気」という概念を以て「くしゃみ、目の充血や涙、赤面、鼻水など」の原因とする説明には首をかしげざるを得ません。
《金匮要略》の麦门冬汤の条文には「大逆上気,咽喉不利,止逆下気者,麦門冬湯主之。」とありますが、この大逆上気とは火逆上気と書いている書物(《金匮要略论注》、《金匮悬解》)もある程で、昔から“肺痿”の処方として通用しており、肺痿には「くしゃみ、目の充血や涙、赤面、鼻水など」は伴いません。

内島玄貞保定著「古方節義」にも

咳して上逆し咽喉不利は気上逆に因て咽喉爽かならずして物ある如く通利宜しからざる也。惟痰咳水鶏聲なくして火気上逆するものなり、麦門冬湯其の火逆を止め其の上気を下す也。

と「上気による咽喉不利」である事を云っています。

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早泄(早漏)

早漏は何故起きるのか?
感じやすいからですね。
何故過敏になるかを中医学では次の様に説明しています。

感じるのは火(神経)が昂ぶるからです。
火といっても実火ではなく、虚火です。
虚火は、ストレスや過労により腎陰や腎精を耗損した結果起こります。
その虚火のことを君火に相対して相火といいます。
君火は心に宿り、相火は下焦の肝腎に蔵されています。
相火は臓腑を温養したり生殖功能を司さどったりします。
この相火が偏亢して精室を熏灼すると、精関は開き易くなり早泄となります。
また性欲亢進・頭暈目眩・夜寐盗汗・心煩失眠・口干溲黄などの症状も出やすくなります。
性欲が亢進しても決して強精ではないのです。
治療には清熱瀉火・滋腎養陰をしなければなりません。

【方名】清腎湯 《雑病源流犀燭》卷十八

【組成】(焦黄柏・生地黄・天門冬・茯苓・炒山薬4 煅牡蛎10)30

方中の薬は補瀉の双方が含まれ、腎陰を補い相火を瀉し、固渋を兼ね、標本兼顧の万全の内容になっています。

早泄

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剥脱性口唇炎

典型病例

張某,女,48歳,1998年5月20日初診。
患者が述べるには口唇癢痛を反復すること10余年になる。
今まで中西薬物の治療をしてきたが,均しく無効だった。
春季に加重し,この1个月来は風が吹いた后に症情が復発する。
進食時に灼痛が忍び難く,口干を伴い水を飲みたがり,食欲は少ない。

診れば患者の口唇は紅腫し,糜爛し,潰爛面上には粘膜の剥脱が散在し,周辺には結痂・皸裂がある。
舌質は紅く,苔は微黄で干いている。
これは脾胃実火を本証とし,虚火上炎を標証とする。
治には清熱瀉火を主とし,滋陰生津を輔するのが宜しい。

瀉黄散加味:
(藿香・生地7 知母・地骨皮5 山梔・防風・土茯苓・甘草3 石膏10)46

水煎して,1~2煎は内服し ,第3煎で口唇を外洗する。
毎日1剤,3剤后には症状が明らかに減軽し,7剤后には腫脹・糜爛は消失し,結痂は脱落し,粘膜は正常に恢復した。

体得
脾気は口に通じ,其の華は唇に在る。
剥脱性唇炎の患者の多くは脾胃蘊熱があり,また風邪外襲により,熱毒は挾風上攻し,口唇部に搏結して発する。
風性は燥き易く,熱は津液を傷つけ,久しくなれば陰虚津虧となる。
故に結痂・脱屑・皸裂となり,口は干き水を飲みたくなる。
《諸病源候論.緊唇候》中の記載:“脾胃に熱があれば,唇に瘡を生じ,重ねて風邪を被れば,寒湿の邪気は唇を搏ち,微胖し,湿爛し,或いは冷たく或いは熱く,たちまち癒えたかと思えば又たちまち発し,積月累年を経る,之を緊唇と謂う。”と明確に本病の病因病機及び頑固で愈り難いという特点を指出している。

    剥脱性唇炎

現代医学では次の様に解説しています。

原因不明のために、確固とした治療法はありませんが、対症的には、特に冬期に口唇が乾燥しすぎない様に、なめない、拭きすぎない、室内を乾燥しすぎない様にすることに留意しその上で、蜂蜜、グリセリン、ワセリン等の保湿剤をぬり、口唇の乾燥を防ぎ、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤などの内服薬や、症状が激しい場合は一時的に副腎皮質ステロイド剤の外用薬や難治の場合には、ステロイド剤の経口投与を考慮することもあります。

 

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同源と潜病(臓象学説)

脊椎動物の胚発生の過程で外胚葉・中胚葉・内胚葉の3種類の胚葉が形成され、各胚葉はその後 動物の全ての組織・器官を形成する。
ヒトの皮膚は表皮・真皮などからなるが、表皮は外胚葉性,真皮は中胚葉性の組織である。
中胚葉から筋肉系,骨格系,循環器系,泌尿生殖器系,結合組織などが形成される。

  

同源与潜病

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辨病と潜病の問題

中医では「重証軽病」といって、証を重んじ病を軽んずる傾向がある。
例えば小兒の“脾弱肝旺”という証を以て病名の代わりにしている。
これは病気という膨大な内容を一つのブラックボックスとして扱う時に、四診しか拠り所が無かった中国医学が取り得る唯一の思維方法だったからではないでしょうか?
中医の辨証とは全体的(整体的)で直観的なのが特徴です。
これに対して西医の病名(辨病)は病因に遡ってを根本を明らかにしようとします。
両者の違いを見れば分かるように辨証だけでは病気の全体像が明らかになりません。
故に「証を重んじれば潜病となる場合もある」と認めています。
病は本質であり、証は病の外的現象(反映)である。
だから仮証・倒証という無理な概念も必要になり、「証・病不一致」の場合も出来ます。

有病無証
冠状動脈硬化性の心臓病は管腔狭窄と瘀阻というれっきとした実質があるのに殆どの場合は無症状です。
これが潜病となる場合です。

有証無病
例えば精神的な原因で胸がたいそうになるという心臓病では、証があっても病はありません。
だからといって辨証が優れているとは云えず、その逆に病名があったからこそ有効な手が打てたという場合もあります。

例えば肺癰は進行段階によって症状が異なっても、病名さえ確定されておれば魚腥草・敗醤草・大青葉などの解毒薬を加味することが出来ます。
また膏淋では前列腺炎による濁尿と絲虫病による乳糜尿の区別はつきません。
肝風内動」との辨証がついても、それが脳血管破裂によるのか脳血栓形成によるのかの区別が付きません。
胃脘痛もそうです。胃癌と消化性潰瘍とは辨証だけでは区別できません。
特に癌などでは局部にはっきり病変があるのに全身症状としては無証の場合が多くあります。

一方、「異病同治」という中医学独特の治療法は西医への素晴らしいヒントになるのではないでしょうか?
瘿瘤と瘰癧は共に痰鬱互結経絡による痰核証で、解鬱化痰法が治療の基本原則です。

気を付けなければならないのは「同証は必ずしも同治ならず」です。
脾虚不統血の証と判定された月経過多が健脾益気薬を十余剤飲んで良くなった。
それで同じ証の者にまた健脾益気薬を多剤使ったが全然良くならなかった。
検査の結果、子宮筋腫だと分かり手術であっけなく良くなった。

病・証并重
以上より「病ありて証あり」「病は証の本なり」である事を好くわきまえて、病も証も共に必要だと結論されます。
「辨証→辨病→辨証」という流れになれば万全です。

    辨病与潜病

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