典型病例
張某,女,48歳,1998年5月20日初診。
患者が述べるには口唇癢痛を反復すること10余年になる。
今まで中西薬物の治療をしてきたが,均しく無効だった。
春季に加重し,この1个月来は風が吹いた后に症情が復発する。
進食時に灼痛が忍び難く,口干を伴い水を飲みたがり,食欲は少ない。
診れば患者の口唇は紅腫し,糜爛し,潰爛面上には粘膜の剥脱が散在し,周辺には結痂・皸裂がある。
舌質は紅く,苔は微黄で干いている。
これは脾胃実火を本証とし,虚火上炎を標証とする。
治には清熱瀉火を主とし,滋陰生津を輔するのが宜しい。
瀉黄散加味:
(藿香・生地7 知母・地骨皮5 山梔・防風・土茯苓・甘草3 石膏10)46
水煎して,1~2煎は内服し ,第3煎で口唇を外洗する。
毎日1剤,3剤后には症状が明らかに減軽し,7剤后には腫脹・糜爛は消失し,結痂は脱落し,粘膜は正常に恢復した。
体得
脾気は口に通じ,其の華は唇に在る。
剥脱性唇炎の患者の多くは脾胃蘊熱があり,また風邪外襲により,熱毒は挾風上攻し,口唇部に搏結して発する。
風性は燥き易く,熱は津液を傷つけ,久しくなれば陰虚津虧となる。
故に結痂・脱屑・皸裂となり,口は干き水を飲みたくなる。
《諸病源候論.緊唇候》中の記載:“脾胃に熱があれば,唇に瘡を生じ,重ねて風邪を被れば,寒湿の邪気は唇を搏ち,微胖し,湿爛し,或いは冷たく或いは熱く,たちまち癒えたかと思えば又たちまち発し,積月累年を経る,之を緊唇と謂う。”と明確に本病の病因病機及び頑固で愈り難いという特点を指出している。
剥脱性唇炎
現代医学では次の様に解説しています。
原因不明のために、確固とした治療法はありませんが、対症的には、特に冬期に口唇が乾燥しすぎない様に、なめない、拭きすぎない、室内を乾燥しすぎない様にすることに留意しその上で、蜂蜜、グリセリン、ワセリン等の保湿剤をぬり、口唇の乾燥を防ぎ、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤などの内服薬や、症状が激しい場合は一時的に副腎皮質ステロイド剤の外用薬や難治の場合には、ステロイド剤の経口投与を考慮することもあります。
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